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ダンジョンの確認と冒険者

ミミックは、まず自分の能力を確かめてみることにした。


(“目録(リスト)”!)


目の前に現れたのは、RPGのステータス画面のようなイメージ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

現在の資産←


現在の負債


魔物作成


罠作成


特別目録


迷宮更新


迷宮マップ


迷宮変更


購入履歴

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


まずは1つずつ調べてみるか。

しかし、“模倣(ミミック)”を解除した状態というのは、落ち着かない。


(“模倣(ミミック)”!)


最近では、とんと“模倣(ミミック)”していなかった、宝箱へと“模倣(ミミック)”する。側から見ると、宝物が溢れんばかりに詰まった宝箱のような見た目になっている。

やはり、落ち着くな。しかも、ダンジョン最奥地ともなれば、そう簡単に冒険者が寄ってくることもないだろう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「現在の資産」

・ミ・ミミク=20000G

・現金=454G

・ダンジョン=-20G/D


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


うん?この「ダンジョン=-20G/D」ってなんだ?


「おい、ステラ!」


「うわ、びっくりした。ミミックさん、喋れるんですね」


「固形の物体に“模倣(ミミック)”すればな。ところで、今、頭の中で“目録(リスト)”を参照しているんだが、

そこに「-20G/D」っていう記号が登場しているんだ。これって、どういう意味なんだ?」


「ああ、それは1日にいくら稼いでいるか、を示す記号ですね。-20Gってことは、1日に20Gを失っている、っていうことですね」


なに?!つまりはこれ、ダンジョンの利益率がマイナスだってことか?どんな管理してたんだ、元オーナー。おいおい、これで月に500Gだって?!

元オーナーは、どうやってそれだけのコインを稼いでたんだ?500Gは全てのオーナーが同率ではないってことも考えられるが。


ミコに聞いてもおそらくわからないだろうし、とりあえず、ダンジョンの現状を知るためにも、マップを広げてみるか。


そこには、ダンジョンを俯瞰した形で表していると思われる、地図が出てきた。

赤い点はほとんどが、常に動き回っており、青い点はまったく移動していない。緑の点は少ないが、4つほどがまとまって移動している。これはなんだ?


1つの赤い点に注目する。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



『ダンジョンバット 5% 0G/D』



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



なるほど、赤い点は魔物か。「0G/D」は利益率が0ってことか。


「なあ、ステラ!」


「おっひょ、びっくりした。まだ慣れませんね。以外にいい声してますよね、バリトンボイスで」


「そんなことはいいから、今、魔物の情報を見てたんだが、そこに「5%」って書かれてるんだ。これはどういう意味だ?」


「それは勝率だったと思いますよ」


なるほど。しかしダンジョンバットでも、5%は勝つのか。案外、冒険者ってマヌケなのか?


次は青い点。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



『落とし穴 1% -1G/D』



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



ははぁ、ダンジョンの利益率がマイナスの理由はこれっぽいな。一度全ての罠を確認してみるか。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



落とし穴 -1% 1G/D

落とし穴 -1% -1G/D

落とし穴 -1% -1G/D

落とし穴 -1% -1G/D

落とし穴 -1% -1G/D

落とし穴 -1% -1G/D

・・・

・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



そこには、落とし穴の項目が、20個綺麗に並んでいた。どんだけ適当なんだよ。そりゃ、これだけしかなければ、すぐに対応されるわ!

