表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

凶悪事件・犯罪などに関するエッセイ集。

私のエッセイ~第十六弾:「切り裂きジャック」の世界

 こんばんは!ご機嫌いかがですか・・・?


 今宵は、あの有名な「切り裂きジャック」のお話です。


 はじめに、ひとつ申し上げておきたいのですが・・・このエッセイは、「切り裂きジャック」を礼賛らいさんするものではありません。むしろ、「告発」するものです。ここらあたりを、ご了承くださいませ。


 さて、おそらく、若い方も含めてご存じない方はいないでしょう。その詳しい事柄は知らなくとも、名前だけは一度は耳にされていることかと思います。


 今は、ネットがありますので、「切り裂きジャック」で検索すれば、山のような情報がヒットします。


 しかし、あまりに情報が多すぎるため、ジャックについての「大まかな全体像」というのが、皮肉にも見えにくくなってしまっています。


 そこで、僭越せんえつながら、この私めが、皆様が関心を持った「ジャックに関するそれぞれの項目」に進みやすいよう、微力ながら「案内役」を務めさせていただきます。 m(_ _)m


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 「切り裂きジャック」というのは、1888年秋のイギリスはイースト・ロンドンの「ホワイト・チャペル街」で起きた、連続娼婦惨殺事件れんぞくしょうふざんさつじけんの犯人とされる人物です。


五人の娼婦が、短期間の間に次々と鋭利えいりな刃物で惨殺された凄惨せいさんな事件で、いわゆる「劇場型犯罪」の走りといわれております。


 この犯人「ジャック」は、犯行後、自らの行為を手紙に書いて、出版社やロンドン警察に送りつけました。


 「DEAR BOSSディア・ボス」(=編集長殿)で始まるこの手紙には・・・


 『俺のナイフの切れ味は最高だ。』とか、


 『手からインクをぬぐいきる前に投函したのはまずかったな。畜生、運が悪いぜ。やつら、今度は俺が医者だといってやがる。ハッハッ。』


 『あばよ。切り裂きジャック  あだ名を使わせてもらったが、気にしないでくれ。』


 こういった挑発的な文言もんごんでもって、警察に挑戦状を送りつけたわけですね。このとき、はじめて「切り裂きジャック(英語名:Jack The Ripperジャック・ザ・リッパー」という呼び名が世に出てきました。


 そして、このインパクトのある悪名高きフレーズは、ジャックの残忍な犯行とともに世界中に浸透し、現代の私たちも知ることとなりますね。


 「切り裂きジャック」が、なぜ、130年以上に渡り、これほどまでに世界の耳目じもくを集めてきたのか・・・それは、先の衝撃的で斬新ざんしんなニックネームと、いまだに彼が捕まっていないという厳然たる事実があるからです。


 ・・・「ジャック」は、ついに逮捕されませんでした。


 容疑者は数多くいたんですが、どれもこれも決定的な証拠に欠け、具体的な物的証拠はおろか、状況証拠さえ見つかりませんでした。


 そして、五つの犯行のうち四件は、人目につきやすい路上で何度も犯行が行われたというのに、「目撃者」が誰一人いなかったのです。そういった意味で、ジャックは「悪運の持ち主」でもありました。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 ジャックの一般的なイメージとしましては・・・


 霧深きロンドン。レンガ造りの建物の薄暗い物陰から、ナイフ片手に娼婦を狙う、シルクハットをかぶった紳士風の男・・・こういった感じではないでしょうか?


