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第十話

 翌朝から、私と赤井と桃は、白石の運転する車に乗って登校することになった。


 黒川は他に仕事がある。

 青田は気が向いたら学園に出勤するらしい。


 青田、相変わらずマイペースだな。


 あー。潔癖な白石の車に乗りたくないな……。


「三人とも、この中に靴を入れて下さい」


 白石から一枚ずつビニール袋を手渡された。


 はいはい。分かりました。

 白石の車は『土足禁止』ですね。


「お嬢は、これを持って下さい」


 私だけ洗面器が手渡される。


 はいはい。洗面器を抱えていれば良いのですね。

 ヨダレ対策ですね。


 言っておくが、私はそこまでヨダレを垂らさない。

 風評被害だー。


 うー。朝から疲れる。

 校内へ入ると、赤井と桃は進学クラスへ行ってしまった。


「お嬢、またねー!」


「あー。ハイハイ。ごきげんよう。

 白石はどうするのですか?」


「俺は職員会議があるから、職員室へ行く」


 白石。やはり学園内では敬語を使わないのか……。


「ああ、そうですね。それでは、ごきげんよう」


「お嬢」


「何ですか?」


「昨日の宿題ノート。

 クラスの奴らに配っておいてくれ」


 早速、荷物持ち……。

 仕方がない。手伝ってやるか。


「運びやすいように、風呂敷に包んでおいた」


 白石……。

 何で緑色の唐草模様の風呂敷をチョイスした?


 わざとなの?


「分かりました、白石先生。

 このノートは私が責任を持って配っておきますから、ご安心を 。ドッコラショ」


 私が風呂敷包みを背負うと、白石はフッと笑って職員室へ向かった。



「ごきげんよう。……って、さち子?」


「あ、エビちゃん。ごきげんよう」


「その大きな荷物。一体何が入っているの?」


「先ほど白石先生に、皆に配っておくよう頼まれた宿題ノートですよ」


「もう、さち子ったら。

 どれだけ白石先生に気に入られようとしているの!」


 いえ。こんな事をしたぐらいで気に入られるのなら、私はとっくに五人の執事どもを虜にしていますよ。



 エビちゃんと一緒に教室に入ると、黒板が電子黒板に変わっていた。


 何これ? 白石の為に準備したの?

 白石。新米教師のくせに、よくこんなに大胆なおねだりができたな。


 私が白石から下命を拝した宿題ノートをクラスの皆に配ると、辺りがザワザワし始めた。


 エビちゃんまで顔を赤くして悶えている。


「エビちゃん、一体どうしたの?」


「さち子、白石先生から返ってきたノートを見て。

 ……って。さち子、また宿題を出さなかったの?」


「当然です」


「……。まあ、いいわ。私のノートを見て」


 うっわー。白石の字でノートが真っ赤になっている。

 私の暗黒ポエムの時のように、赤ペンで誤字脱字のチェックと評価と感想が丁寧に書き込まれている。


 白石。授業以外の仕事はしないと言っておきながら、ちゃんと仕事をしているんだな……。


 白石ー。女子の好感度が、絶賛うなぎ登り中ですよー。


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