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7話 イケメン、ポニーテールに恋をする★

【登場人物】

福家 拓司(ふけ たくじ)。50歳。主人公。執事名【白銀(しろがね)

白髪、老け顔、草食系、実は……。


小野賀一也(おのが いちや)。28歳。主人公を追い出した人。

茶髪、イケメン風、爽やか風。


【一也視点】





オレは、小野賀一也。

喫茶カルムのオーナーだ。

オーナー代理だったが、おふくろから店を譲ると宣言された。

一国一城の主だ。


スタッフも皆、オレについてきてくれるいい奴らだ。

約一名、オレに従わない奴がいたがクビにした。

白髪のジジイだ。


再オープン初日の六月十三日、開店前にクビにしてやった。

あの時のジジイの顔は本当に笑えた。

その初日は、この店の最高売上を記録した。

二日目も記録を更新し、三日目もきっと記録を更新してしまうだろう。


さあ、オレの最高のカフェが今日もまた開店だ!


今日もオープン前から沢山の客が並んでいた。口が緩む。


「お待たせしました! 本日もカルム、オープンいたします」


オレがドアを開くと、並んでいた客たちは嬉しそうに顔を綻ばせる。

今、カルムは女性客がメイン。男性と女性比率で言えば、男性4女性6と言ったところだろうか。

オレはこれが8にはなっていくだろうと考えている。

オレがこの店に入ってきてから女性客が増えている。

恐らく、恐らくだが、オレのファンがどんどんと増えているのだろう。


だが、オレには心に決めた人がいる。

今日もオープン初日から並んでいるポニーテールのあの子だ。


「おはようございます」

「へ? あっ! おは、よう、ございます……」


オレが一番に挨拶に行くと照れているのか彼女は目を逸らす。


茶髪で明るい髪色、シュッとしていて非常に活発そうな印象だ。

けれど、オレには非常に奥ゆかしい態度で接する。

そこがまた堪らない。

そんな事を考えていると、彼女が申し訳なさそうに向こうを指さす。


「あのー、あそこのテーブルの人たち呼んでますよ」


彼女は他のテーブルの客にも気を使える。

素晴らしい性格の持ち主だ。


「そうですね。では、また後程」

「は? あ、ああ……はい」


離れるのが名残惜しいのかゴニョゴニョと口ごもらせていた。

あんな元気そうな雰囲気であの感じ、ギャップが最高だ!


オレは彼女の所へすぐ戻るべく、彼女が指したテーブルの客へと急ぐ。


「お呼びですか?」


そこには二人組の、普通の主婦がいた。


「あ、はい、あのー、デザートセットってこれだけですかね? もっと安かったような……」

「ああ、申し訳ありません。もっとお客様に喜んでいただくために、クオリティを上げさせていただいて、その為に、ちょっと価格を上げざるをえなくなりまして……」


デザートセットはウチの看板商品だ。それは数字が証明していた。

それをもっと映えるものにする為に価格を上げざるを得なかった。


「あー、そうなんですかー」


困ったような苦笑いを浮かべて視線を泳がせている。


主婦はケチで困る。

そんなに安いカフェがいいなら、その辺のチェーンに行けばいい。


ここは最高のものを提供する場なのだ。

だが、オレはこのカフェのオーナー、笑顔で対応せねば。


「もし、お気に召さなければコーヒーだけでも楽しんでいってくださいね」

「あ、はい、あの、はい」


歯切れの悪い言葉で曖昧に笑う主婦に苛々する。

足早に立ち去ると、ポニーテールの彼女の元へ向かう。

彼女は珈琲一杯を注文し、一生懸命吹いて冷ましていた。猫舌も可愛い。


「うう~、……グレ様なら、丁度いい温度に……」

「どうかなされましたか?」

「あへっ! ああ、いや、なんでもないです! いただきます!」


彼女は慌てて珈琲を飲み始める。

オレが傍にいて落ち着かないのか一気に飲み干す彼女、そして、咽ながらも席を立とうとする。


「あ、そんな、慌てなくても……」

「いえ! あの! そうでした! 大学の講義があったのを忘れてまして! では! 珈琲おいしかったです! ごちそうさまでした!」


そう言いながら、彼女は去って行った。

揺れるポニーテールが可愛らしく、オレは苦笑いを浮かべながら後片付けを始める。


「あのー……すみませーん」


さっきの主婦が空気を読まずに呼ぶ。

分かってるよ! どうせ珈琲一杯しか飲まないんだろ!

お読みくださりありがとうございます。

また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。


少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。


よければ、☆評価や感想で応援していただけると執筆に励む力になりなお有難いです……。


よければよければ、他の作者様の作品も積極的に感想や☆評価していただけると、私自身も色んな作品に出会えてなおなお有難いです……。


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