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32/82

32話 五十路、双子に出会う。

また、ちょっと活動報告で本作のイメージ調査? してます。よければー。

詳しくはあとがきに。


なんとレビュー二つ目頂きました! ありがとうございます!

内容含め嬉しくて泣きそうです!


【登場人物】

福家 拓司(ふけ たくじ)。50歳。主人公。執事名【白銀(しろがね)

白髪、老け顔、草食系、実は……。


南 詩織(みなみ しおり)。30歳。執事喫茶【GARDEN】オーナー。

黒髪ロング、美人、活発、金持。


若井 蒼汰(わかい そうた)。??歳。教育係。執事名【千金楽(ちぎら)

金髪、二枚目、チャラ風、仕事出来る。


緋田(ひだ)。24歳。執事。運動大好き。

白銀を師匠と慕う。

「いやあ、本当にご苦労だったね、白銀きゅーん☆」


千金楽さんが最近購入した高級食器をニコニコ磨きながら、古いタイプの部長みたいな口調でねぎらってきます。

上機嫌です。


この前の南さんとのお出かけのあと、すぐに南オーナーにあの食器の購入をお願いしていたのですがすぐに買って頂けたようです。


「みんな、おつかれ~☆」


南オーナーがノックしてすぐにスタッフルームにやってきます。

上機嫌です。


この前の南さんとのお出かけ以降、ずっと南さんはこんな感じです。

少しもめ事を起こしてしまったので心配していましたが良かったです。


「白銀、お疲れ様」

「はい、おつかれさまです」

「んふふ~♪」


上機嫌です。


「千金楽もお疲れ様」

「はい、お疲れ様です」

「「んふふ~♪」」


お二人とも上機嫌で何よりです。


「そういえば、白銀、今日は遅番なのね」

「はい、藍水(らんすい)さんと(あか)さんに入って欲しいと言われまして……」

「あの二人に?」


黒鶴さんと同じ執事長の藍水(らんすい)さんと、千金楽さんと同じ教育係の(あか)さんは、夕方から夜にかけてをメインにされているお二人です。

そのお二人から、今日は遅い方に入ってもらえないかと珍しく頼まれ、今日は遅番での出勤でした。


「まあ、赤はともかく、藍水ちゃんが頼むなら何かあるんだろうけど」

「オーナー、真昼お嬢様ですよ」


千金楽さんが南さんにそう告げると南さんは苦笑しながら頷かれます。


「ああ~、真昼お嬢様ね。なるほど」

「真昼お嬢様、ですか?」

「そ、前回拓が初めて執事として出勤した時会えるチャンスだったんだけど、風邪かなんか引いてたらしくてな。来てなかったんだよ。その後もニアミス」


なるほど。【GARDEN】では有名なお嬢様のようで、まだ、私は会えてないと。


「真昼お嬢様はね~」

「オーナー、何かあるんですか?」

「ちょっと最近目に余るというかなんというか……あの二人が白銀に頼るつもりなら一旦任せるけど、難しいようだったら私に言ってね。最悪、出禁にするから」

「そんなに問題ある方なんですか?」

「食事とかのマナーは完璧。周りのお嬢様にも基本迷惑かけてない。ただ、」

「ただ?」

「しっろがねちゃ~ん☆」


その声が聞こえた瞬間、私は後ろから強く抱きしめられます。


「おつかれさまです。藍水さん」

「クールねえ、でも、そこが好き☆」

「ありがとうございます」


腕を外し、振り返ると長く緩やかなウェーブのかかった髪を掻き上げながら笑う切れ長の目をした男性が。藍水さんです。

相変わらずの男前です。いえ、イケメン、です。


「今日は無理やりシフト代わってもらってありがとね」

「いえ、どういたしまして。それに藍水さん達とお仕事出来るのは楽しいですよ」

「やさしい~! そこも好き☆」


藍水さんは、執事の時は違いますが、普段は女性のような口調でお話されます。

ただ、恋愛の対象は女性の様です。


「ちょっと、藍水ちゃん。あんまベタベタしないの」

「私の白銀にーって?」

「ちょっと! 藍水ちゃん!」


