表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
115/132

第六十七話


翌朝、私が教室に入ると、ざわついていた部屋がしんと静まり返った。


ああ……、またか。

今度は何だろう?


黒板の前に人が集まっていたので、私もその人集りに入ろうとすると、皆が私を避けて散っていった。


黒板に2枚の写真が貼られている。


1枚は体育館の裏で白石と話をしている私。

もう1枚は、白石お気に入りのベンチに白石と一緒に座っている私の姿だ。



ああ、終わった……。

今度は白石に迷惑を掛けてしまった……。


私が黒板に貼られた写真を剥がそうとすると、その手をいつの間にか教室にいた白石が止めた。


「皆、席に着け」


白石の声に、全員が慌てて席に着いた。


私も席に着くと、白石が黒板に貼られていた写真を剥がしてじっと見た。


「ほぉー……。

 この俺をいじめる奴がいるのか……」


いやいや。

白石をいじめる人なんて、怖くていないと思います。


「この写真を貼った奴、3秒以内に手を挙げろ」


いやいやいや。

そんな事を言われて素直に手を挙げる人なんていませんよ。


「……。

 わかった。

 では、全員今からメモを取れ」


白石が読み上げたアルファベットや数字をクラス全員がメモした。


「これは俺のメールアドレスだ。

 今、名乗り出るのが怖いなら、このアドレスに連絡してくれば良い。

 他の者には決して口外しないから、心配するな」


教室がざわめく。


白石……。


個人情報を晒しちゃって大丈夫かな?




昼休みになって、もう私に話し掛けてくる人は誰もいなかった。


……仕方がない。

……白石に教えてもらったベンチで弁当を食べよう。


「お嬢、このベンチに座ったまま、

これを持っていてください」



弁当を食べ終え、吹奏楽の昼練の音を聴きながらぼんやりしていると、目の前に白石の姿があった。



「何ですか? これは」


「陸上部から借りてきた巻き尺ですよ」



意味が分からないまま私が巻き尺の端を持ってベンチに座っていると、白石が巻き尺を持ったまま別棟の校舎に向かって走って行った。


白石がスマホの画面を見たり、巻き尺で何かを測っている。


白石、何をしているんだろう……。


またぼんやりと白石を眺めていると、白石が巻き尺を巻き戻しながら、ゆっくりとこちらに戻ってきた。



「教室に貼られていた画像の角度から計算すると、あの校舎の一階から、身長155センチ前後の人間が撮影している事になりますね」



白石……。

もしかして、このベンチで私と一緒にいたのは、わざと写真を撮られるため?



「昨日の昼休み、昼練に参加していない、身長155センチ前後の人間。それだけでも少し絞れてきました」


「白石、もういいですよ。

 犯人が誰だって構わないです」


「構いますよ、俺は」


「え……」


「お嬢を泣かせた人間」


「泣いてなんか……」


「青田君の大事な場所を奪った人間」


「……そう、……ですね」



恐らく、今までの嫌がらせは、私に向けてしていたものだったのだろう。


だけど、青田や白石にまで被害が及んでいる。


嫌がらせをしている人と話をしなければ、この先も誰かが嫌な目に合う。


「白石。

 私も構わなくないです。

 嫌がらせしてくる人を見つけて、私と話し合わせてください」


私の言葉を聞いた白石が、ニッと笑った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