 現代のイギリスで「切り裂きジャック」について語ることは、「ブラック・ジョーク」のようなものだと、よく言われます。


 1888年当時は、DNA鑑定はおろか、指紋採取の技術すらありませんでした。捜査法も、現代よりもおそまつなもので、犯人の「プロファイリング技術」も不十分でした。


 さきほど紹介しました「編集長殿」で始まる、ジャックからの最初の手紙のほかにも、「いきなジャッキー」と書かれたハガキなど、証拠品はあるんですが、130年もの時の経過とともに、DNAは汚染・破壊され、照合することは、もはや不可能とされています。


 「切り裂きジャック」の正体を探しあてることは・・・もはや「ジャック探しゲーム」の様相を呈しています。誰もが参加できる、「推理ゲーム」や「謎解きゲーム」になってしまった感さえありますね。


 その一方で、「リッパロロジスト」という、真剣に「ジャック」のあとを追跡しようとする、「切り裂きジャック研究家」たちがいることも事実です。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 私がこの長いエッセイで最後に取り上げたいのは、最後のジャックの犠牲者、「メアリー・ジェーン・ケリー」です。


 他の四人の犠牲者と違い、25歳の若くてきれいな女性だったらしいです。「らしい」というのは、生前の彼女の顔写真が残っていないからです。


 ジャックに切り刻まれた写真なら、ネットに上がっていますので、興味がある人は見てください(閲覧注意)。「Mary Jane Kelly」で画像検索すれば、すぐに出てきます。


 メアリーは、ホワイト・チャペル街のドーセットストリート沿いの「ミラーズコート」という、狭くて汚いアパートの「あばら家」の13号室に住んでいました。


 殺される晩、気分が高揚こうようしていたのか、酔って大声で歌っていたので、近所の人にうるさがられています。


 その歌は、「すみれを一本だけ、母さんの墓からんできた」というヴィクトリア朝時代独特のセンチメンタルなバラードで、実はYouTubeでこの歌を聴くことができます。


 長いワードですが、「A Violet from Mother's Grave - In Memoriam of Mary Jane Kelly」と入れてみてください。なかなか哀愁のあるいい歌で、私も気にいってしまいました。


 なお、この動画の女性は、生前のメアリーではありません。下にいろいろ動画が出てきますが、なんと、コンピュータで再現した、一度ジャックに切り刻まれてぐしゃぐしゃになったメアリーの顔からの「再構築動画」まであります。


 ふたつ上がっていますが、再現した結果は違っていますね・・・。


 例のバラードですが・・・、気に入ったので音源を「入手」し、ときどきカーステレオで聴いています。


 この歌にそんな因縁というか由来があると知っている人は、そうはいないでしょう。


 「おっ、これは。」と反応する人がいたら要注意ですぞ!・・・かなりの「猟奇マニア」か、「リッパロロジスト」の可能性がありますよ。


 あ・・・私のことでしたか(笑)。ちなみに、メアリーが住んでいたアパートは取り壊されて、今は駐車場になってます。


 実は、YouTubeには、「切り裂きジャック」の犯行現場の、1888年当時の様子と、現在の様子を映した比較映像が二つ、あがっております。


 ・・・動画名は、『The Jack The Ripper Murder Sites Then And Now.』と、『JACK THE RIPPER LOCATIONS THEN AND NOW』です。


 百年余りのときの流れが、街の様子をこんなにも変えてしまうんですねぇ・・・。なんか、とても感慨深いです。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 ジャック関連で興味深い出来事としましては・・・やはり1991年に発見された「切り裂きジャックの日記」でしょう。


 「マイク・バレット」という、多少筆の立つ中年の失業者がリヴァプールに住んでいました。彼が近所のトニーという老人を訪ねると、床下を修理してきたときに出てきたという、古いヴィクトリア朝時代のスクラップブックを渡されたといいます。


 ・・・そこには、「切り裂きジャック」の犯行とおぼしき克明こくめいづづられた告白文が、日記形式で語られ、日記の最後には、「私がジャックだ」という文言とともに、「ジェイムズ・メイブリック」という、木綿商人の名前が記されていました。


