プロローグ 「俺は二学期早々嫌われた」
「裏切り者」
彼女から俺に放たれたその一言は、とても冷たく、貫くような声をしていた。
俺にも何の事だか分からない。
けれど、その言葉にはすごい圧力があった。
彼女の目は濁っていた。
赤い赤い血のように。
彼女は、本気で言っている。
一瞬で確信することができた。
俺は彼女に何をしてしまったんだろう。
なにかした覚えはないが、後悔してしまった。
「すみません、僕が何かしましたか」
びびって僕って言っちまったよ、俺らしくないな。この顔で僕キャラって似合わなすぎかよw
草生えちゃったよ、アマゾンになっちゃったよ。
「とぼけるな、このクソ野郎。あと草刈るぞ」
あれ、おかしいぞぉ。裏切り者からかなり格下げられたんだかどぉ。
クラスのみんな『ざわざわ』しちゃってますよぉ。『ざわざわ』って聞こえちゃってますよぉ。
それより、なんで心読まれてんだよ。こっわ。
彼女は容姿は可憐で、愛らしく、嫁にしたいぐらいだ…ゴホッゴホッ。
思わず文字で咳しちまったよ。
それでいて俺は、ほんの、ほんのちょぴっとだけ怖い顔立ちをしている気がする。え?誤魔化すなって?黙れ小僧。
それより…俺勝てる一切要素なくね?
「…ぜっ、絶望的すぎんだろぉぉぉぉぉぉ」
思わず声を出してしまった。
やめてぇ、白目で見ないでぇ。目線が痛いよぉ。僕の豆腐メンタルがぁ…
『あそこまで言わせるなんて』『光莉ちゃんに何したんだ』『俺の光莉ちゃんによくも』
おいおい、また聞こえてるよぉ。てか、いつお前のものになったんだよ!!
どうしよう。ここからの逆転方法が見当たらない。でも、まだ言い訳すればなんとか。なんとかぁ…
「あの時の事、絶対に許さない」
何言ってくれてるんだよおおおおおぉぉぉ……
逆◯裁判でもこんな不利な状況ねぇよ!!
と、ゆーことでね
二学期早々
転校してきた金髪美少女に裏切り者扱いされ、ついでにクラス全員に嫌われた。
はぁ…これからどうしよう…マジでヤバイぞ
俺のバラ色の高校生活が…
あ、俺の数少ない友達の中で頼れるヤツがいるじゃん。
あんまり話したくないけど…まぁ、あいつに頼るしかないか。
あの厨二病女に。