序章 精霊と少女
突如飛来した鉄の軍隊によって、
理想を謳歌していた都市「エア」は
壊滅の危機へと追い込まれた。
「エア」の人々はそれぞれの武器と力で
抗ったが、まるで歯が立たずに
”鉄の闇”を止めることは出来なかった。
次々と破壊されていく街、汚染されていく自然、
造り上げた理想と科学は、生みの親である
人々と共に殺されていった。
総てを上回り重宝されてきた”未来都市”は、
絶望の地獄に変貌した。
生き残った一部の人々が手にした最後の希望は、
神の子と崇められる巫女のお告げの通り、
最後の手段として転送システムを用い、
他の世界に存在している”闇”に対抗できる
「勇者」という架空の英雄に想いを馳せた。
転送システムを作動させてから、
数年の月日が流れた。
なんとか”闇”のデータを入手した
エアの神官達は、進入防止用に創られた巨大な結界
”零式”を既に完成させていた。
「まだ、勇者とやらは到着しないのか!」
「転送システムも迷っておる...」
「この世界を任せられる程の勇者だ...
安易には選べまい」
人々や神官達の焦りも限界に達した頃、
遂に、運命の歯車は動きだした。
一方その頃...地球という世界、
現代日本のある家
「奏~?もう朝よ、起きなさーい!」
「んー、ふわぁ。もう朝か....」
朝。気怠い感じから始まるいつもの風景は、
少し変わっていた。庭の木、青く広い空、
何もかもがキラキラしている気がする。
そう、今日は日曜日。誰もが喜ぶ休みの日。
もぞもぞと布団から這い出ると、服を選ぼうと
クローゼットを開けた。
お昼から買い物に行こうと思ってるから、お気にのパーカーを上に着ていこう。
(ふふっ♪)
<おはよー、奏~>
「あ、セラ。おはよ」
あたしの名前を呼んだこの小さな半透明の物体は、
一番の友達。名前はセラ・リシェルって言って、
竜の精霊なの。
んー...話すと長くなるんだけど、あたし、
藤咲奏には”精霊”がみえて、お話ができるんだよね
セラ曰わく「産まれる瞬間に、何らかの理由で
精霊達の加護を受けている娘がいるの。
その娘達の中で、稀に覚醒する人いるというわけ
つまり、覚醒すると私達と意識が繋がるの♪」
と言うことらしい。
あたしがセラと出会った、もとい覚醒したのは
小学生に入る前で、その時は"妖精さん"がいた!
って騒いでも誰も信じてくれなかった。
まぁ今も誰一人信じてくれないから、
あたしだけの秘密。
用意されていたご飯をセラと一緒に食べ終わって、
お出かけの準備も済ませた。
家の玄関を開けて、さぁ飛び出そうとした
私の意識と身体は.....
光に包まれた。
(.... ぇ?...セ、セラ...!)
連載がかなり遅れてしまいました。
これで正式に「未来都市エア」、スタートです!
楽しく進めていきたいと思うので、
お付き合いくださる方はよろしくお願いします。
次回も早めにあげたいなぁ...