 当時、この日記はセンセーションを巻き起こし、日記は飛ぶように売れました。BBCでも放送され、評判になりました。


 翌年、日本でも翻訳出版され、それなりに売れたようです。


 ちなみに、かくいう私も購入しました。面白かったです!「切り裂きジャックの日記」(同朋舎出版)という書籍です。定価は2000円でした。


 この日記ですが・・・映画化の予定もあったほど話題になりましたが・・・残念ながら「贋作がんさく」。


 つまりニセモノだったんですよ・・・。でも、すごく良くできた内容でしてね、偽日記であっても、今でも読むと興奮しますね。


 「サスペンス」のフィクションと考えて読めば十分楽しめますヨ。ジャックに関する数々の細かい周辺資料自体は本物ですからね。私、この一冊のおかげで、「切り裂きジャックへの見通し」ってやつが、パーンと開けたような気になりましたもん。


 「切り裂きジャック研究家」であるリッパロロジストたちは、この日記を「バカバカしい・・・」といって誰も手を出さなかったそうですが、「ジャック探しゲーム」に参加しようとする、素人の初心者の私には、たいへん参考になる良本でした。今でも、大切にしてときどき読み返していますヨ。絶版ですが、「切り裂きジャック」を詳しく知るための最初の「基礎資料」として、強くお勧めしちゃいますね。


 (※) なお、この日記ですが・・・私は、この日記を読むときには、必ず次の二曲を聴きながら読むようにしています。


 ジャズ・シンガーの「阿川泰子あがわやすこ」さんの「IN A SENTIMENTAL MOOD」と「WHAT ARE YOU DOING THE REST OF YOUR LIFE」です。

 

 YouTubeで上がっていますので、ぜひご一聴を・・・。UP主様は、「阿川泰子 - トピック」様。


 すごく、「雰囲気」でますよ!


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 長くなりましたが・・・最後に、YouTubeで見つけた興味深い動画をいくつか紹介して、今宵はお別れしたいと思います。(閲覧注意のものがありますので、15歳未満の方は、ご注意ください。)


 では、失礼します。 m(_ _)m


~  ~  ~  ~  ~  ~


 『13 Miller's Court, Whitechapel 1888』


 『A VIOLET FROM MOTHER'S GRAVE AMANHÃ!』


 『A Violet from Mother's Grave - In Memoriam Mary Jane Kelly』


 『Jack the Ripper - Mary Kelly - Photo Mapped』


 『Jack the Ripper - NEW PHOTOS of No.13 Miller's Court 』


 『JACK THE RIPPER LOCATIONS THEN AND NOW』


 『The Jack The Ripper Murder Sites Then And Now.』


 『Mary Jane Kelly - A Violet From Mother's Grave』


 『Portrait of Mary Jane Kelly and facial map.』


 『Portrait of Mary Jane Kelly. Facial reconstruction.』


 『Rotate 1 - Portrait of Mary Jane Kelly. Facial reconstruction.』


 『No.13 Millers Court in Virtual Reality (VR) Jack the Ripper』


 『Jack the Ripper - NEW PHOTOS of No.13 Miller's Court ?』


 『No.13 Miller's Court - Jack the Ripper - MJK2 'Extreme' Photo Mapping』


 『Jack The Ripper - Miller's Court VR Experience Video ONE』


 『Dorset Street featuring the entrance to Miller's Court. Location of Jack the Ripper's 5th murder.』


 『Jack the Ripper - Miller's Court in 3D』



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  The Juwes are the men that will not be blamed for nothing  クラレンス公も真っ青
[良い点] 事件当時、犯行現場に残された犯人のものと思われる走り書きを、平の警官たちが重要な手掛かりになると抗議したのに「ただのいたずらだ」と主張して消させた警部がいたと何かで読んで、「捜査手法が杜撰…
[良い点] 切り裂きジャックですかー。お目が高い。 恐らく今後決着が着かない永遠の謎にして最も有名な未解決のひとつ。 様々な創作にも色々な形で顔を出していますよね。 ジャックの話題は私もつい覗いてし…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