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極貧お嬢と五人の執事  作者: 流星


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第二十話


その日の『報告会』は小さな進展があった。


黒川がしたためた

三通のラブレターに返事があったそうだ。


「返事は全てOKだった」


え? 何がOK?

よくあんな文章でOKを出したな……。


「でも黒川。

 相手は私の顔すら知らないのに、

 そんなに簡単に

 OKを出すものなのでしょうか?」


「大丈夫だ。

 手紙と一緒に写真も入れておいた」



黒川に写真を手渡された。


桃と一緒にふざけて写っている写真。

桃の方が可愛く大きく写っている……。


絶対、桃と勘違いされているよね。

詐欺だよね。


「……で、

 何がOKなのでしょうか?」


「次の日曜日に、

 この屋敷に三人を招いた」


は? え? 三人まとめて?


よく知りもしない三人の男に

ラブレターを送りつけ、

同じ日に自宅に招くなんて、

どれだけ上から目線な女なんだ?


しかも、桃目当てで来てみたら


『ジャーン!

 実はオカッパの方ダヨッ。へへッ』


みたいな感じで私が登場して……。


ああッ!

悪い予感しかしない。



「何か意見のある者は?」



ありすぎる。

ありすぎて何も言えない。



「では、お嬢以外解散!」


「え?

 今日は怒られるような事は

 何もしていませんよ?

 何で?

 しかも白石、何故黒川の隣に

 座っているのですか?」


「今日から

 お嬢の説教に俺も参加します。

 担任ですからね」



え。嫌だ。


黒川に怒られている姿を白石に見られるの?


それとも毒舌コンビが寄ってたかって

私を責める?


どちらにしても、良いことが全くない。


「……で。

 今日は何で怒られるのでしょうか?」


「怒るというより、

 お嬢の進路について少し考えようと思ってな」


「進路……」


「お嬢が今通っている学園は、

 いくらエスカレーター式で

 大学まで行けるといっても、

 今のお嬢の成績では、

 正直、進学が難しいかもしれません」


「白石、先生みたい……」


「だからお嬢の担任をしているでしょう!」


「お前。

 いくら俺が勉強を見てやっても、

 ふざけるか居眠りするばかりで

 何も頭に入っていないしな」



それは……。


それは黒川の心地よい低音ボイスのせいで、

眠くなってしまうからですよ。


「ですから黒川君以外の厳しい人間に

 勉強をみてもらう事にしました」


「黒川以外の厳しい人間?

 …………。白石?」


「はあ?

 俺が教えている時でも

 ヨダレを垂らしながら

 平気で居眠りしていますよね?」


それは……。


それは白石の説明が

無駄に長すぎるからですよ。


「じゃあ、青田?」


「青田君はお嬢のペースに乗せられて、

 途中から一緒に遊んでしまうと思います」


うん。

私もそんな気がする。


「まさかの赤井!」


「赤井君や桃は

 自分の勉強で大変なのに、

 お前で足を引っ張るわけにはいかないだろう」


「じゃあ、誰ですか?」


「新しく家庭教師を雇った」


「えーッ!

 何故勝手に決めてしまうのですか?

 絶対嫌ですよ。

 今後、真面目に勉強しますから、

 家庭教師だけは止めてください」


見たいドラマが見られなくなってしまう。


「私が……。

 私がこんなにピュアな

 良い少女に育ったのは、

 黒川や白石達のおかげなのですよ。

 いくら感謝しても足りないぐらいです。

 ……ううっ」


「…………」


黒川も白石も黙った。

よし、あともう一押し。


「ピュアな少女の私が

 赤の他人の誘惑に乗せられて

 闇の世界を知ってしまったら、

 どうするつもりですか?

 二度と私のピュアスマイルが

 見られなくなってしまいますよ?

 ……ううっ」


「お嬢のピュアスマイルなど

 見たくありませんから大丈夫です」


しまった。作戦失敗。

白石に泣き落としは効かなかった。


「ヘッ!

 無理やり勉強させても、

 大学なんか行きませんからねー」


「お前……。

 高校を卒業したら、どうするつもりだ?」


「アイドルになります!」


「…………」


黒川も白石も、

突っ込むことすら出来ない程の衝撃を

受けているようだ。


「あッ!

 腹筋をシックスパックに割る時間だ!

 アイドルになるのって結構大変ですよねー。

 さらば!」


黒川と白石が呆然としている隙に、

私は部屋を出た。


ふー。

今日は何とか逃げ切れたけれど……。


これから毎日、

黒川と白石との三者面談があると思うと

気が重いな。


次の日曜日のお見合いも嫌だし、

家庭教師も嫌だ。



ああ、不良少女になりたい。


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