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第六話

「……で、答えはAになる」


 ホゲー。さっぱり分からねー。


 化学って、昔から苦手だな……。

 英語も苦手。数学も苦手。物理も社会も家庭科も!

 ほとんど苦手だ。


「ここまでで分からない所がある奴は手を挙げろ」


 サッ!


 え? 手を挙げたの私だけ?

 皆、本当に理解出来たの?

 今なら皆で団結すれば、この暴力教師を追い出せると思うの。


「ほう……。赤い奴。

 何だ? 何処が分からねぇんだ。言ってみろ」


 白石先生、完全に黒川が乗り移っていますよね?

 黒川の呪い。やだ怖い。


「あの……。白石先生、何故黒板を使わないのですか?

 そんなに早口で説明されても、一ミリも頭に入りませんでした。ねっ? 皆!」


 あれ? 皆、何故うつむいているの?


 隣の山田。お前のノートも真っ白ですよ?

 テスト勉強をする時、どうするつもり?


「誰も同意をしていないではないか。

 馬鹿はお前一人ということだ」


「じゃあ、私の隣の席の山田に問題を出してみてください。

 コイツ、先生の質問に絶対答えられませんから」


 山田が小刻みに震えている。


 フフッ。

 黒川の真似事など似合わないということだよ、白石先生。


「……。山田」


「は、はいッ!」


 ほーら。山田の緊張が既にMAXを迎えている。

 長年、極悪執事どもに鍛え上げられた私の精神力とは違うのだよ。

 山田のハートはガラス細工で出来ている。


「お前は馬鹿か?」


「は、はいッ! 馬鹿であります!」


「ほら。山田もお前と同じ馬鹿なんだってさ」


 何、その質問。ズルくない?

 山田。使えぬ男よ。


「じゃあ、白石先生。

 馬鹿な山田の為に、黒板を使ってください」


 ナイス私! 白石、素直に負けを認めろ。


「何故、馬鹿な山田とお前の為に、俺の手やスーツをチョークの粉で汚さなければならないのだ」


「……」


 それが理由か。なら、教師になるなよ。


「うるせぇ! 大人しく席に着け!」


 ビシュッ! ズサッ!


 私のチューリップハットから突き出ている部分に、白石が投げたチョークがめり込んだ。


 ドジっ子ミーちゃんが、ますますカオスな状態に。


 酷い……。

 何も言っていないのに。心の中で思っただけなのに。


 白石。今、手を使って投げたよね?

 チョークで手が汚れたよね?


 あ。除菌ペーパーを出して手を拭いている。

 ついでに教壇も丁寧に拭き始めた。


 そして授業終了のチャイムが鳴った。


 ……。

 一体、何をしに来たんだ? 白石。


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