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【完結】青緑の川  作者: 遅筆屋Con-Kon
本編:青緑の川
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第四十二話:決意

 私たちは、バレンさんから渡された箱を持って魔道具屋ラ・フィーユへと訪れた。


「いらっしゃいませ〜、⋯⋯って、リゲルさんたちじゃないですか〜!皆さんお揃いでご来店とは嬉しいです」


「うん、しばらくぶり。早速で悪いんだけど、これを見て欲しい」


「はいはい。⋯⋯⋯⋯あ〜⋯⋯」


 箱の中身を見るなり、アキナは何かを察したように表情が暗くなっていった。


「⋯⋯これを持ってきたという事は、相当な非常事態という事ですね。⋯⋯どうぞ、奥でお話しましょうか」


 私たちは、アキナに案内されるままに店の奥へと入って行った。


 案内された部屋は以前に入った応接室⋯⋯ではなく、なんと地下室だった。


 その部屋は机と椅子があるのみで、非常に殺風景だった。


 全員が椅子に座ったところで、早速話合いが始まった。


「⋯⋯さて。要件を聞く前に、まずは私自身の事から説明しましょうか」


「⋯⋯⋯」


「私は『リヴェラ・ガエリオン・フィジャール公認 国際特殊諜報員』という役職に就いています。ざっくりと言えば、三国公認の密偵ですね」


「⋯⋯はい?」


 いきなりとんでもない事実が出てきた。


「えぇ⋯⋯。スゴい大物じゃないですか⋯⋯って、そんな重要な事あっさりとバラしちゃって良いんですか?!」


「大丈夫ですよ。ギルドマスター・バレン氏の公認書が付いてきてますから」


 そう言って、アキナは一通の紙を箱から取り出した。


「もし私の素性をバラせば皆さんはもちろんの事、ギルドマスターも処分されますので、"絶対に"他に話してはいけませんよ?」


 アキナの念押しに、私たちは皆で一斉にうなずいた。


「そういった事情ゆえ、この秘密の地下室でお話する事といたしました。ご了承くださいませ」


「あ、あぁ⋯⋯。分かった⋯⋯」


「バレンさんへは国王陛下より勅令書が届けられました。バレンさんはそれを読んだ後、私に直接接触してきたのです。その時にお願いされたのです、『リゲル君たちが厄介事に巻き込まれているようだ、もしもの時は助けてあげて欲しい』と。まぁこちらも見返りは頂いていますので、任務の支障にならない範囲でお助けしますよ♪」


「は、はぁ⋯⋯」


 アキナは満面の笑みでそう告げた。


 バレンさんは一体どんな見返りを要求されたのだろうか⋯⋯?少し気になる。


 気になるが、今はそれどころでは無い。


「それで、皆さんは一体どのような出来事に巻き込まれているのですか?」


 ようやく本題に突入だ。




 ◆◆◆




 私は今までの出来事を全て話した。


 前にも一度は相談した事があるので、アキナの理解は早かった。


「⋯⋯なるほど、『キカイ』に『黒影団』に『依頼者』ですか。その娘を狙っているのは、その依頼者なのですね⋯⋯」


「だいたいそんなところだ」


「⋯⋯状況は理解しました。確認しますが、その娘を手渡すという選択肢は⋯⋯?」


「無い」


「どうしてですか?」


「もしユニを渡せば、大量虐殺を許してしまう事になる可能性がある。だから、渡せない⋯⋯」


「それは、さっき言っていた『拠点制圧兵器』というキカイの事ですか?それは一体どれほどの物なのですか?」


「⋯⋯例えるなら、『極大魔法・インフェルノと同等の被害が、機械によって再現される』、と言えば分かるよね?」


「インフェルノ、ですか⋯⋯」


 極大魔法インフェルノ。

 闇属性魔法の頂点に位置する広域爆烈魔法。かつて一度だけ使用された記録が残っており、その時は島一つを消し飛ばしたほどだという。


 それほどの凶悪な魔法が、機械によって再現される可能性がある。


 あの時に確認した限りだと、おそらくそれは不可能ではない。


「そう。だからそうさせない為にも、絶対にユニは渡せないよ」


「⋯⋯⋯⋯そうですか。⋯⋯知っていましたよ。⋯⋯皆さんなら、必ずそれを選択するって。⋯⋯となれば、取るべき方法は二つですね」


 全てを聞き終えたアキナは、指を二本立てた。


「一つ目は、その依頼者に直接会って交渉・ないしは諦めさせる事。ですがまぁ、依頼者の事も居場所すらも分からないのでこれは無理⋯⋯。となれば、実質二つ目の選択肢しか残ってない訳ですが」


「⋯⋯だよね」


「残るもう一つの選択肢、それは、『拠点制圧兵器』とやらを先に見つけて破壊する事です」


「やっぱりそうなるよね⋯⋯」


「私たちもその提案に賛成いたします」


 今までずっと黙って話を聞いていたファルシアが、突然口を開いた。


「あの兵器が悪しき者たちの手に渡れば、今のこの時代の文明レベルではまたたく間に滅亡してしまいます。そうならない為にも、私たちの手で即刻破壊すべきです」


「それに、人間たちが滅びてしまったら、ワタシたちフェルミドールが存在する意味が無くなっちゃうからね!壊す事には大賛成だよ!」


 機械人形の二人もそれぞれ賛同してくれた。


「⋯⋯決まりですね」


「⋯⋯あぁ、決まったよ。⋯⋯今すぐにでも遺跡ごと爆破してくる」


「えぇ⋯⋯、遺跡ごとですかぁ⋯⋯?」


「⋯⋯うん。今の時代に、機械はいらないよ。ファルシアとフェリシアは別としても、少なくとも機械遺跡は全部破壊したいかな。悪用されない為にも」


「そっか⋯⋯。⋯⋯そうですよね」


 アイビスは少し元気を無くしていた。理由は分からないが⋯⋯。


「⋯⋯それじゃ、私たちは行ってくるよ」


「はい、お気をつけて。⋯⋯くれぐれも、私の事は話さないでくださいね?」


「もちろんだよ」


 話せば私たちだけじゃなくて、バレンさんの首も飛ぶ。絶対にバラす訳にはいかない。



「⋯⋯ん(ぎゅっ)」


 足元でユニが抱きついてきた。きっと不安なのだろう。


 私はユニを持ち上げ左手に抱きかかえた。



 護ってみせるさ。絶対に。

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