限りなく灰色な世界
このエッセイは、基本すべて事実です。嘘だろと思っても結構ですが、事実です。その上でお話します。
私の身の上に起こった話しではないですが、知人の身の上に、間違いなく起こった事実がこちら。
ある日、知人の上司が変わりました。大きな会社によくある移動です。他の支店から移動してきたその上司は、そこでわりと長く勤めている知人に聞いたそうてす。
「私は、ここの支店に来るのはじめてだから聞くけど、例えばあの人って白?それとも黒?どっち?」
は?と知人は思ったそうです。私も思いました。何その二択は?って。
凄い思考回路だぁと感動しました。100%善人か100%悪人かしか居ないの?どこの世界線なの?今どきの戦隊ものでも、もっとバリエーションありますよ、って。
まあ、小学生とか、中学くらいまでなら、ギリギリOKとしましょう。かなりおまけしてギリギリ。
しかし、まさか社会経験豊富な、上司になるような人がそんなこと言うなんて、誰が想像します?
いや、いるんですか?私が知らないだけで。スタンダードだったらどうしよう?まさかね。
しかも、何故その判断を会ったばかりの知人にゆだねたのか。知人がもしも黒だったらどうする?
そして
知人はいい大人なので「ははっ、どうなんてすかねぇ」とやんわりと流したそうですが、この知人が
「ああ、あの人は白、だけどあっちの人は黒かな」
とか言い出したらどうするつもりだったのか。真にうけちゃうのかな。ありそうで嫌だな。
そんな、わかりやすい世界で生きていけたら、どんなに楽かと思う。善人が善人のままでいられて、悪人を自分と全く違う生きものだと、心から信じられたらどれだけ幸せに生きていけるかと思う。
この上なく自分を幸せにしたものが悪になる時、オセロのように白黒がひっくりかえった気分になるけど、多分この世界は、限りなく灰色だと思う。
ほんの少しだけ黒が混じった一見真っ白に見えるグレーから、漆黒に見えるけどわずかに白が混じったグレーまで、濃淡だけの灰色の世界だと思う。




