表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/61

30:アリシアの過去 5



 それからしばらくして、ヴィンセントが森にやってきた。

 アリシアの森の周りは厳重に警備されているはずなのに、どうやって入ったのか、アリシアにはわからない。

 そして、それはきっと、アリシアが知らなくていいことなのだろう。

 アリシアは自分に自信がない。だから、弟子になりたいという青年の希望を断った。

 しかし、青年はそれでもいいと言った。

 だから、アリシアは。


 ――その人は、英雄になりますよ。


 この人が、英雄になればいいと、思った。




◇◇◇




 やっぱり弟子は英雄だった。

 だから、きっと、悪い魔女である自分を、倒しに来たのだ。

 ごめんね。ごめんなさい。

 他の国が、そんなことになっているなんて知らなかった。

 自分は死ぬべきなのだと、本当はわかっていた。

 でも死んだら弟がどうなるかわからなくて、死ねなかった。

 でも、もう、いいだろうか。

 アリシアの脳裏に、かつてアリシアに礼を述べた兵士が思い浮かんだ。

 自分は、少しでも、いいことができただろうか。


 いや、まだ――


 アリシアはヴィンセントに手を伸ばす。


「ヴィン、セント、が、幸せになれま、すように」


 きっと、この『祝福』は、英雄の力になってくれるはず。

 アリシアの手から、徐々に命がこぼれだした。それが光となってヴィンセントを包み込む。


 ――どうか、弟を自由にしてあげて。







 ねえ、クロード。


 お姉ちゃん、ちゃんとお姉ちゃんできたかなあ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] うぅぅ……アリシアの過去が切なすぎます……( ; ; )
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