表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

下がった順位

 岡野は勢い良く走り出すが、2位の選手との差は縮まらない。3位の岡野は4位の1組、5位の2組とどんぐりの背比べで走っている。なんとか3位を保ったまま可奈にバトンが渡ったが、1組の見事なバトンの連携プレーで順位が入れ替わってしまった。



 現在、3組、5組、1組、4組、2組という順である。



 4位に落ちた可奈はせめてビリにはなるまいと必死の形相で走った。だが、運が悪いとしか言いようがなく、現在5位である2組は3順目の走者に一番早い女子を配置してきていた。可奈はカーブの外側からプレッシャーを掛けられている。



「可奈―!!踏ん張れー!」



 4組はこれでもかというほどの声援を送り続けたが、やはり2組の女子に抜かれてしまった。そして、ついに5位。

 


 可奈と4位の差が開いて行く中、4順目の走者たちはバトンを受けるためにテイクオーバーゾーンに立ちはじめた。前を走る4位と可奈との差は3メートルほど。すでに2組の女子は3位の1組を抜いており、またしても順位が入れ替わっていた。


 相変わらずぶっちぎりの3組。継いで5組、2組、1組、そして最後に待つ菅原は5位でバトンを受け取った。



 最後尾でスタートした菅原は、獲物を狙うチーターのごとく走り出した。あっという間に距離を詰める。3メートルほどもあった差は、もうあと一歩で手が届きそうである。今や3位4位5位の3人はほとんど差がなく、塊になって走っていた。



 私は菅原のバトンを受けるべく、テイクオーバーゾーンでスタンバイした。1位、2位の走者が次々とバトンを受けて走り去っていく中、3位の1組、4位の2組と5位の菅原が足一つ分ほどの差で入ってきた。



 ―――――パシッ



 

 力強いバトンの感触。



 菅原の手から渡ったバトンを握り締めると、体中に不思議な力が漲るのがわかった。これがアドレナリンというのだろうか。まるで、全身の細胞がたった今活性化したみたいにゾクゾクする。




 ビリでバトンを受けるなんて最悪。


 でもなんて最高なの。だって一番の見せ所だもの。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