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グラデーション
感情のひとつひとつに名前をつけていく
おまえは「怒り」おまえは「悲しみ」
おまえは「憎しみ」おまえは「恨み」
おまえは「喜び」おまえは「楽しさ」
おまえは「安らぎ」
おまえは…おまえは…
決して消えないと思えるほど、鮮やかに刻みこまれた感情
ぼんやりと霞んで、あることさえ忘れてしまいそうな感情
そんな感情をひとつひとつ拾いあげていく
ひとつ、ひとつ
そのうちに迷いだす
「おまえは本当に怒り?悲しみではなくて?」
「おまえは楽しさなの?虚しさではなくて?」
感情は絵の具のように、それぞれのチューブにおさまっていてはくれなくて、そこから勝手に溢れだす。
ひとつ、ひとつ
わけていったはずなのに
反転したり、まじりあったりして…
気がつけば、織りあがる一枚のタペストリー。
私は、夜明け前の空と出会った時のように
感情のグラデーションを静かに眺める




