表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

初めての☓☓☓☓

武器屋のヤキーブ爺さんと別れ、ルフェニャは請負(うけおい)中のクエストを確認した。

緑の石に指先を当てる。

【チュートリアル2:倉庫利用登録】

【チュートリアル0:この世界を知ろう2:スヴァンと話す】

【チュートリアル3:採集をしよう:スビーノ高原のフフワワ草を30個集める】

【チュートリアル4:狩猟をしよう:スビーノ高原のコボボコを5体狩ろう】

視界を覆うクエストのうち、一番上の、チュートリアル2だけ点滅して見える。

すごく目が疲れる。

 もう一度緑の石に触れてみると、そのクエストの文字が緑色になり、石から出た光線が、武器屋の隣の店を指した。

「自分がいるフィールドで達成できるクエストは点滅する」

 淡々と解説してくれたのは、レオーンの傍らに現れた小柄な誰か。

口を開けた黒い狐の仮面で顔の上半分が隠れている。

えっと、名前は……、

あれ? 頭の上に名前が無い。

なんで? 名無し?

「ツクモ、久しぶり。生きてたのか」

レオーンが嬉しそうな声を上げる。

……ツクモっていう名前なのか。名前、表示してくれたらいいのに。

「今やお前が新人の世話焼きか、レオーン」

仮面の下に覗く口元が、ふっと笑った。

「お前、いつの間に剣術士99になったの」

レオーンが()いた。

でも、ツクモの名前も職業レベルも見えない。

どうやって、レベルとかわかるんだろう。

「だいぶ前だ……今は魔術師のレベル上げ中だ」

 この人、剣術士なのに? 魔術師もやってるの?

 ツクモはルフェニャがどんどん首を傾げていくのを黙って見つめ、

「まずお前は、倉庫屋……クットスと話してこい」

しっしっと追い払った。

仕方なく、ルフェニャは隣の倉庫屋に行った。

ぼーっとしているクットスさんに声をかけると、“鍵”というカードを買わされた。

500ピヨとられた。

でも、これがあれば、今後手に入れたアイテム等を持ち歩かずに保管できるそうだ。

便利だなと感心していたら、

「鍵1枚に付き、30枠しか入らない上、物の出し入れはこの店でしかできない」

 後ろでレオーンさんと何か話していたのに、僕のために、ツクモさんがぼそっと解説してくれる。

ツクモさん、無愛想だけどいい人なのかも。

「お前の鞄には10アイテムが限度だな」

言って、ツクモは掲示板の方へ歩いて行ってしまった。

「ルフェニャさえよければ、俺と一緒に行動しないか?」

レオーンが誘ってくれる。

ルフェニャが頷くと、レオーンは自分の鞄に引っ掛けている耳あてのようなものを操作した。オレンジ色の光が点滅している。

「ルフェニャ、君の帽子に付いているこれを貸してくれ」

言われて、被っている帽子を手で探ると、確かにそこに同じ耳あてがあった。

「このね、右横にある突起を2回押すんだ」

ルフェニャの耳あての右耳のところにオレンジ色の光が灯って、ちかちか瞬いた。

レオーンとルフェニャの耳あての光が同時に明滅し、同時に消えた。

【レオーンを友人に登録しました】

ルフェニャの視界をそんな文字が駆け抜けていった。

友人。

いい響きだな。

【初心者クエスト1:はじめての友人登録 達成】

【初心者クエスト2:パーティを組もう】

【初心者クエスト3:3ジョブ以上のパーティで戦おう】

【初心者クエスト4:最初の職業を選ぼう(達成条件、初心者クエスト3まで完了)(レベル10到達)】

うーん、クエストが急に増えた。

どうしよう。

パーティを組むのはレオーンに頼んでみるとして、3ジョブって。

 そこへ、ツクモが戻ってきた。

レオーンの隣に来て、

「ルフェニャと友人登録したか? そのまま、初心者クエスト、やってやれよ」

と言っている。

え?ツクモさんが、レオーンさんに僕と友達になるよう頼んでくれていたの?

「うん。君は何を請けてきた?」

「スビーノ高原の幻、ルースタリオンの討伐」

レオーンが固まった。

「僕はソロで何度も討っている、問題ない」

ツクモはさらりと言った。

それからルフェニャに向き直った。

「ルフェニャ、レオーンをパーティに勧誘しろ。耳あての右の赤い突起を押すんだ。レオーンの名前が点滅したら、今度は左の緑の突起を3回。とっととやれ」

あたふたしながら、言われたとおりに操作して、

【レオーンをパーティ勧誘しました】

続いて、

【レオーンがパーティに加わりました】

という表示が流れてルフェニャはほッとした。

あれ?レオーンの右頬に赤い▲マークが浮かんでいる。

「あの、レオーンさん」

おずおずと呼びかけ、ルフェニャは自分の右頬を指した。

「あぁ、パーティの仲間の印だよ。君の頬にも同じ模様が浮かんで見えるよ」

と、突然、

【レオーンがツクモをパーティに招待しました】

【ツクモがパーティに加わりました】

流れてきた表示に、ルフェニャは思わずツクモを見た。

「……一緒に来てくれるんですか?」

「莫迦言え。お前が僕たちについてくるんだよ」

 ふんと鼻を鳴らし、ツクモは言った。

いらいらしているのか、左手首の腕輪をいじっている。

ルフェニャの視界に、ぽんと映った文字列。

【ツクモから友人申請が届きました(10秒以内に、耳あて右突起2回押しで承認)】

 ルフェニャは黙って耳あてを探り、素早く突起を2回押した。

「こんなクエスト、あったのか」

ツクモがふと呟いた。

それを聞きつけ、レオーンが驚いて聞く。

「ツクモ、お前がまだ達成してないクエストなんてあったの!?」

問われたツクモが言い淀む。

「……友人申請をしよう」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