どこにもないイーハトーブ
宮沢賢治が作りたかったイーハトーブ
アルカディア、理想郷
同じ志を持った、優しい人だけが暮らす場所
そんな場所憧れる心は今だってあるけど
永遠に存在しない場所だと知っている
どんなに近しい人でも、大切に思うものは自分の思うものとは違う形をしていて
同じものを目指しているつもりでも、ゴールは遠く離れていたりする
同じ思いを抱いたもの同士が、お互いに寄り添いあえばより良く生きていけるような気がして人は集うのだろうけど
理想郷は蜃気楼のように、目の前に姿を見せているのにたどり着けない
作ろうとする度に、もろく崩れてしまう砂の城のような
そんな場所だと思う
理想郷はどこにもない
だけど
おかしな話だけど、そうやって諦めてしまって、現実の冷たさや残酷さを受け入れて
その中で出会う小さな優しさや温かさを大切にしていたら
いつの間にか、イーハトーブの住人になっているような気もする
本当のイーハトーブは、どこにあるのかと探すのではなくて
無理に作ろうとするのでもなくて
日常の中のささやかな幸せを、大切に抱きしめているうちに
誰の心の中にも、広がる場所なのかもしれない
そんなことを、ふっと思った




