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極貧お嬢と五人の執事  作者: 流星


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閑話(青田とお嬢の日常)その四

日曜の昼下がり、屋敷の黒電話が鳴った。


「黒川ー。電話が鳴っていますよー。

 早く出ないと切れちゃいますよー」


「……」



返事がない。


……あ、そうだ。

今日は青田以外の四人が出掛けているから、

留守番を頼まれていたんだ。


青田は裏庭で畑の手入れをしているから、

屋敷の中には私しかいない。


仕方が無いなー。



「ハイハイハイハーイ」



急いで黒電話が置かれている場所まで走る。



「ハイハーイ」


「俺だ」



電話の向こうで男の声がした。

今流行りのオレオレ詐欺ですね。



「俺って何処の俺ですか?

 あいにく私には息子も金もありませんから」


「……。黒川だ」


「何処の黒川ですか?

 どうせ痴漢の冤罪で警察に捕まりそうだから、

 示談金を出してくれとか言うんでしょう?

 いいですいいです。

 黒川は女に興味が無いとか言っておきながら、

 影でこっそり痴漢するタイプですから。

 しばらく刑務所にでもぶちこんでおいて

 ください。

 刑期を終えた頃、

 彼も真人間になって戻って来るでしょう」


「お前……」


「あ。それとも白石が学園の授業料を

 紛失したから弁償するとか?

 白石の落とした・無くした・忘れたは、

 着服を疑った方が良いですよ。

 白石は、叩けばホコリが出る男です。

 叩きまくって出てきたフッワフワで

 モッコモコのホコリで高級布団が

 作れちゃいますよ」


「お前……。

 警戒心が強いのは評価するが、

 他人の情報を勝手に漏らすなよ……。

 面倒だから用件だけ伝える。

 今日、俺達は昼食時間までに帰れそうに

 ないから、青田君と二人で適当に昼食を

 食べて待っていろ。夕食までには戻る」


「分かりました。

 昼食が出来上がった頃を見計らって、

 今度は別の名を名乗る男から電話が掛かって

 くるパターンですね?

 騙されませんから。掛けてきても無駄ですよ」



「……。ガチャッ!」



フフッ。撃退成功。


この調子でオレオレ詐欺を

撲滅していかなくちゃ!



私は裏庭にいる青田に、

オレオレ詐欺を撃退したことを報告しに行った。



「青田ー。

 先ほど電話でオレオレ詐欺を

 撃退してやりました」


「危ないなー。

 怪しい電話だと思ったら、

 すぐ僕に代わってよ」


「いやいや。

 青田は騙されやすいから、今頃銀行で

 お金を入金しているところですよ」


「ハハハ。

 ……で、犯人は何て言っていたの?」


「黒川達の帰りが遅くなるから、

 昼食は青田と二人で食べてって。

 新手の詐欺ですね」


「いや。

 多分それ、

 オレオレ詐欺じゃなくて本物の黒川君だから」


「え?

 でも、声のトーンが

 黒川っぽくなかったですよ?」


「電話を通すと声質が微妙に変わるからね」


「ど……、どどどどどうしよう!

 黒川と白石に割と失礼な事を

 言ってしまったかもしれない」


「黒川君達が帰って来た時が楽しみだねー」



全然楽しみじゃないよ……。

怒り狂った黒川の顔が容易に浮かぶ。


「ところで青田。

 青田は料理が出来るのですか?」


「うーん。

 子どもの頃、少しだけ関西に住んでいたから、

 お好み焼きを焼くのだけは得意かな。

 だからホットケーキを作ろう」


「何故、お好み焼きを焼くのが得意なのに

 ホットケーキを焼くのですか?」


「キャベツの千切りとか、中に入れるものの

 下ごしらえが面倒臭いからねー。

 ホットケーキで我慢して?」


「いいよー。

 ふっわふわのホットケーキが食べたい!」


「よし。作ろう」



青田と一緒にキッチンへ行き、

ホットケーキの材料を探す。



「黒川君は何を使っているのかな?

 ホットケーキミックスが無いね」



……大丈夫だろうか。



「確か黒川は『市販のホットケーキミックスは

 甘すぎる』と言って小麦粉を使っていたような

 気がします」


「なるほど。小麦粉を探せばいいんだね。

 薄力粉、中力粉、強力粉……。

 粉も色々あるんだね」


「うーん。何事も弱いより強い方が

 良いと思います。

 強力粉を使えばいいんじゃないですか?」


「そうしよう。

 ……で、小麦粉に何を入れれば良いかな?」


「さあ?

 この粉を液状にするには……。

 水?

 とりあえず水でも入れてみますか?」


「そうだね」



青田がボウルに強力粉を全部入れ、

適当に水道水を流し込んだ。


これぞ男の料理!



「……で、他には?」


「黒川はニンジンをドロッドロにしたのとかを

 入れてアレンジしていましたが……。

 初心者の私達には難易度が高いですよ」


「そうだね。

 じゃあ、このまま混ぜて焼こう」


「そういえば、

 黒川はスタイリッシュな

 道具を使ってスタイリッシュに

 混ぜていました」


「スタイリッシュ、スタイリッシュ……」



青田が胡麻をするための、

すりこぎ棒を出してきた。



「青田。それ、スタイリッシュかな?」


「スタイリッシュだろう?」



青田がすりこぎ棒を投げ上げ、

一回転してキャッチした。



「おおー。スタイリッシュです!」


「フフッ」



粉と水をボウルの中でひたすら混ぜる。

 


「何だか……、紙粘土みたいですね」


「お嬢。

 折角だから好きな形に作ってみたら

 どうかな?」


「わー。

 じゃあ私は、

 青田の顔型ホットケーキを作ります」


「うーん。僕の顔を食べるのか……。

 あ。僕の顔、長すぎない?」


「青田は青田が思っている以上に

 顔が長いですよ?」


「それ、悪口だよね?」


「ンフフ~」



大量の青田型を作り、

いよいよホットプレートで焼くことに。



「あー! 青田。

 ヘラでギューッと押さえたら駄目でしょう?

 フワフワにならないじゃないですか!」


「あー。

 ついついお好み焼きの要領で

 押さえてしまったよ」


「青田の顔が四角くなって、

 青田の顔ではない

 別の誰かになっちゃいましたね」


「元々、僕はこんな顔じゃないからね!」


「えー?

 青田が思っている以上に

 青田っぽい顔を作りましたよ?」



そんなやり取りをしながら、

青田っぽい形のホットケーキっぽいものを

五十枚近く焼いた。



さあ、食べよう。



「うん。不味い!」


「何が駄目だったんだろうね……」


「この大量に焼いた、

 ホットケーキとは言い難い

 青田型ホットケーキ……。

 どうしますか?」


「どうしようかなー?」




「お前ら……」



いつの間にか背後に黒川と白石が立っていた。



その日の夕食は、

青田の顔型料理がテーブルに並んだ。



「何これ? 気持ち悪いんだけど……」


「桃ッ!

 気持ち悪いって言ったら

 青田に失礼ですよッ!」


「いや、お嬢。

 全然僕に似ていないからね」


「お前ら、黙って食え。

 ノルマは一人八枚だからな」



ぐへー。


やはり料理は黒川に任せよう……。


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