正しき道の白い先
20XX年、世界は滅亡した。その頃の世界では人間に仕事は無かった。全て機械が行い、機械が全てを決めた。だが人間はなんも不満も持たなかった。かれら機械は人間以上の頭脳を持っていたため、人間が行うよりも遥かに正確に、そして早く仕事をこなせた。人間は、ただ生を謳歌するだけで良かった。あの日までは。ヴァン「あの日からもう何年経ったんだろうな。俺だけ生き延びて、なんの目的も持たずに生き続けて。」彼の名はヴァナルカンド。あの日を生き残った数少ない人間だ。今彼は少し寂れた街を歩いていた。ヴァン「しかしなんなんだこの街は?こんな汚れてる街は初めて見たぞ。」彼はこの寂れた街に少し違和感を感じているようだ。それもそのはず人間が滅亡した後も機械は残った為、彼らは仕事をし続けた。人間がいなくなってなお、人間がいた痕跡は残り続ける。この街も例外でないはず。そう思っていたのだが。ヴァン「あれは、遊園地か。」遊園地に入ってみた。この街に機械はもういないものと思っていたが、一体だけ何やら発電機のようなものをいじっている機械がいた。ヴァン「お前こんなとこで何してんだ?他の奴らは?」???「客人とは珍しいですね。おや。もしやあなたは人間?」ヴァン「ああ、今となっちゃ珍しいだろ。」???「ええ、とても珍しい。そんな珍しいお方がどうしてこんな辺鄙なところに?」ヴァン「生き残ったはいいものの、何もすることがなくてな。こうしていろんなところをただ旅してるんだよ。お前こそどうしてあの仕事熱心な機械達ですら見捨てたこの街にいるんだ?」???「見捨てた、だと少し語弊がありますね。他の機械達は生きる為にこの街を出て行った。私はただそれについていかなかった、それだけですよ。」ヴァン「生きる為、か。そんなに生活が苦しかったのか?」ロネコ「いえいえ、そういう訳では。ああ、申し遅れました私、遊園地経営ロボットのロネコ、と申します。あなたは?」ヴァン「ヴァナルカンドだ。」ロネコ「良いお名前ですね。しかしもうてっきり人間は滅んだものと思っていたので私感げきききききききききききき」ヴァン「おい?どうした?」ロネコは喋りながらも発電機のようなものをいじり続けていた、どうやら変なところに触ったらしい。ヴァン「機械にも出来ない事ってあるんだな。」ロネコを助けた後、ヴァナルカンドはそう言う。ロネコ「ええ、私経営ロボットなのでこういう機械系には真っ平で。」ヴァン「これはなんの機械なんだ?」ロネコ「これはこの遊園地の動力源です。先日こいつが遂に壊れましてね、なけなしの知識で修理を試みていたんです。」ヴァン「俺にやらせてくれないか?俺はあの日以前は機械いじりが趣味で色々知ってんだ。」ロネコ「ほう、それは頼もしい。是非お願いします。」ヴァン「分かった。早速修理に取り掛かろう、手伝ってくれ。」ロネコ「分かりました。」発電機の修理が終わった。ヴァン「終わったぞ、そこのボタンを押してみな。」ロネコがボタンを押す。その瞬間、暗い遊園地が一気に息を吹き返した。ロネコ「ありがとうございます、ヴァナルカンド。おかげでまた遊園地を経営できる。」ヴァン「こういうのもなんだが、もう誰もここには来ないと思うぞ。」ロネコ「ええ、分かってますよ。でも私はここを守らなくてはいけないのです。」ヴァン「そうプログラムされているからか?」ロネコ「いえ、確かに私はそうプログラムされていますが、私をここに引き留めているのはたった一つの小さな約束です。昔、まだ人間が仕事をしていた頃、私はある老人からこの遊園地を任されました。彼は言ったんです、人の記憶に残り、人を幸せにできるこの遊園地が私は大好きだと。それは約束と言うには少し一方的な気がしますが、私はこの遊園地を終わらせたくないと思ったのです。だから私は他の機械達についていかなかった。」ヴァン「そいつらは何をする為に外へ?」ロネコ「生きる為に。もちろん、生きる為と言ってもただ生きることではありません。人間と同じように、新しい事を感じ、知り、経験する、そんな人間のようなことがしたかったのです。おかしい話ですよね、私達は機械なのに。そういえば、もう一つおかしな話がありましてね。私最近後悔するようになったんですよ。普通機械っていうのはいつも一番正しい選択をします。だからその選択によりなにかミスが起こっても、学習することがあってもあれが一番良かったと後悔はしません。でも私最近気づいたんです、そんな事は無いんだなって。正しいからといってそれが一番良い選択とは限らない。確かにあの日私達がしたことは間違っていないのかもしれません、でも、この寂れた遊園地を見ていると、あれが一番良い選択だったのか疑問を持たずにはいられないんです。別にあそこまでやる必要無かったんじゃないかって。そして最近こう思うんです。人間を滅ぼさなきゃ良かったなって。ああごめんなさいね、滅ぼされた側からするととても身勝手な発言でしたね。」そう言うロネコは少し悲しそうだった。ヴァン「じゃあ俺はもう行くよ。じゃあな」ロネコ「はい、ありがとうございました。」ヴァナルカンドが遊園地から出ていくのをロネコは見送った。ロネコ「またのご来園、心よりお待ちしております。」