オーナーが注意すると藍水さんが揶揄います。そして、オーナーは真っ赤になって反論します。これも割といつもの光景です。


「ま、白銀ちゃんも遅番自体は慣れてると思うから心配はしてないんだけど、今日はね、お願いがあって」

「真昼お嬢様、ですか」

「ま! 話が早い! 好き!」


藍水さんは、良い所があると直ぐに『好き』と褒めてくださいます。


「まあ、最強執事、白銀にどうにかしてみて欲しいってのもあるんだけど、ちょっと意見貰えたらなあと思うのよねえ。最近どんどんエスカレートしてるから」

「エスカレート?」

「まあ、百聞は、だ。そろそろ時間だし、一旦行ってみてみろよ、拓」


千金楽にそう言われ、藍水さんも頷きます。


「かしこまりました。では、今日もお嬢様達の為に、白銀、誠心誠意仕えさせていただきます」


私が藍水さんと一緒にホールに向かうと、物陰からホールを見つめる赤さんに会いました。


「赤さん、何をしてらっしゃるんです?」

「おーう、白銀。お前いつになったら、凛音ちゃん紹介してくれんだよ」


短髪の精悍な顔つきの男性が笑いながらこっちを向きます。

赤さんです。

赤さんは、よく誰々を紹介しろと言って来ます。挨拶みたいなものです。


「ちょっと、バブちゃん。何サボってるのよ?」


バブちゃんというのは愛称です。赤さん、赤ちゃん、バブちゃん、らしいです。

千金楽さんや藍水さんはそう呼んでいらっしゃったりします。


「サボってねえよ。巨人の星のおねーちゃんみたいに、緋田を応援してるんだよ」

「あら、緋田ちゃんを?」

「ああ、最近アイツ頑張ってるからな。自分に行かせてくださいって、まあ、撃沈させられてるけど」


赤さんの視線を追うと、ひとつのテーブルでお嬢様とお話をされている緋田さんの姿が。

ですが、お嬢様に何か怒られているようで、ずっと困った顔をしてらっしゃいます。


黒髪ショートカットで小柄な可愛らしいお嬢様ですが瞳が大きくそれでいて勝気な雰囲気で、非常に強気な方のようです。あれが真昼お嬢様なのでしょうか。

そして、隣にいらっしゃるのは……


「あの方が真昼お嬢様ですか? あの、隣にいるお坊ちゃんは……」

「そ、あの子が真昼お嬢様。で、隣にいるのが正午お坊ちゃん。双子なのよ、あの二人」


藍水さんが、頬に手を当てながら教えてくれた双子の一人、お坊ちゃんの方は私が執事デビューをした日にキラキラした目で話しかけてくれたあのお坊ちゃまでした。


栗色の、男性にしては少し長めの、真昼お嬢様と同じくらいの長さの髪。前髪は少し眺めで隠れがちな目が困ったように笑っています。真昼お嬢様を宥めていらっしゃるようです。


正午お坊ちゃんが真昼お嬢様に話しかけると、矛先が変わったのか緋田さんの方を向いていた真昼お嬢様が今度は正午お坊ちゃんを睨みつけて口を開きます。


正午お坊ちゃんは緋田さんに目配せをして、緋田さんにテーブルから離れるよう小さくジェスチャーを送っています。


緋田さんは小さく頭を下げ、こちらに向かって歩いてきます。


「だ、ダメでした……あ、白銀さん」

「緋田さん、おつかれさまです。真昼お嬢様のお相手を?」

「はい。ですが、私にはどうにもできませんでした」

「まあ、みんな苦戦してるからしゃあねえべ」


肩を落とす緋田さんを赤さんが慰めます。


「というわけで、ちょおっと真昼お嬢様は大変なのよね。普通にしてれば、執事に噛みつくことはないんだけど、あの……」


藍水さんが続けようとする言葉を私は遮ります。


「一先ず、真っ新な状態でお話してみます。どうにもジジイは先入観を持つとそう見えてしまうので」

「そうね。そっちの方がいいかも。丁度次のお皿のタイミングだし、白銀お願いね。さあ。じゃ、バブちゃんはいい加減仕事なさい。緋田ちゃんは切り替えて。真昼お嬢様はうまくいかなかったかもしれないけど最近がんばってて好きよ。他のお嬢様達に仕えてあげて。……では。誠心誠意、この後もお嬢様お坊ちゃんの為に全力を尽くしてください」

