紫苑
あなたは薄暗い河原でひとりぼっちなのだろうか
なにもかもがわたしの罪なのに
罰はあなたが受けているのか
わたしにはあなたの犠牲の上に生かされる価値もない
せめて世界の終わりをともに過ごしたかった
切り刻まれるのはわたしで良かったのだと
あなたが残してくれた体を切り刻む夢ばかりを見る
また会えるならと知る限りのまじないを試しては
わたしの未練があなたを縛るのではとすべてを無に返し
一度も会えたことはなかったし
今後も二度と会えないのだと
時折我に返る
せめてわたしを恨んでいてくれればいいと思うが
あなたはきっとそんな汚い感情を知らないのだろう
日が昇ることを忘れ
月の満ち欠けだけが暦になり
あなたに会うための儀式も虚しく繰り返し
訪れなかった夏がもうすぐ来ようとしていることに気付く
わたしだけが知っているあなたの名前を呼ぶことも決してなく
世界があなたの名前を知ることも決してなく