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ノスタルジア
夏が終わりに近づいてくると、夏休みのあった子供の頃を思い出したりする。
長かった昼が、だんだん短くなっていって、代わりに伸びる影法師。
空が少しずつ遠くなって、空気に秋の色が混じっていって、うっすらとした寂しさを感じて立ち止まる。
夏の終わり。
ラジオ体操に集まる子供たちのざわめきも
虫かごの中でジージー鳴く、蝉のこえも聞こえない
鉢植えの朝顔の花がいくつ咲いたかを数えることもない
静かな夏の終わり。
みんな、どこにいるんだろう?
手軽に部屋で遊べるゲームの数々。携帯電話で送りあうメッセージ。
そんなものが存在すらしなかったたくさんの夏の思い出は、遠くでキラキラと光って見えるけど
そこに戻れるかといったら、戻れはしないから…
携帯電話の画面に、四角く切り取られた
やけに鮮やかな色の空を
行ったことのない海のエメラルドグリーンを
クーラーのきいた部屋のなかで、ぼんやりと眺めている
夏の終わり。




