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第2話 救援の少女

僕が気が付くとそこは森と平原のはざまだった。


グキッ!


僕は、歩き出そうと左足を地面についたとたん、激痛に襲われた。


「うおおっー!いってー!」


僕は思わず叫んでしまった。

僕は、足を骨折していたので松葉杖を使っていた。

しかし、転移のとき際に、松葉杖はついてこなかったようだ。


まずいっ!

このままでは、のたれ死んでしまうっ!

女神様の幸運は発動していないのかっ!


僕は幸運のステータスを確認したが、★のままだった。


クソッ!

適当に這いずっていれば、街についたりするのか。


僕は、助けを求めるために大声をあげた!


「おぉーい!誰か助けてくれーーーっ!」


僕の叫びは虚しくこだました、ように思われた。


そうすると、僕の叫びに誘われた野獣どもが集まってきた。

四つ足の獣だ。

頭はライオンなのにしっぽの代わりにヘビが生えた醜悪な怪物だ。

やばいっ、このままでは殺される。


グルルルルゥー!


うおおっ、これはかなりお腹が減っていらっしゃるご様子。

童貞なんか食べても美味しくないぞっ!シッシッ!

僕は、恐怖のあまりぎゅっと目をつぶった、その時。


目の前の空気が揺らいだ。

すると、目の前の野獣たちの首が落ちた。

僕は助かったのだ。


僕の目の前には、怪物の返り血を浴びた一振りの剣を携えた戦士が佇んでいた。

その戦士は、銀色に近い金色の髪を三つ編みにした女の子で、白を基調にした神々しいアーマードレスに身を包んでいた。

それに、なんというかめちゃくちゃかわいい!

身長は僕より低いくらいだけど、地球で見たあらゆる女の子を凌駕する美しさだ。

青く大きい瞳が僕を見つめている。


「あなた、こんなところで何をしているの」


女の子は僕に話かけた。

動きに似合わないずいぶん優し気な話し方だ。


「あら、足が折れているじゃない、何があったのかしら」


僕は、突然現れた女の子に驚きながらも足が折れた原因を話そうとした。

僕は、不良などには弱いが、優しい女の子には結構強気にでれるのだ。


「ぐ、この足は、暴竜愚連隊ぼうりゅうぐれんたいというやつにやられたんだ……」


しまった。こんなローカルな暴走族の名前を出しても、この異世界の戦士には知る由もないか……。


暴龍紅蓮帝ぼうりゅうぐれんていですって?」


女の子が驚いている。

どうやら、話が通じたようだ。

この世界にも同じような名前の暴走族があるらしい。

僕は続けた。


「そう。暴竜愚連隊ぼうりゅうぐれんたいという【やっかいな奴】だ、僕を跳ね飛ばして【足を折ったくせ】に逃げていったんだ。おかげで治療費を貰い損ねた。次に見つけたら、【治療費を請求】してやる」


僕は、暴走族にはねられたときの怒りを思い出して心底憎らしそうにそう言った。

クソッー。思い出すだけで腹が立つ。


~~~~~

暴龍紅蓮帝は、四大邪龍の中でも最も狂暴とされる赤龍レッドドラゴンであった。

その炎の息は、鋼鉄をも溶かし、その爪は、ミスリルの鎧も貫くとされる。

その巨体の硬度は、神が作った金属と同程度の強度を誇り、人造の武具では傷を負わせることすらできないと言われていた。

~~~~~


女の子は、思った。


(暴龍紅蓮帝を【やっかいな奴】呼ばわり……。同格か格下と見ているということ……。それどころか、あの邪龍の体当たりに直撃して【足が折れる】だけで済むなんて……。しかも、逃げて行った邪龍に【治療費を請求】するですって……。なんてことなの、この人は伝説の神話級の戦士に違いないわ)


「だから、あなたは邪龍の洞窟があるこの森の近くにいたんですね」


女の子の話し方が優しい上に、急に敬語になった。

よくわからないが上手いこと話が進んでいる。これはラッキーだ。

アスペルガー気味の僕は、うまく話すのが苦手だったのでこれはいい傾向だ。

僕は、よくわからなかったが、とにかく肯定した。


「そうなんだ。杖もなくしてしまったし、どこにも行けなくて困っていたんだ」


僕はそう答えた。


女の子は考えていた。


(瘴気を纏った攻撃で受けた傷は、回復ができないはず……。神の恩寵を受けた聖女の癒しでもない限り……。一生治癒できない傷害を負っているのに、邪龍と戦うことをあきらめていない。この方の精神はなんて強靭なのかしら……。なんてカッコいいの……)


「もし……よかったら、私と一緒に街まで帰りませんか。私は、ギルドの依頼で、邪龍の洞窟の近くの魔物を討伐しにきていて、近くに馬を連れてきています」


女の子はなぜか頬を赤らめ照れたようにそう言った。

やったー!

なんとか生き延びることができそうだ。

僕はうれしかった。


「本当に助かるよ、ありがとう、僕はタカシミヤモト、キミの名は」


僕は感激のあまり女の子の名前を聞いた。


「私は、ラケシスと申します。冒険者をやっています」


「そうか、僕に敬語はいらないから普通にしゃべってくれて構わないよ」


「わかりました、いえ、わかったわ」


ラケシスはちょっと照れならがも普通に話しかけてくれた。


僕は、ラケシスが乗ってきていた羽の生えた馬のようなものに2ケツをさせてもらって、街まで運んでもらうことになった。

たぶんこの馬はペガサスというやつだろう。

僕は、ラケシスの後ろに乗っかった。

馬から振り落とされるのを防ぐために、ラケシスの胴体にしがみつくと、オッパイらしき柔らかい感触が手に触れた。Fカップはあるな。これはラッキーだ。きてるぜ。

ラケシスもビクッと反応していたが、これはまんざらでもない様子だ。

僕は、勃起した股間がラケシスに当たらないように極力腰を引いた。


しかし、ラケシスは、さっきも野獣を簡単に一掃したし、やっぱりすごい戦士なのかもしれない。

僕は、鑑定のスキルでラケシスの能力値をチェックした。


名前  ラケシス

年齢  16

生命力 250

魔法力 200

レベル 80

腕力 S

速度 SS

体力 A

魔力 B

精神 A

幸運 E

総合戦闘力 S

スキル  戦神の加護 神速剣 首

装備   レーヴァテイン 戦乙女の鎧



うおーっ!やっぱりすごいの戦士だ。

僕は、さらにスキルと装備に対して鑑定を行った。


戦神の加護:腕力、速度、武器攻撃力が超上昇。戦闘時に武装解除されることがない。

神速剣  :常人が1度の行動を行う間に5回の斬撃を威力を落とさず行う。速度が劣る相手には回避が発生しない。

首    :一定の確率で即死させる。レベル差により発動確率が変化する。

レーヴァテイン:神が創造した魔剣。破壊されることがない。

戦乙女の鎧  :神が人間の王に下賜かしした伝説の鎧。魔法、ブレスに強力な耐性をもつ。


装備も凄いっ!

これは、さっそく僕の幸運の作用で最強の仲間をゲットしてしまったかもしれない。

僕は、この世界で生きていくための取っ掛かりを掴んだ気がした。


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