一度、全ての罠を解除したところ、ダンジョンの利益率は、0G/Dになった。これでやっとスタート位置だ。


最後の緑は・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



冒険者 50%

冒険者 20%

冒険者 0% 現在の所持G 50G

冒険者 5%


パーティの総合勝率 40% 120G



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



冒険者か。今、何層だ?えっと、こっちが第一層だから、こっちが第三層ってことは。


巨大な扉が、急に音を立てて開き始めた。



「頼もう!!!!ガッハッハってか。おい、ここが最奥地らしいぞ!!!」


「声が、声がでかいです・・・」


「全くですな」


「やーい、怒られてやんのー」


「や、やかましいわ!誰のお陰でここまで来れたのだ?我輩のお陰であろうが!!!!!」


「声が、声が・・・」


「品性のかけらもない」


「あ、おいあれ、宝箱じゃないっすか?」


冗談ではない。冒険者がここまでたどり着きやがった!ステラは俺の影に隠れている。冊子状の羽をたたんで、冊子になりすましている。模倣は俺の領分なんだが。

ミコは遊びに出ている。今帰ってきたら、まずい。いや、ミコほど強ければ、なんてことないだろうが、それでも子供だ。危険な目には、合わせられないぞ。


「おお、早速であるな!!どれ、おい、見ろ!!!流石に最奥地、あのような見事な宝箱はお目にかかったことがないぞ!!!!」


「うひょー、すごいっすね。俺が見てくるっす!」


「おい、待て!!!我輩は、リーダーである。名前はもうある、ド・ラドンだ!!!!!」


「知ってる・・・」


「なに言ってんすか、いいっすよ、譲るっす」


おそらくドワーフであろう男が近づいてきた。目がギラギラと欲に目が眩んでいるのが、よくわかる。コインも確かに価値はあるが、ダンジョンにある宝も確かに冒険者の収入源である。

ラドンと名乗った男がすぐ近くにまで迫っている。ここは、ミミックにとっての正攻法で戦うしかない。


男の手が、こちらに伸びる。


「・・・む、待て!それはミミックだ!!!!」


澄ましたような白いローブの男が、血相を変えて叫んだ。しかし時すでに遅し。ミミックから、針状の触手が伸びる。

え、という間抜けな声と同時に、それはラドンを射抜く。


毒手(ポイズンタッチ)!!!!!」


ドクンと毒を注入する。ギリギリ“暗殺(アサシン)”の効力も相乗したようで、ラドンは字のごとく崩れ去り、そこにはコインが落ちていた。7枚ということは、やはりそれなりに実力者だったようだ。


「まずい、ラドンのおっさんがやられた!逃げるぞ!!」


ちょうどその時、ミコが扉を開けて帰ってきた。


「よいしょっと。あれ、おじさん達、冒険者?」


急に出てきた幼女に一瞬怯んだが、ダンジョンに幼女なんかが、いるわけがないことに気づいたであろう、盗賊と思われる男が、クナイ状の物体をミコに投げつけた。


「“猛火投擲(ファイアスロー)!!!」


「“効果倍増(ダブルアップ)!!!」


投擲された物体に火がつき、黒いローブを纏った女が呪文を唱えると、炎の威力だけでなく、スピードもグンと上がったのが傍目からでもわかった!


「ミコ、逃げろ!!!!!」


「あ、ミミク、喋れるんだ!」


ちょうど、その時、炎がミコに直撃する。燃え盛る炎がミコ包んでいる。一瞬絶望したが、また次の瞬間、


「あれ、遊んでたの?私も遊ぶぅうううううう」


ミコの口から、さきほどの炎とは比べることができないほど炎の波が、濁流となって冒険者達を襲う。


「魔法障h」


黒ローブの女が詠唱を終える前に、炎は冒険者達飲み込んだ。炎の勢いは止まらず、俺の方までやってきた。前回、大丈夫だったから、今度も大丈夫だろうと油断していたら、見る見るうちに体が蒸発していた。


「ズドップ!ミゴ、ズドップ!!!」


擬似的に作り出された喉が焼けたのか、声がうまく出なかった。なんとかミコは炎を収める。


「あれ?もう終わり?あ、また黒くなってる」


炎に包まれた冒険者達は、黒い炭となって崩れ落ちる。そこにはコインが煌めいている。


「あ、冒険者とは遊ぶなって、父上に言われてたんだった・・・」


1人ショボンと、落ち込んでいるミコはひとまず置いといて、そこに落ちているコインを確認する。


全部で170枚だ。なるほど、先程冒険者の1人の横に、50Gと書かれていたが、所持していたコインも全て落とす訳か。RPGなら半分だったはずだが、冒険者業はなかなか世知辛いようだ。さらに、パーティの総合勝率と書かれてあった項目の右に合った120Gというのは、冒険者が倒れた時に落とすコインのようだ。これで、大まかな戦力も分かるということか。


