十八話:双子の機械人形ファルシアとフェリシア
〈〜こんこらむ:14〜〉魔法について③ 火属性
魔法六属性の一つにして基本的な四属性の内の一つ。炎熱・雷系も火属性に含まれる。
上位魔法に火焔、最上位に光魔法が使用可能になる。
代表的な魔法は『フレアブラスト』『ライトニングキューブ』『プリズムウォール』など。
「とりあえず、二人とも自己紹介をお願い」
私は目の前の二人に、自己紹介を促した。双子なんて初めて見たぞ。
「まずは私から。私は後方支援型機械人形S−101、通称"フェルミドール"。個体名ファルシアです」
「同じく後方支援型機械人形S−102のフェルミドール、個体名フェリシアでーす。ぶい♪」
二人はそれぞれ自己紹介をしていく。が、二人の温度差がすごい。
「見た目も声もそっくりなのに、性格は全然違うんですねぇ⋯⋯」
アイビスが素直な感想を述べる。私も同じだった。
「私たちフェルミドールは、元になった人間の擬似人格がインプットされています。性格が違うのは当然です」
「もぅ、お姉ちゃんは硬すぎだよ〜。ほら、笑って笑って〜?」
「大きなお世話です」
⋯⋯なんか、漫才でも見ているかのようだ。彼女たちが本当に機械なのが信じられない。
「えーと⋯⋯。後方支援型って言ってたけど、具体的には何が出来るの?」
「私の役割は主に索敵、魔力制御、捕縛、魔力防御支援などです。医療技術にもある程度の心得があります」
「ワタシは主に探索、魔力制御、物理防御支援でーす。武装の修復なんかも出来ちゃうよー♪」
「同じ後方支援でも、ずいぶん役割が違うな⋯⋯」
ファルシアが魔法支援寄り、フェリシアが物理支援寄りという事か。二人揃った時の万能感がすごい。
「ただし、戦闘力はほとんどありませんので、ご了承ください」
「一般的な人間よりちょっと強い程度でしか無いからね〜。ゴメンね?」
戦闘力が無いのは仕方ない。後方支援が役割なのだから納得出来る。だが、私が興味があるのはそこでは無い。
「二人とも魔力制御が出来るみたいだが、本当なのか?」
「はい。私たちの中には擬似魔力変換機能があります。分かりやすく説明すると、人間と同じように体内で魔力を精製出来る、という事です」
「そしてそれを応用する事で、外部の魔力を制御出来るんだよー。スゴいでしょ?」
凄い。想像以上だ。もしかしたら、私の制御出来ない莫大な魔力を制御出来るようになるかもしれない。少なくとも可能性はある。
「⋯⋯ねぇ、二人とも。相談があるんだが⋯⋯」
「何でしょうか?」
「実は⋯⋯」
私は切実な自分の魔力制御問題を相談した。そして、ファルシアには体内の魔力を調べられたりした。
そして、色々と話し合った結果⋯⋯。
「制御自体は可能です」
「うん。行けそうだね」
「⋯⋯っ!やったああああああぁぁぁぁ⋯⋯!」
ついに!ついに長年の魔力制御問題が解決した瞬間であった。間接的であり、根本的な解決では無いものの、当面は大丈夫だろう。
「スゴい!やりましたね、師匠!」
アイビスも一緒に喜んでくれた。あぁ、喜びを共有出来る事の素晴らしさよ⋯⋯。
「ただ、制御は私たち二機がかりになりますね。ご主人様の魔力が膨大過ぎて、私単機では不可能です」
「あ、そうなんだ⋯⋯」
「はい。なのでご主人様が魔法を行使する際には、私は魔力の出力・集束調整補助と反動制御に専念致します」
「んで、ワタシが魔力の方角・射角調整と防御担当だね。ご主人様は魔力がスゴ過ぎるから、制御が大変だよ〜」
二人がかりで私の魔法を制御してくれる。しかもフェリシアが防御も担当してくれるのだから、無防備でも無くなった。今回の遺跡調査で一番の成果だ。もう大満足だ。
強力過ぎる仲間が二人も増えて、私は満たされた気分で帰路についた。
ついに出ました、メカ枠。正直、この双子がいないと活躍しづらい主人公なので、なんとか登場させられてホッとしております。
正直、異世界ものに機械はどうかと思ったりした時もありましたが、前例もあるし良いかなと開き直りました(笑)