第1話 前世を知りたい
ハブメモリー国。この国は10万人に1人の確率で前世の記憶をもった子が生まれるといったここにしかない特徴があった。前世の有無は遺伝しやすく前世の記憶を持つ者が多い家系はこの国では貴族と呼ばれる。前世の記憶を持つもののおかげで都市部の文明は非常に栄えているが田舎は無法地帯、そんな国の前世の記憶を持たざる貴族の話が今始まる。
「前世の記憶が無いんだから勉学、剣術は人一倍出来るようなれよ。本当にお前は我が家の面汚しだ。」
今日も実の父に罵声をあびせられる。物心ついた時から僕は家族に必要とされなかった。罵られ暴力を受ける日々。前世無しを補うためなのか教育は詰め込まれるように行われた。「おい。聞いているのかシュラム。」
「申し訳ございません。父上。」
そう言って俺は逃げるようにこの場をあとにした。ひんやりとした廊下の踊り場に座り込むと下唇を噛む。自然と頬を涙が伝う。
「どうして俺は前世を何も、、、何も覚えていないんだ、、、」
「シュラム。お前の新しい専属使用人だ」
俺の専属使用人はよく変わる。無能だと辞めていき有能だと父上が別の場所に配属する。これも嫌がらせの1つだ。
「新しく使用人となったフィーゴと申します。」
「ああ。どうも。」
フィーゴと一緒に俺は自分の部屋へと向かった。フィーゴはとても優秀なようだ。身のこなしからすぐわかった。いつ父上に引き抜かれるだろうか。そんなことを考えながら俺は席に着き大量に出された課題をこなしていた。フィーゴは部屋の片付けをしていた。課題がひと段落つくと立ち上がって伸びをした。
「お疲れ様です。シュラム様。」
「ああ。」
「あの、シュラム様。」
なんだ?まさか1日で移動なのか?まさか、、、いやでもあの親なら有り得ない話では無いな。
「な、なんだフィーゴ。」
「シュラム様は前世の記憶を思い出したいですか?」
「からかっているのか!優秀だからって。」
思わず怒鳴ってしまった。でもフィーゴの真剣な瞳を見ると何かありそうだったから、、、
「お、思い出したいに、、、決まっているだろ、、、」
「思い出す方法があります。」
そのフィーゴの言葉に俺は目を見開いた。