「「「はい」」」


気持ちを切り替えた藍水さんの号令で私を含めた三人はそれぞれの動きを始めます。

私はキッチンに向かい杉さんからお料理を受け取り、お二人の元へ向かいます。


どうやら、一旦は真昼お嬢様の何かしらの怒りは収まったようで、お二人とも次の皿を待っていたようです。


「お待たせいたしました。次のお料理をお持ちしました。お嬢様、お坊ちゃん」

「え?」

「あ……」


真昼お嬢様が驚きながら、正午お坊ちゃんが嬉しそうにこちらをご覧になられます。


「お初にお目にかかります、真昼お嬢様。そして、お帰りお待ちしておりました。正午お坊ちゃん。執事の白銀でございます」

「はい、お久しぶりです。白銀さん」

「白銀、で結構ですよ。正午お坊ちゃん。そして、真昼お嬢様もどうぞお見知りおきを」

「え、ええ……」


何やら驚き続けていらっしゃいますが、見た所そこまで悪印象ではなかったようです。


「真昼、白銀、かっこいいでしょ?」

「……そうね。ちょっと様になりすぎていて驚いたわ。この人が白銀なのね。確かに、正午の言う通り素晴らしいようね。正午と違って」


おや?


「え、ま、まあ……あ、憧れだからね、白銀は」

「憧れ? じゃあ、もっと努力した方がいいわよ。この人の動きは洗練されてる一朝一夕のものじゃないわ。大げさに言うと化け物よ」


大げさでは?


「ダンサーみたいな指先まで神経の通った動き。正午に出来る? 普段から意識してない貴方では出来ないわ」

「……難しいと思うよ」

「言い返しもしないのね。情けない。……さ、食べましょう。ありがとう、白銀頂くわ」


丁寧に挨拶される真昼お嬢様に頭を下げ、私はテーブルを離れます。

藍水さんの元へ向かい、小さく頷きます。


「白銀、分かりましたか」

「ええ、真昼お嬢様は非常に出来る方で我々にも非常に配慮してくださっている。ただ、一人、双子である正午お坊ちゃんに厳しい」

「そうなんです。私達としてもお二人の間の話なので難しい問題なのですが」


特に騒ぐわけでもなく、ただ、細かく小さく指摘し続ける真昼お嬢様が視界に入ります。

そして、それに苦笑いを浮かべながら対応する正午お坊ちゃん。

これが二人の関係性なのでしょう。


ですが、あの時一瞬見せたあの表情は……。


「藍水さん、私にお任せいただけますか?」

「……分かりました。貴方に任せます、白銀」


藍水さんが微笑みながら私の方を叩きます。


「かしこまりました。お嬢様お坊ちゃんの為に、少々厳しく参りましょうか」

お読みくださりありがとうございます。

活動報告にて『【読者さんに聞きたい】ロマグレ様のイメージって誰?』というのをやってみました。もしよければお読みいただきご意見いただけたら嬉しいです。


また、コメント頂いた皆様ありがとうございます。

読んでて新しい発見あります!


また、評価やブックマーク登録してくれた方ありがとうございます。


少しでも面白い、続きが気になると思って頂けたなら有難いです……。


よければ、☆評価や感想で応援していただけると執筆に励む力になりなお有難いです……。


よければよければ、他の作者様の作品も積極的に感想や☆評価していただけると、私自身も色んな作品に出会えてなおなお有難いです……。


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[一言] 「お嬢様」に対して「お坊ちゃん」という名詞が何か気になるというか。 言語的には正しいのかもしれないけれど、 何故か幼く見えるというか違和感があるなぁ。 うん、作者さんの所為じゃないのは判っ…
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