異世界のくせに 2
「ご、ごみカス!?ごみカスって僕ですか?」
「当たり前じゃない。なんなの急に?キモイ反応して。
これだから童貞は嫌なのよね。私の胸ばっか見てたし。
はぁーキモイキモイ」
こいつ、なんでこんな偉そうなんだ。
俺が勝負で勝ったこと忘れたのか?
「はぁ、すいませんね。彼女、口が悪くて。
でも、魔眼が使えてある程度の頭もあるんですよ。
悪い子ではないのでこれから仲良くしてあげてください」
「うーん、まあ彼女次第ですかね」
フリルを見る。
フリルはこっちを睨みながら持っていた銃のようなものを置いた。
「あの、リュウさん。この銃みたいなのってなんなんですか?」
「ああ、魔法銃です。魔力を銃弾の代わりとして打ち出すというものですね」
「なるほど」
銃があるのか。これでモンスターに苦戦することなんてあるのか?
「モンスターくらいこれがあれば倒せるだろ、とか思ってんでしょ?
んなわけないから。モンスターってそんな甘くないのよ」
「なんで僕の考えを……」
「予想しただけよ。バカの思考ほど読みやすいものはないわ」
こいつ!本当にいらいらさせるやつだ。
でも、胸がでかくて顔も可愛い、そして髪がとても綺麗な金髪だ。
外国人かハーフなんだろうか。
「とりあえず、フリルさんも見つかりましたし帰りましょうかね」
「私はこいつの採用には反対だから。魔力0とか終わってるでしょ」
「そうですかね。私は魔力0、面白いと思いますよ」
「面白いって何よ」
「魔力0ってことは魔法に干渉することが出来ないということです。
この事実はある意味貴重です」
「はあ?何言ってんだか?」
リュウさんとフリルは肩を並べて歩く。
彼らはどうゆう関係なんだろうか。
恋人ってわけではなさそうだし、仕事仲間だとしても距離が近いような。
あれくらいが普通なのか?
そんなことを考えながらカジノまで帰った。
カジノの前に着く。
「では、とりあえず、カジノの中を案内したいですね。
フリル、頼めますか?」
「はあ、私は賛成じゃないっていったんだけど?」
「あなたの意見は関係ないです。私が経営者なので」
「っち。仕方ないな。ミナト、いや、ごみカスついてきな」
「おい、お前、僕に負けたことを忘れてるのか?」
「……」
フリルを挑発する。
彼女は黙り込み手のひらをこちらに向けた。
「なめてるとどうなるか教えてやるわ」
「えっ」
フリルの手のひらから炎が出る。
まずい!顔を守るように手をクロスする。
火の暑さが近くまで来る。
「やめてください」
「うわっ」
横から水がかかる。
「初級魔法で人をからかわないでください」
「ちぇ。良かったわね、リュウがいて」
「いや、あの、制服がビショビショなんですけど」
「あ、すいません。必死だったので」
必死なら僕に当たらないようにしてくれ。
「じゃあ着替えも用意するのでカジノの中に」
「おい!」
「ん?」
後ろから声が聞こえる。
振り返ると後ろには俺をこのカジノに連れてきたハゲの男がいた。
「あなたは誰ですか?」
「なっ!もう忘れたのか?
お前に雇われたホームレスだった男だよ!」
「はあ、では行きましょうか」
「そうね」
「はい」
「ちょっと!ちょっとまて!」
「あのなんですか?」
「お前、俺と勝負しろよ。
勝ったら俺にこのカジノの全権をよこせ!」
「は?」
「勝負だよ、勝負!俺と賭け事で勝負しろって言ってんだよ!」
「あの、それ私になんのメリットがあるんですか?」
「メリット?えーと、」
「ああ、利益です。得です」
「利益ってそりゃあ、なんか、えーと……そうだ!
なんでもするよ、負けたらなんでもしてやる!」
「はあ。こんな奴ほっといて中に入りましょ?」
「……。ふふっ。いいですよ。なんでもするならいいでしょう。
やりますとも」
「は?」
「えっ?」
「よし!もう戻れないからな?いいな?」
「はい!いいでしょう。やりましょう」
「はあ、こいつだめだわ。あんたもいい機会だから見ときなさい。
こいつの下で働くのがどれだけ怖いことか学ぶ機会よ」
「えっ、ああ」
リュウさんは前に出る。
あんな条件に乗るなんて……。
頭おかしいだろ。
「勝負内容はどうしますか?」
「そうだな。それじゃあ、」
ハゲの男は周りを見渡す。
「じゃんけん」
「「ぽいっ!」」
近くの子供達が小さな炎と水を手から出す。
「負けた~」
「やったー!勝ったー!じゃあこれは俺のね」
水の魔法を出した子供が果物を自分のぽっけに入れた。
「……。じゃんけんだ!じゃんけんにしよう!」
「なるほど。いいですね。やりましょう」
「じゃんけんって?」
「ああ、じゃんけんってそっちの世界のやつとは違うから。
そうね、いうなら、
”異世界じゃんけん”かしら」
「異世界じゃんけん!?」
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