三色ルーレット 4
「回転スタート!」
三色ルーレット、最後の回転が始まった。
竜巻が起きる。フリルはスイッチを取り出す。
スイッチが押されて球が落ちる映像が映し出される。
「運命のストップ!!」
ルーレットの回転が遅くなる。
目で追える速度になる。球は…。
「当選は、」
「ああああああああああああああああああああああぁぁぁあ!」
「黄色になります!!!ざぁぁぁぁんねぇぇぇぇんでしたぁぁぁ!」
頭を机に叩きつける。
「あはははは!完全敗北ね!」
「くっそ!くっそ!」
「机にあたっても結果は変わらないわよ?それともそんなことすらわからなくなったの?」
「…。変わらない?」
「そう変わらない!」
「変わるさ。僕はお前みたいにばかじゃない」
「は?」
コインを一枚取ってルーレットに近づく。
「おいおい、近づくなって言ってるでしょ?」
「この位置でいいか」
僕はチップをルーレットの上のライトに向けて投げる。
パリン!ライトが割れる音がした。
「おま、え、。あ、」
「イカサマ終了だな。バカ女!」
「お前、な、何言って」
「モニターみてるならわかるだろ。何が起きているのかくらい」
モニターにはルーレットが映し出されていた。
しかし、ルーレットに映し出された色は違った。
赤、ピンク、水色だった。
「お前、なんで?」
「透明なトング、会場に入った時の眩しさと涙目になりやすいこの環境、そしてピンク、水色、黄色という色の配色。考えられるイカサマは光の三原色、違うか?」
「なっ!」
「このルーレットには二つのライトが照射されている。下からの赤、青、緑のライト。
そして、上からの赤、青、緑のライト。これは色の組み合わせによって異なる色になる。
ピンク、正確にはマゼンタ。水色、シアン。そしてイエロー。
それをルーレットに対して照射することで色の違いをだす。これがこのゲームのイカサマだ」
「な、なんで?」
「そう、普通は気づかない。だってルーレットに近づかせないようにしているからな」
「くっ。こいつ」
「そのための上からのカメラと竜巻だ。
近づかれると下からの照射に気づかれる可能性があるからモニターでそれを回避。
竜巻は色を変えてる時に外からの気づかれないための目隠しをなしていた。
上下のライトを操作して球が入った場所をかけていないものに変えればいい。
球にはセンサーかなんか入れとけばそれが可能になる」
「噓だ。気づくわけない。お前はさっきまで映像を疑ってたじゃないか?」
「二回転目まではそうだった。三回転目の最後、おれがルーレットに近づくことを頑なに拒否していたお前の行動が気になった。それで映像から考えを切り替えたってわけ」
「そんなん分かってどうするんだよ、お前が賭けたのはピンクだろ?」
「よく見ろよ、赤だ、僕が賭けた色は赤」
「何を言って、あっ」
ピンクの布は僕の血で汚れている。
「机に頭を叩きつけるのは結果を変えるのに重要だったってわけだ。
おかげでちょっと顔が汚れているけどな」
「なんで?おかしい!気づくわけがない!」
「気づいたさ。僕はザ・エンドなんて馬鹿なことは言わない人間だからな」
「…」
「転生者のバングルを返せ。早くしろよ」
「魔眼を使えばお前なんか」
「使えない脅しはやめろ。魔眼を使えるタイミングはたくさんあった。
俺がルーレットに近づくときなんで魔眼を使わなかったんだ?
条件があったからじゃないか?そしてその条件は賭けで勝利してることじゃないか?」
「くっ。そんな血だらけの顔で言われてもかっこよくないから!」
「かっこいいかどうかはいいんだよ。バングルを返せ」
「もうなんなのよ!」
フリルは俺のバングルをルーレットの奥へと投げて、逃げるようにその場を去った。
「はは。気持ちいい。最高だ。ギャンブル最高ー!」
バングルを拾い腕につける。すると拍手が聞こえてきた。
「素晴らしかったです。見事な勝利でした」
そこには背が高くイケメンな男が立っていた。
「あ、あの?」
「申し遅れました。私はここの支配人のリュウと申します。
あなたと同じ転移者で、ライトを操作していたものです」
彼は腕のバングルを見せる。
「えっ。な、なんのようですか?」
「先ほどのギャンブルを見て是非ともうちで働かないかなと思いまして…」
「ええええええ!」
読んでいただきありがとうございます。普段は夕日という名前で恋愛系のやつもあげています。タイトルは「異能持ちの声豚は性悪宇宙人系声優に恋をする」です。こちらも面白い作品になっているので読んでもらえると嬉しいです。