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異世界のくせに 1

「ええええええっ!!」

カジノの支配人を名乗るリュウという男。

彼は僕の三色ルーレットの戦いを見て僕をこのカジノで働かないか、と聞いてきた。


「悪い話ではないと思うのです。それより、これ、使ってください」

彼は僕にハンカチを取り出して渡す。

僕は汚れていた顔をそれで拭く。


「ありがとうございます。あの、悪い話ではないっていうのはちょっと、

イカサマがあったさっきの勝負からすると信用できないんですが……」

「ああ、そうですよね。じゃあ、この世界について説明でもするのでその後に決めてください」

「はあ。分かりました」


カジノをでて表通りに出る。

そこには僕をこのカジノに連れてきたあのハゲの男がいた。

「あっ。リュウさん。こいつどうでした?カモになったでしょ?

給料お願いしますね」

「ああ、あなたはもういらないです。給料もありません。

どうぞ、そこら辺で野垂れ死んでください」

ハゲの男にリュウはそう言い放つ。

「えっ?」

ハゲの男は衝撃から動けなくなっていた。


「ふっ」

思わず、鼻で笑ってしまった。

「は?おいてめえ今笑ったな?カモのくせに調子乗るんじゃねぇぞ?」

ハゲの男は僕に殴りかかろうとする。すると、


「がはっ」

ハゲの男はリュウにみぞおちを殴られる。

そしてその場で倒れてしまった。


「すいませんね。教育がなっていなくて、では行きましょうか」

「は、はい」

何者なんだこの人。転移者だとは言っていたけど……。


「えーと、お名前を聞いてもいいですか?」

「僕は、笹路 港って言います」

「ミナトくんですね。覚えました。こっちの世界では苗字はいらないので

忘れた方がいいですよ。私はもう忘れてしまいました」


「えっ。あのリュウさんって何歳なんですか?」

「27です」

「27!?こっちに転移したのはいつですか?」


「2020年ですかね。当時は18でした」

「えっ。僕が転移したのは2022年です。歳をとりすぎじゃないですか?」

「ああ、こっちの世界とあっちでは時間の早さがちがうみたいですね。

何人かの転移者がそれを言っていました」

「そうなんですね」

2年で9年ほど歳を取っている。向こうの一年はこっちの5年くらいってことなのか。


「それにしてもよく三色ルーレットの種が分かりましたね。

あれでしばらく食べていたので衝撃でした」

「えっ、そうですかね。まあ一回負けてるので、それが薬になった感じですかね」

「負けから学ぶ……。それは少しカジノ経営としてよくないですね。

最初から勝ち続けることが重要です。その考えはマイナス点ですね」

「えっ」

なんだ急に。面接みたいなこというなこの人。


「つきましたね。ここが城下町でカモを捕まえる場所です」

「ああ、知ってます。僕ここから来たので」

「そうでしたね。ここら辺の店で買い物やおいしい話についていくのはおすすめしません。

城から異世界転移者が出てくることは知られているので、店の奴らは物価をとんでもない値段にしてやがるので」

「そうなんですね。絶対買いませんし、引っかからないようにします」

「そうしてください。では城の裏の方に行きましょうか」

「城の裏?」

「この城は国の中心に建っています。そしてこの裏で異世界に元から住んでいた人間が生活しています。というか、大抵の国はそういう造りになっているので覚えておいてください」

「わかりました」


城の裏に着く。そこは東京と同じようなビルが中世ヨーロッパ風の建築で建っていた。

「割と高いビルが建ってるんですね。城のせいで気づきませんでした」

「そうですね。わざと見えないように城をでかく建てていますから」

「あの、なんで転移者をそんなにカモにするんですか?」


「そりゃあお金が楽に稼げるからですよ。この異世界ではモンスターを倒す以外にゴールドを得る方法がありませんからね、一部の例外をのぞいて。それでこの国は一番魔王城に近いわけですから

モンスターを倒すのも命懸け。なら転移者とかいう使い捨ての兵から金をとった方がいいということです」

「なるほど」

異世界のくせにめちゃくちゃリアルだな。

俺が読んできた本の話の異世界と全然違う。


「そう言ってたらつきました」

僕らは他のビルとは少し高さの違うビルの目の前にいた。

「あのここは?」

「あっちでいう家電量販店みたいなところです」

「なんでそんなところに?」

「フリルさんを迎えにですかね」


ビルの三階にエレベーターのようなもので上がる。

こっちの世界の家電量販店とは言っていたが魔道具専門店といった方が正しそうだ。

魔力を使って作られたであろう商品の宣伝を店員がしていたから間違いない。

「あの、ここの商品って」

「魔道具ですね。あっちの世界での電気みたいなのはこっちでいう魔力です」

「なるほど」

「あっ。いましたね。フリルさん」

彼女は銃のようなものを試し撃ち出来るスペースにいた。


彼女は銃を撃つのをやめてこちらを向く。

「何よ、リュウ。あたしを解雇でもしに来たの、ってなんでそいつがいるのよ!!」

フリルは僕を睨みつける。

「解雇にはしませんよ。新しい人材を見つけてくれたのでむしろ感謝しています」

「えっ!?もしかしてこいつを採用するの?」


「そうですね、彼さえ良ければ」

「ミナトとかいったわね。やめときなさい、バカで魔力0のあんたには向いてない仕事よ」


「いや、ジ・エンドをザ・エンドって言ってたやつよりは頭いいと思うんだけど。

というか、なんで俺が魔力0って知ってるんだ?」

「あんた噂になってたわよ。異世界転移者のくせに魔力0のごみカスがカジノに行ったって」

「ご、ごみカス!?」

三色ルーレット編はとりあえず、終わりです。感想をいただけると幸いです。

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