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【書籍化】前世、弟子に殺された魔女ですが、呪われた弟子に会いに行きます【コミカライズ】  作者: 沢野いずみ
本編

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50/61

50:今の二人



「ヴィンセント」


 思考が一瞬過去に戻っていたヴィンセントは、アリシアの自分を呼ぶ声で現世に戻った。


「アリシア」


 ヴィンセントは愛しい存在の名前を声にのせた。愛を込めて呼ぶのは二百年ぶりだ。愛しい、アリシア。


「あなたは、私を嫌ってはいないのですね?」


 アリシアが念押しのように聞いてくる。アリシアを嫌うなど、ヴィンセントにはありえない。

 二百年、ただ一人を想っていたのだから。


「愛している」


 ヴィンセントは精一杯の気持ちを伝えようと、口にした。アリシアは赤い顔で俯いた。


「その……それはわかりました……」


 アリシアが顔を赤くして言う。ヴィンセントはその事実だけでうっとりした。

 あと、少し手を伸ばせば、アリシアを抱きしめられる。

 しかし、ヴィンセントにはその資格がない。

 ヴィンセントはアリシアを殺した張本人なのだから。

 伸ばした手を引っ込めたヴィンセントを見て、アリシアは言った。


「あなたは、未だに、幸せを拒否しているのですね」


 何を言っているのか。ヴィンセントには、幸せを享受する資格がないだけだ。


「ヴィンセント」


 アリシアがふわりと笑う。ああ、笑い方からも、前世のままだ。ヴィンセントは吸い寄せられように、アリシアに近付いた。


「ヴィンセント」


 アリシアが自分を呼ぶ。それだけで、ヴィンセントは酩酊したかのような気分になる。


「私は、一つ嘘を吐きました」


 アリシアはヴィンセントの手を取り、両手で握りしめた。


「私は、自分に『祝福』をかけられないと言いました」


 ぎゅっと手を握られるとアリシアの体温がヴィンセントに伝わる。


「あのとき、私が自分に『祝福』をかけられなかったのは――私がそれを望んだからです」



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