二十八話:少女の秘密と名前
〈〜こんこらむ:23〜〉ドラゴン(ワイバーン)
世界最強クラスの超巨大生命体。『龍』は意思疎通が可能な種族、『竜』は意思疎通が不可能な種族であり、その種類も豊富。以下、その一部を紹介。
《四大龍》
ドラゴンの中でも頂点に位置する四頭の巨龍。それぞれが独自の意志を持ち、人間との会話も可能。基本的に人間との接触は無い。
・聖霊龍フェアリードラゴン(人間に好意的)
・黒炎地龍ダークネスドラゴン(中立)
・光輪龍シャイニングドラゴン(中立)
・深海蒼龍アビスドラゴン(人間に若干の敵意)
《原始の龍》
全てのドラゴン、ワイバーンの起源となった龍。四大龍全てに認められた者しか会う事は出来ない上、存在するかどうかすらも定かでは無い。封印されている説もある。
・天元煌龍シエラドラグーン
《レッサーワイバーン》
最も数が多いワイバーン。羽は退化しており、飛行も不可能。とはいえその攻撃力と鱗の防御力は高く、並の剣では傷一つつけられない。雑食性。
「⋯⋯(もくもく)」
夜。
私は保護した少女にご飯を食べさせていた。
「ん〜〜。やっぱり師匠のご飯おいし〜♡」
少女の横では、アイビスがご飯をかっ込んでいた。
このところ、アイビスは私の事を「師匠」とは呼ぶのだが、師匠とは思っていないのでは無いかという疑惑がある。いつの間にか家に居ついていたり、当然のように食事に混ざっていたり⋯⋯。
「師匠」というのがすっかりアダ名のようなものになってきている。⋯⋯気がする。
「師匠、おかわりもらって良いですか?」
「⋯⋯良いよ」
「ありがとうございます!」
満面の笑顔だ。それはもう、眩しいほどに。そして可愛い。
⋯⋯私もずいぶんと甘くなってるな。まぁそれも今では心地よい。
「⋯⋯君も、もっと食べるか?」
少女に問いかける。
「⋯⋯(こくり)」
少女は無言でうなずき、空になった器を前に出してきた。
私は二人分のご飯をよそった。
◆◆◆
食後。
ファルシアとフェリシアに少女の身体を調べてもらった。古代の機械技術でも、何か分かるかもしれないと期待しての事だった。
「スキャン終了。身体構成物質のおよそ三割は、人間とは異なる細胞で構成されています。該当データ検索、⋯⋯該当無し」
「⋯⋯つまり、この娘は人間じゃないって事?」
「いえ、間違いなく人間です。左手の一部、左足、心臓部に未知の生物の細胞が移植されており、それが少女の身体と融合・同化しているものと思われます。見た目に変化が無いのもその為と思われます」
驚きの事実だった。
ファルシアの分析力も、この少女の事も。どちらも現実離れしている。
「⋯⋯そうか。参ったな⋯⋯」
「この娘の怪我の再生力も凄いよ?包帯巻いてただけなのに、もう傷が塞がってる。この調子なら、朝には傷も無くなってるかも」
「⋯⋯それも、その未知の細胞の力なのか⋯⋯」
「はい。その可能性が高いです」
「⋯⋯⋯⋯」
考えても分からない。なら、次の事を考えよう。
私は少女に話しかける事にした。
「⋯⋯」
「ねぇ。名前、聞いても良い?」
「⋯⋯⋯わかんない」
「⋯⋯え?」
「⋯⋯一度も、名前、呼ばれた事無い。⋯⋯だから」
「⋯⋯」
どれだけ過酷なところにいたんだろうか。この小さな身体に、どれだけの仕打ちを受けてきたのだろうか。
考えるだけでもおぞましい。
「⋯⋯じゃあ、仮だけど名前をつけてあげなきゃね」
せめて、ここにいる間だけでも名前で呼んであげたい。
「⋯⋯どんな名前が良い?」
試しに聞いてみる。
「⋯⋯⋯わかんない」
だよね。
「私はご主人様に一任します」
「ワタシも〜。ご主人様におまかせしまーす」
先手を打たれてしまった。
「私も、師匠におまかせします。さすがに酷い名前なら抗議しますけど」
「じゃあ、せめて一緒に考えてくれよ⋯⋯」
薄情な弟子だった。
さて⋯⋯。どんな名前が良いか。
元の名前があるとはいえ、名前は一生ものだ。ヘタな名前はつけられない。
神話やおとぎ話に連なる名前でも良いかもしれない。あるいは、どこでも聞くような普通の名前にした方が特定されにくくて良いかも?追手がいつ来るかも分からない以上、それも有りか⋯⋯。
⋯⋯どうしよう。
少女の名前を思いつくまでに、一晩中かかった。
その頃には、少女はアイビスと一緒のベッドで寝ていた。ファルシアとフェリシアも、ソファに並んで座ってスリープモードに入っていた。
「⋯⋯⋯⋯」
寝るか⋯⋯。
前書きが長くなってしまいました⋯⋯。設定考えるのが楽しくてしょうがないのです。
というか、ストーリーがどこに向かっているのか分からなくなりそうです⋯⋯(汗)




