二十一話:食事と相談
〈〜こんこらむ:16〜〉フェルミドール
後方支援型機械人形の通称。全4機存在し、量産はされていない。
メイン動力源は太陽光。全身にソーラ・システム・ラインと呼ばれる太陽光を受けるパネルラインが埋め込まれており、そこから光を吸収し、体内のソーラ・システム・コアでエネルギーに変換する。変換効率はかなり高い。一時間の充填で一月は保つ事から、機体の燃費もかなりの高水準。
サブの動力源は魔力。心臓部に埋め込まれた大型魔獣の魔石を核とし、登録者の魔力を自動吸収する事でエネルギーに変換する。あくまでも予備である為、登録者からの供給が途絶えると1時間くらいしか保たない。
「いらっしゃいませ〜!」
私たちは、ギルド近くの飲食店・オラージュに来ていた。この店は魚料理専門店であり、どちらかといえば獣人・亜人たち他種族に人気がある。
店内に入ると意外な人物が声をかけてきた。
「やぁ、こんなところで会えるとは、奇遇だねぇ」
「ギルドマスター⋯⋯」
「とりあえず、こちらにおいでよ。一緒に食事でもどうだい?」
「では、お言葉にあまえて」
「⋯⋯ご一緒させていただきます」
私たちはギルドマスター・バレンさんに手招きされて、相席させてもらう事にした。
「そちらの二人は、新しい仲間かな?双子とはまた珍しい⋯⋯」
「えぇ、頼もしい仲間ですよ」
「初めまして、バレン様。私はファルシアと申します。以後お見知りおきを」
「初めまして!妹のフェリシアでーす!よろしくお願いしまーす!」
「ははは、元気があって良いな。⋯⋯しかし、双子か。つい最近も双子の冒険者が登録されたと聞いた。最近は双子が増えてきているのかな?」
「⋯⋯いえ、偶然ですよ」
「まぁそうだろうな。ほら、何か注文するといい。貴重な時間が過ぎていくぞ?」
「そうですね」
バレンさんに促されながら、一通り注文を終えた。
しばらくすると注文した料理が次々と運ばれてきた。
「食べながらでいいから、少し相談事を聞いてはくれないかな?」
「聞くだけなら、良いですよ」
「ありがとう。⋯⋯その前に質問なのだが、君たちには、何か目的は無いかな?」
「目的、ですか⋯⋯?」
「そう。冒険者にはよくある話だろう?最強を目指すとか、お宝を探し出したいとか」
「いえ、そういったものはありません。⋯⋯アイビスは、何か無いのか?」
「え?⋯⋯んぐんぐ。ごくん。うーん⋯⋯、魔法が使えないってはっきり分かりましたから。⋯⋯特に、ありません⋯⋯」
「お、⋯⋯おぅ」
答えながら、アイビスはどんどん落ち込んでいった。あの時の事からはまだ立ち直れていなかったようだ⋯⋯。
「二人は⋯⋯。特に無いよな?」
「そうですね。妹たちには逢いたいのですが、もう逢えないかもしれませんし。特にはありません」
「ワタシも右に同じ〜。特にありませ〜ん」
二人も特に無かった。まぁそうだよね。
「ふむ。⋯⋯では、特に問題は無いか」
バレンさんは少し考えてから、私たちに向き直った。
「では、改めて君たちに相談だ。⋯⋯君たち、ギルド直轄の"特命職員"にならないか?」
「⋯⋯特命職員、ですか?」
「そうだ。あらかじめ言っておくが、決して裏稼業のような怪しいものではない。これはギルド協会が定めた、公式的なものだ」
特命職員。初めて聞いた。少し興味が出てきた。
「各支部のギルドマスターは、それぞれ自分の業務を一部代行してくれる秘書を置く事が許されている。一人では厳しい事もあるのでな。特命職員もその一つだ。ギルドマスターからの勅命を受けて行動する実行員のようなものでな」
「⋯⋯つまり、ギルド職員になって欲しい、という事ですか?」
「まぁ、そういう事だな。と言っても形式上のものだがな。特命職員には、多少の荒事は制圧出来るような実力も必要でな。必然的に冒険者たちに絞られてしまう。だが、冒険者たちは自由を求める者たちばかりでな。誰も受けてはくれぬのだよ⋯⋯」
バレンさんは落胆した表情で語っていく。
当然の話ではある。冒険者稼業は危険ではあるが、自由である。時には国をも超えてどこまでも行く事も出来る。ギルドに縛られるのは嫌なのだろう。
「⋯⋯つまり、ギルド直属の何でも屋、って事でしょうか?」
「そういう事だよ、お嬢さん」
「⋯⋯それは、"冒険者として"はもう動けないのでしょうか?」
「いや、そんな事はない。私からの呼び出しが無い時はそのまま続けてもらって結構だ」
あれ、そうなのか?意外だ⋯⋯。
「まぁ出来る限り、この街にいてもらわなくては困るのだが」
やっぱり、この街は離れられないか。そうそう旨い話は無かったという事か。
さて、どうしよう。職員となっても冒険者として活動は出来るが、行動に制限がついてしまう。しかもこの街から出るのも難しく⋯⋯、は無いか。一言相談すれば良いか。
「⋯⋯⋯⋯、受けます」
「おぉ、受けてくれるか?」
「⋯⋯はい。とりあえず引き受けます。続くかどうかはやってみなくては分かりませんが⋯⋯」
「あぁ、それで構わないとも!⋯⋯よし、ではこの食事を終えたらギルドへと向かう事にしよう。職員の説明についてはそこでな」
「分かりました」
とりあえず引き受ける事にした。どのような仕事になるかは分からないが、経験はしておいて損は無いだろう。後は、続けられるような仕事内容である事を願うばかりだ。
前書きの解説にある『ソーラ・システム・ライン』は、充填中は身体全体に入れ墨のような紋様で浮かび上がる形で発光します。そんなイメージです。(理解出来なかったらスミマセン)




