表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/31

三色ルーレット 3

「もう一回!もう一回、やらせろ!」

「は?」

「もう一回ルーレットをやらせろって、言ってるんだ!」

「賭け金すらない奴ができるわけないじゃん?」

「契約書…」

「うん?」

「負けたら契約書に名前を書いてやる!」

「はぁ。そんなんでやれるわけないでしょ?」

「他の転移者の見た目も話す。どうだ?」

「はあ、まあいいわ。どうせ勝てないんだから」

「よし」

ぐしゃぐしゃになった顔を袖で拭う。

「泣き虫様。10枚のチップになります」

「うるせぇ、ばか」

「はは、まるで小学生ね。早く賭けなさい」


第一回転目。

こいつは勝てないと言っていた。

明らかにイカサマをしている。怪しいのはなんだ?

考えろ。

「あら、涙目になってるわよ?

情けなっ」

くっ。目元を袖で拭く。

大丈夫。落ち着いて考えろ。まずは行動をみよう。

黄色と水色にコインを一枚ずつ置く。

「それでいいんのね。では回転スタート!」

竜巻が起きる。さっきまでは何とも思わなかったが今見ると憎しみが湧いてくる。

モニターを見る。スイッチが押されて球が投下される。

そしてすぐ球は見えなくなった。

「ストップ!」

回転が遅くなる。

モニターのルーレットが追える速度になる。

球は…。

「当選は黄色になります。おめでとうございます。泣き虫に五枚のチップでぇす」

フリルは笑いながら俺にチップをよこす。

「あれ?喜ばないの?」

「ふー。負けてるんだな、僕は今」

「は?」

「絶対勝つ。絶対」

「きもいなー」

彼女はそう言うとルーレットの方へと行き透明なトングで球を回収する。


二回転目。

怪しかった動きはどこだった?

考えろ。このルーレットにおいて重要なのは、球がどのマスに入るかだ。

そしてそれはモニターで確認する。

モニター。試すしかない。

「どうしたの?早く賭けて」

さっきと同じだ。黄色と水色に一枚ずつ置く。

「では、回転スタート!」

竜巻が起きる。これだ。これの間俺たちはモニターでしかルーレットを確認できない。

確認といっても目で追える速度じゃないから回っていることしか分からないわけだが…。

スイッチが押される。球が落ちる。

これ、もしかして映像なんじゃないか?

あのスイッチは球を落とすんじゃなくてモニターの映像を変えるスイッチなんじゃ?

それなら当たらないのも説明がつく。

それに俺は一度もルーレットに近づいて球の位置を確認していない。

「ストップ!」

徐々に回転が遅くなり、目で追える速度になる。

「当選は、ピンクになります。ざ~んねんでしたぁ~」

その声と共にルーレットの方へと近づく。

「おっと、お客様?ゲーム中は動かないでください?」

フリルが俺を止める。

「どけよ!」

彼女を押してルーレットの方に近づく。

球は…ピンクの範囲にあった。

「な、なんで?」

涙目になる。なんで、こんな…。

「映像だと思ったの?これだからあほは嫌いなんだよね」

フリルは服を手で叩いたあとそう言った。

「どうなってんだ?」

ルーレットに乗り込もうとする。

「それ以上は立ち入り禁止!ルールを破ったら問答無用で契約書にサインだから!」

彼女に言われる。僕は仕方なく席に戻る。

「イカサマを疑うのはいいけど、次からペナルティつけるから。

疑うってそういうことでしょ」

彼女は球を回収しにルーレットに近づく。

くっそ。映像じゃないのか。

考えろ。考えろ。


第三回転目。

今度はすべてのマスに一枚ずつ置く。

残りは11ー3で8枚。

「とりあえず、当たれ精神?バカすぎる。

黄色に当たらなかったらマイナスにしかならないのに」

「うるさい。はやくしろ!」

「はっ。回転スタート!」

竜巻が起きる。よし今だ。

フリルに近づく。彼女がスイッチを押す前にスイッチを奪う。

「なっ」

「どのボタンが黄色なんだ?」

スイッチには一つしかボタンがついていない。

「返せ!」

スイッチを奪われる。そしてボタンが押される。

球が落ちる映像がスクリーンに流れる。

「やっぱり、これ映像だろ!」

「違うって言ってるでしょ。早く席に戻って」

「映像だ。ルーレットを止めてボタンを押せ!」

「はぁ。押してあげるから席に戻って」

「っち」

仕方なく席に戻る。

「当選は、青となります。おめでとうございます。

ほら、二枚」

「おい!ボタンを押せよ」

「はぁ。ほら」

彼女がボタンを押す。すると、上から球が降ってきた。

「イカサマじゃないって分かった?」

「なっ。噓だ。おかしい。じゃあどうやって?」

「はぁ。さっき言ったよね、ペナルティつけるって。

次10枚全部のチップを賭けろ」

「は?いや、無理だろ、それは…」

「ペナルティ。疑うだけ疑って謝りもないんだから。

これくらいのペナルティがあるのは当然でしょ?」

「…。っち」

「次でラスト。お前の人生の最後の賭けよ。

派手に散りなさい」

「ふー。」


第四回転目。

残りの10枚のチップを全てかけるか。

「ほら早く決めて。水色?黄色?」

「…。」

「はあ。頭おかしくなったの?

ピンクに全部かけるなんて…。

あほすぎるわ、フフフ、あはははははは!」

「早くしろよ。回転しろ」

「……は?何キレてんの?

まあいいや、回転スタート!」

俺の、三色ルーレット、最後の回転が始まった。

読んでいただきありがとうございます。次回は今日中に更新するので見てもらえると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