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召集

<登場人物>

ロジーナ・・・師範魔術師。世界でも1,2を争う魔力の持ち主。孤児。父はウィドゥセイト神、母はフィオナ。

クレメンス・・・師範魔術師。魔術師協会の会長。ロジーナの師匠。

フィオナ・・・ロジーナの母親。ウィドゥセイト神の眷属。元人間。ロジーナを産んですぐに現世を離れることになった。

ウィドゥセイト神・・・神。冥界と夜の管理者。ロジーナの父親。常に銀色の光を身に纏っている。

タチアナ・・・上級魔術師。魔術師協会事務局のお局様。

カルロス・・・師範魔術師。クレメンスの弟子。ロジーナの兄弟子。

フランク・・・師範魔術師。クレメンスの部下。

ニコラス・・・師範魔術師。クレメンスと並ぶ使い手。

ディミトリアス・・・師範魔術師。魔術師協会の最長老。

 ロジーナの腰に下げている魔術師協会支給の魔晶石が赤く点滅し、音を鳴らす。

この音は協会からの招集に違いないなかった。


ロジーナは一瞬動きを止めたが、すぐに作業を再開する。

今は複雑な魔術を編んでいるところで、手が離せないのだ。


ビーッ、ビーッ、ビーッ


ロジーナが作業を行っている間、魔晶石はけたたましい音を響かせ続けた。


「うっさい」

気の抜けない部分を終えたロジーナは、こめかみを引きつらせながら、しつこく鳴りつづける魔晶石を握った。

音が止まった。

辺りは静けさを取り戻す。

「ったく、いちいち呼び出すなっつーの」

ロジーナは魔晶石を外すと、窓に向かって投げつける。

魔晶石は窓の外に飛びだし、生垣の中に落ちて行った。

「ふぅ。清々(せいせい)した」

ロジーナは再び作業に没頭した。



 ロジーナは作業がひと段落すると、窓の前に立ち窓の外をじっと見つめながら指を動かす。

先ほど捨てた魔晶石が浮き上がり、窓の外からロジーナの手元に戻ってきた。

魔晶石は赤く点滅したままだ。

ロジーナはため息をつくと、魔晶石を持ち、部屋の一角に設置されている銅水盤の前に立った。


深めの銅水盤には装飾が施されていて、魔力を込めた水が張られている。

ロジーナは銅水盤の端にある差し込みに魔晶石をはめこむと、呪文を唱えながら、ゆっくりと指を動かしはじめた。


銅水盤が淡く輝きだす。

穏やかだった水面に波がたった。

波はだんだん大きくなり、うねり出し、渦となる。

水流がどんどん増していく。

突然、銅水盤全体がパッと青く光る。

水面は、先ほどの渦が嘘であるかのように静かになった。

穏やかな水面は、うっすらと青く光る透明な氷、もしくはガラスのようにもみえた。


ロジーナは唱えながら、水面に手をかざす。

水面にゆらゆらと文書のようなものが浮かびあがる。

はじめはぼやけていたが、すぐにくっきりとした。


ロジーナはそれを読みはじめた。

読み終わると、本のページをめくるように指を動かす。

すると、水面に次の文書が映し出される。


ロジーナは先ほどの招集についての文書を読み進めた。


都の南西にあるエナプロトス山――この国で一番高い山が、突然、火山活動をはじめたのだ。

この山が噴火をすれば麓の街や村だけでなく遠方の都にも影響が出る。

政府と魔術師協会は協議をして住民を避難させることにした。

住民のなかには幼い子供や高齢者、自力で動くことができない者もいる。

安全に素早く避難させるには、魔術師がかかせない。

そこで、ロジーナのような高レベルの魔術師――師範魔術師に招集がかかったのだ


「政府の要請じゃ、報酬に期待できないじゃない。無料ただ働きなんて冗談じゃないわ」

ロジーナはそう吐き捨てると、銅水盤の前を離れた。


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