眩しい笑顔
「じゃあ・・ちょっとだけ申し訳ない気もするけど・・♪ ・・そういうことで・・♪」
彩がそう言うと、テーブルの上に置いてあったカップの外側に水滴がたくさんついている『シャビィ』をヒョイと手に取り、へらを持った。
「う~んっ♪ やっぱりもう手に取った感触がたまらないよ♪ 棒のバニラアイスとは全然違うね♪ 夏を感じるよ・・」
棒アイスと違って『シャビィ』はカップに入っているので、手にひんやりとした氷の感触が染みわたってくる。
彩は『シャビィ』を両手に持ち、頬に『シャビィ』を持って行って触れさせると目をつむった。
今日のような体の火照る暑い日のその感触は、カップに触れている部分から、冷たいものをまるで飲み込んでいるような、冷気が体に取り込まれていく感覚が心地良い。
彩はその感触を味わった後、早速一口をあ~んと篤郎に見せびらかすように自分の口に運んだ。
「・・う~んっ! おいしいっ!! 最高だっ♪」
彩のその表情はバニラアイスを食べている時の何倍も輝いて見えた。バニラアイスを食べている時は、ちょっと病的な感じもしたが、それなりにやはり幸せそうだったし、表情も明るかった。
しかしあれが夜の星だとしたら、これはまさに太陽の輝きの笑顔だった。
「あおいもどうぞ~ハイ、あ~ん♪」
あおいも彩から『シャビィ』一口分を口に運んでもらった瞬間に目を輝かせた。
「う~ん、おいしいっ!! ほんとにおいしい♪ 篤郎くんっ、ありがとうっ!ほんとにおいしいよ~♪」
二人は嬉しそうに笑い合って、はしゃいでいる。
篤郎は自分の暑苦しさも忘れて、二人の輝くような笑顔に見とれていた。二人とも本当に嬉しそうだった。
何かこの笑顔が見られただけで、もういいような、ずっとこの笑顔を見られるなら、それでもいいかなと思った。ほんとにいい笑顔・・。




