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極貧お嬢と五人の執事  作者: 流星


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閑話(お嬢と五人の執事)クリスマス編 その一

今回は黒川目線です。


毎年、お嬢のクリスマスプレゼントは『宝探し』になっている。


小学校低学年まではお嬢と赤井君と桃で協力し、暗号を解読しながら宝箱を見つけるようにしていたが、赤井君と桃が早々に暗号を解いてしまい、五分も掛からずプレゼントを発見してしまうため、今はお嬢のみの恒例行事となった。



「お嬢。見て見てー。

 ボクのクリスマスプレゼントはオルゴール付きのジュエリーボックスだよ」



「え? ジュエリーボックス?

 そのジュエリーボックスに入れるジュエリーがありませんよね?」



「何を言っているの!

 これから沢山の男達が貢いでくれるようになるんだから、ジュエリーボックスぐらい持っておかなくちゃ駄目だよ」



「桃。高級品を貢いでくる男には下心がありますから、警戒した方が良いですよ」



お嬢の貞操観念は意外としっかりしているようだ。



「赤井と桃は良いですね。

 朝目覚めたら枕元にプレゼント置いてあって。

 私など、今から撮影クルーを連れて宝探しの旅に出なければなりません」



因みに今年の撮影担当は俺だ。


ビデオカメラを回しながらお嬢に付いて行き、お嬢のハプニングシーンを成長記録として残す。


これがかなり面倒臭い。



「お嬢。俺も宝探しを手伝ってやろうか?」


「赤井君。暗号はお嬢の知能に合わせて作っているから、手助けは無用だ」


「そっか……。

 じゃあ、お嬢。陰で応援しているから頑張れよ」


「はい」


毎年、お嬢の枕元に置かれた暗号からスタートする。


今年の暗号作成担当は青田君か……。

青田君は発想が奇抜すぎるから、少し不安だ。



「黒川。

 枕元にキャラメルが一箱置いてありました。

 今年のクリスマスプレゼントはキャラメルのようです」


お嬢がガッカリした顔でキャラメルの箱を見せてきた。


「いや。そんな訳ないだろう。

 キャラメルの箱に何かヒントがあるのではないか?

 ほら、よく見てみろ」


「いいえ。

 この一年、私の功績はキャラメル一箱分にしか値しないとサンタクロースに評価されたのです。

 仕方がありません。サンタクロースの評価を真摯に受け止めます」


「功績って……。

 お前が今まで残したものなど何もないから、その理論でいくとキャラメルすら貰えないと思うが」


「そうですね……。

 このキャラメルの箱の中にキャラメルは十二粒。

『一年は十二ヶ月だから、一ヶ月に一粒食べろ。お前にはそれがお似合いだ』

 サンタはそう言いたかったのでしょう」


「お嬢。とにかくキャラメルを食ってみたらどうだ?

何か良いアイデアが思い浮かぶかも知れないぞ?」


「いえ。十二粒しか入っていないのですから、記念すべき一粒目は、来年の元旦にいただきます」


「キャラメルの数などどうでも良いから、つべこべ言わずに食えー!」


 キャラメルの包みを剥がし、キャラメルをお嬢の口にねじ込んだ。


「黒川、止め……、あッ! 美味ッ!

 黒川。このキャラメル、普通のキャラメルじゃなくて、柔らかキャラメルですよ!」


「……そうか。良かったな。

 それは柔らかキャラメルではなく、生キャラメルという名前だ。生キャラメルは消費期限が短いから早めに食……」


お嬢は俺が話し終える前にキャラメルを食べ尽くしていた。


己の日頃の行いを悔い改めながら、一ヶ月に一粒ずつ食べると言っていなかったか?



「……まあ良い。

 お嬢、箱の中をよく確認してみろ」


「ん……?

 あ! 箱の中に小さな紙が入っている。

 何か暗号のようですね」



ああ、面倒臭い。


撮影担当は、絶妙なヒントを出しながら、お嬢をサポートしていかなければならない。


今年はゴールの宝箱にたどり着くまで何時間かかるだろう……。



『新たな黒歴史を紐解け』



「黒歴史……?

 はッ! 黒川、もしかして私のポエムのことでしょうか?

 新たなということは……。昨日書いたポエム!」



お嬢が机の引き出しから日記帳を取り出す。

お嬢。調子が上がってきたな……。いいぞ!



「ええと……。『塩大福。塩大福は甘さの中に、ほんのりしょっぱさがあって、そのしょっぱさが甘さを引き立て、まるでスイカに塩をかけるとスイカの甘さが引き立つという先人達の教えを上手く取り入れているんだな。これを温故知新と言うんだな』

 ……黒川。このポエムをどう紐解けば良いのでしょうか?」


「知るか!」


青田君……。

頼むから、もう少し分かりやすい暗号にしてやってくれ……。


「黒川。

 私はスイカにヒントが隠されているのではないかと思います。

 キッチンへ行き、スイカを切ってみましょう」


「いや、お嬢。今は冬だぞ。

 お嬢のクリスマスプレゼントごときに、わざわざスイカを用意するわけないだろう」


「黒川、酷い!

 私だってこんな回りくどい方法ではなく、さっさとプレゼントを戴きたいですよ。

 とにかくスイカを探しにキッチンへ向かいますよ」


お嬢が日記帳を閉じようとすると、日記帳の間から紙切れが落ちた。


「黒川。スイカは関係なかったみたいです」


「そのようだな」


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