ステラが影から出てきた。何やら少し、怒っている様子。


「・・・ミコちゃん!ちょっと来なさい!」


「・・・はい」


「あのね、遊ぶのはいいけど、突然、炎を吐くのはダメ!お客さんだったら、どうするのですか!」


「・・・はい、グスン」


「今回は、もう仕方ないけど、今度からは気をつけることです!いいですか!」


「・・・はい・・・」


「ほら、涙を拭いて。私の羽は紙製ですから、炎と水に弱いんです。でも、今日は悪い人たちでしたから、偶然とはいえ、よくできました」


「・・・本当?!」パァ


案外、ステラは叱り方が上手だな。メソメソしていたミコが、もう笑っている。


「ミミク!ミミク!!怒られたけど、褒められた!!」


「うん、よくやったぞ、ミコ。でも、今度からは、俺かステラに確認するんだぞ!」


「わかった!ミコ、約束する!!」


やっぱり子供なんだな、ミコ。

さて、俺が弱っている件だ。パラメータはいじってないんだがなぁ。うん?購入履歴ってのがあるな、どれ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



購入履歴


名前(ミ・ミミク) 2000G



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



うん?買った覚えはないが、まさか、ミコが俺をずっとミミク呼ぶのは、ミミックっていう発音が難しいからだと思っていたが、あ!!そういえば、『お買い上げ、〜』とか脳内で響いていたのは、これかぁ。


ってことは、



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



現在の資産


ミ・ミミク=20000G



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



あ、やっぱり、見落としてた。最初は40000Gあったはずだもんな、半分になってる。換金率はパラメータ/10って言ってたし、これだ。つまり、俺のパラメータのパワーアップ分も、半分になってるのか。


これで、先ほどの炎で俺にダメージを受けた謎が解けた。


うん、まぁ、仕方ないか。それよりも、俺がダメージを受けたってことは、現状において、俺の方が弱いってことか。ミコ、恐ろしい子。


てか、名付けに2000Gって、高すぎないか?


(なぁステラ)


「はい?あれ、今度は思念通話ですか。ポイポイ切り替えて、器用な真似しますね」


(喉が焼けたんだよ。“模倣(ミミック)”を解いて、また“模倣(ミミック)”すれば元に戻るが、面倒くさいから。なぁ、魔物にとって、名付けって、そんなに価値があるのか?)


「ええ、ありますよ。“名札付(ネームド)”と言って、この世界の住人として、定着したってことですから、そんじょそこらの魔物とは一線を画す、“魔人”に分類されることになります」


(それって、なんかいいことあるのか?)


「例えばですが、寿命が伸びます。それに伴い、成長率も格段に上がりますね。名付けは名付けたものの魔力を消費しますから、もともと魔力が強い魔物にしかできませんけどね」


と、いうことは、今回は俺の魔力を間接的に使ったわけだから、自分で自分を名付けたのか。


あと、ダンジョンではあまり関係ないですが、魔人の国エリエント王国の住民権を得たということになります」


(え、魔人の国なんかあんの?)


「ありますよ。世界地図でも見ますか?」


おもむろに、冊子の羽を広げ始めた。


「ほら、最後のページです」


(お前、そこってやっぱり冊子だったのか・・・)


「こ、こちょばゆいので、は、早くしてしてください///)


触手を二本伸ばし、冊子を広げる。

ガイア大陸と大きく書かれた島に、いくつかの国が載っている。聞きたい事はたくさんあるが、ひとまずはあまり関係なさそうなので、自分が住むダンジョンの場所だけ把握する。


(この、『洞窟』ってのが、俺らのダンジョンだって?)


「そうです。大森林の中にある、最小のダンジョンです」


(最小?!これで?!)


「ちょっと、強く掴まないでください、羽は敏感なので・・・///

『魔界』『魔境』『地下都市』『生命樹』『洞窟』の順に大きいです。実際の大きさは、そのダンジョンが保有する魔素で左右されるので、このダンジョンは一番魔素が少ないってことですね」


(魔素の量って、何で決まるの?)


