2-6:それ俺が悪いのか?
俺は笑って許そうとしたのに、ガトーレの奴、何が気にくわないのか突っかかってきやがった。
「まったく、何で自分から抜けるとか言っちゃったの?」
「いや、ジースの奴、俺をパーティから追い出したそうにしていたし、それなら、いっそ自分からと……」
「そんな事くらい気付いているって。だから、勇者くんがブランの事をパーティから追い出すって言ったら、私が『えー、勇者くんがそんな酷い人だとは思わなかった、ショック。私もパーティ抜けちゃう!』って、すんなり抜けられたのに」
はあ? なんだよそれ!?
「ブランが自分から抜けるって言いだしたから台無しじゃない。おかげで、私が皆の前でまるで告白するみたいに、ブランに付いていくとか引き抜く宣言とかしなきゃいけなくて、すっごく恥ずかしかったんだからッ!」
って、それ俺が悪いのか?
理屈は通っているけど、何か腑に落ちないなあ。
「まあ、いいけどね。勇者くんがブランを追い出したがっていたのは、わかっていたし」
「俺の攻撃であれだけ迷惑かけていればなあ。追い出されるのは仕方ないか」
「うーん、そうかも。前方で戦ってるクーちゃんも迷惑そうに避けてたし、衝撃波が後ろに漏れちゃった時は、ヒーちゃんと踊り子さん結構危なかったし」
よく見ているなあ。
戦闘中、俺の一番近くにいるだけの事はある。
ってか、踊り子のアイツだけ「踊り子さん」呼びなんだ。
ん? 近くって事は……
「なあ、ガトーレは大丈夫だったのか? その、俺の攻撃」
「大丈夫に決まってるじゃない。ブランだって自分の攻撃でダメージ受けたりしないし、それと一緒。台風の目みたいな感じ?」
ああ確かに。
ガトーレの位置で危なかったら、俺自分の攻撃で死んでるわ、多分。
まさか、こんな安全地帯があったとは。




