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失くしたもの、失くさなかったもの

今日、ようやくちょっとだけ元気が貯まったから、ルーティンワークでない仕事に手をつけた。ちょっとだけアイデアがいる仕事。いつもは楽しんでやれるのに、苦痛に感じてしまっていた仕事。アイデアを生み出す為のエネルギーが空っぽだったから。


それでも、やらないといけない仕事だったし、何とか形にしようと手を動かしていると、上司が通りかかって何をしているのか聞いてきたから、今、やろうとしていることを説明した。上司は、うんうんと私の話を聞きながら、そのことについて自分の考えを話しはじめて、なのに急にふっと話すのを止めて私に言った。


「あなたの方が、そのことについてはよくわかってて、それだけの動きをしてくれてるのに、釈迦に説法みたいだったね。お任せするから、よろしくお願いします」


一瞬、息が止まる気がして、上手く返事が出来なかった。そうしているうちに上司は、柔らかな笑みを残して離れていった。私は手を動かしながら、とても不思議な気持ちでいた。

頼られるのが、あなたは大丈夫だからと言われるのが嫌いだった。そのことで、望まない型にはめられた気分になった。なのに、今日かけられたその言葉には、私が私なりに積み重ねてきたことについての信頼があって、ああ、ありがたいなとはじめて心から思った。

自分が自分で評価したくなかったそのことが、自分の心を助けてくれるなんてこと、思ったことはなかったけど、そんなこともあるから、泣きそうでも心臓が急にばくばくしても、何でもない顔で日常を繰り返していく勇気が持てるのかなと思った。


出来上がった仕事は、我ながらなかなか良い感じで、自画自賛していると、通りかかった別の上司も褒めてくれた。泣くよ、もう。本当に。

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