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終末計画  作者: にゃべ♪
3/3

反撃の人間たちとトムの最期

トムは得意の高速飛行でまず一人食べました。

人間は簡単にトムの胃袋に消化されてしまいました。

その胃袋への新鮮な刺激にトムはもっともっと人間を食べたくなりました。


人間達は次々とトムの餌食になりました。

元の大きさの頃は小食だったトムなのに、この大きさになってからはどうにも

食欲が収まりません。

トムは食べて食べて食べ尽くしました。


「美味しいなぁ、美味しいなぁ」


この巨体を維持するには膨大なエネルギーが必要です。

でも人間は飽きるほどいるのです、エサ切れの心配はありません。

トムは手当たり次第に人間を食べていきました。

人々はトムに食べられまいと必死に逃げようとするのですが、道は使えない

鉄道もダメ、しかもトムの高速移動は目にも止まらない早さで、もうどう

しようもありませんでした。

計らずも阿鼻叫喚の地獄絵図がそこに展開する事になってしまいました。

トムはただ自然の摂理に、自身の欲求に忠実に行動しているだけなのに。


しかし、食事の時、トムの動きは止まります。

そこを軍隊のミサイルが狙いました。


「うわああああッ!」


トムのわき腹をミサイルが直撃しました。

体液がそこから溢れ出します。


「痛いよう、痛いよう」


トムはすぐにそこから逃げ出しました。

以前のようなスピードの出ないトムを軍隊は隙を与えず攻撃します。

トムもやられまいと必死に逃げます。

しかし、早く動くたびにやられた所から体液が噴出します。


トムの体液は空気に触れると強力な酸に変わりました。

それを浴びたものは一瞬の内に溶けてしまいます。

街のパニックは更に大きいものとなりました。


それを察知した軍隊は直ちに攻撃を止めトムを追い出す事に専念しました。

下手に攻撃したらその噴出する体液だけでまた大きな被害が出てしまうからです。


トムは元の田舎に戻ろうとしました。

フラフラと意識の朦朧とする中でただ生まれ故郷だけを目指して飛び続けました。

途中で体液を振りまきながら。


トムが見覚えのある景色を見た時、既に彼の意識は殆どありませんでした。


「ああ…やっと戻って来れた…」


やっと森に戻って来たトムはついに力尽き、その場に倒れてしまいました。

そして自分の出した体液にその体を蝕まれ、その身はみるみる溶けていってしまいました。


そのトムの最期を見た者は誰もいませんでした…。

多くの街をパニックに落とし入れ、多くの命をその身に収めた巨大生物の

余りに淋しい、余りにあっけない最期でした。


…とある研究室。

その様子を一部始終映し出しているモニターがありました。

そのモニターには映像の他に「実験終了」と言う文字が冷たく表示されていました。


(おわり)

ある日ふと思いついた話です。

悪意のない破壊を描いてみました。

勢いに任せて書いていたら自作でも一番残酷な作品に(汗)。

今となっては進撃の巨人とか似たイメージの話もありますけど

私がこの話を思いついたのは10年以上前なのでパクリじゃないですよ。

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