「も、もういいですよね、離してくださいっ///

ゴホンっ、えー、要因はいくつかあるのですが、大きく3つですね。


1、魔物の数

2、死者の数

3、魔物植物の数


魔物は確かに魔素で構成された生き物ですが、繁殖しますので、プラスマイナス、プラス勘定なんです。

死者の数は、人間/魔物を問いません。コインになり損ねた魂の残滓が魔素になるとも言いますが、実際のところは女神様しか知らないですね。私も一部だったわけですが、そこまで引き継いでないようです。

魔物植物は特殊で、普段は魔素を吸収しながら生きているんですが、人間や魔物を消化する過程で、普通に死ぬよりも多くの魔素を生産するんですよ。これもプラスマイナス、プラス勘定です。


こんなところでしょうか」


なるほど、こいつ、本当にびっくりするくらい、時々、有用なんだよな。戦闘に関してはからっきしだけど。

つまりは冒険者をたくさん呼んで、たくさん殺せば、逆に魔物が殺されても、魔素で言えば、どっちでも増えるわけだな。

しかも、冒険者でも魔物でも、殺される事で、コインも回収できると。ふむ、ふむふむ。

魔物植物を増やせば、魔素は増えやすいが、あいつらも積極的に狩るタイプじゃないし、なかなか運用が難しいかもしれんな。


(あれ、でも、その計算だと、冒険者がいれば、魔素はずっと増え続けることになるけど、実際はマイナス利益になってたのは、なんでだ?)


「結局、殺すか殺されるかしないと、魔素はコインになりませんし、なによりこのダンジョンは、冒険者にあまり人気がなく、ここに来る冒険者が少ないからですよ。知ってますか、『洞窟』は「枯れたダンジョン」として有名です」


と、いうことはだ、まず何にしても、冒険者を呼ぶ必要があるわけだ。これは具体的に考えていかないといけないな。経営っぽくなってきた。


「でも、しばらくは、冒険者達が続けざまにやってくると思いますよ」


(うん?なんでだ?)


「だって、先程殺した冒険者達が、復活して、強い魔物の出現を噂にするでしょうから。強い魔物ほど、より多くのコインを出しますから、ミミックさんにも、懸賞金がかけられてるかもしれませんね。あ、あとミコちゃんにも」


やはり冒険者は復活するのか!お約束だな!これで罪悪感も、払拭されるな!元々あまりないけど。


よし、状況は把握できたし、ひとまずの目標ができた。まずは冒険者を呼ばねば、話にならないし、それを持続させねばならない。そのためには、俺もそう簡単にやられてはおけないな。


よし、まずは、「冒険者倍増計画だ!」


「ちなみにですが、現在の冒険者の侵入率は、月に5組がいいとこですね」


(・・・え、そんなに少ないの。

なら、「冒険者10倍計画」だ!!!)


マイナス利益は解消した。あとは改良あるのみだ。





======現在の状況======


所持金:

524G(↑100)

→ダンジョンの運営費と、さきほどの冒険者が落としたコインでプラスマイナス100G


資産:

・「ゴルデンミミック(変異種)」=2000G


スキル:

・“模倣ミミック”=対象物に擬態する。

・“換金エクスチェンジ”=コインを使ってパラメーターを高めたり、魔物を召喚できたりする。

・“捕食”=対象物をHPに変換する。

・“毒手ポイズンタッチ”=相手にわずかな物理ダメージと、毒効果を與える。

・“暗殺アサシン”=相手に気付かれず攻撃に成功すると、攻撃力が3倍になる。

・“目録(リスト)”=“換金(エクスチェンジ)”で行使可能な項目を羅列する。内容は多岐にわたる。



ステータス

・HP=120+5000

・MP=20+5000

・物理防御力=60+2500

・物理攻撃力=300+2500

・魔法防御力=20+2500

・魔法攻撃力=20+2500


従業員

・ステラ 職務:秘書 給料:2G/Day


友達

・ミコ 種族:地底龍ランドドラゴン、幼女




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