表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

29/31

王の骸 4

最初から気づいていた訳じゃない。

ルールを聞いて圧倒的に負け筋しか見えなかった。

痛みがあって冷静じゃなかったのもあったと思う。

でも、布石になってくれた。


第三ゲーム。

迷うことなく面を選んだ。

「早くしろよ」

「……っち。待てよ」

「自分は待たせるのか?随分と都合がいいな」

「当たり前だろ。誰の賭場だと思ってんだ!」

「……」

相手の思考が分かってきた。最初の2、あれは俺の挑発に乗るかどうかを確かめるためだった。王を出すという選択肢はあったが確率的に不安定過ぎる。だから、負けても損傷がない2を選び、相手が何を出すかを見た訳だ。ただ……。

「ほら、決めたぞ」

そう考えていると、バルデルは握った手をテーブルに置く。

「こい」

「では、オープンしてくだせぇ」

手を開く。相手の手はドクロ、僕の手は1。

「……」

「5を選んでると思ったか?」

「……」

「ちなみに、3勝まで行かなかったら勝利数が多い方が勝ちだよな?」

「……」

「おい、お前どうなんだ?」

「へ、へい。そ、そうです」

「そうか。じゃあ、第四ゲームに行こう」

「……」


第4ゲーム。

相手の思考は完全に読めてる。だから、きっとここで彼女は……、

イカサマをする。

「……」

「なんだよ?」

「いや……」

目線に気を配るが、怪しい点はない。上を見ても恐らく今は無意味だ。鏡以外のイカサマ、魔法や魔法道具?いや、サインと考えるべきか?……、いや、そうじゃないな。

「……」

ゆっくりとサイコロを握って拳を置く。彼女に目線を合わせてニィヤァァァアアアと笑う。

「っち、キモイんだよ、カス!」

「……早くおけよ」

「分かってる。ほら」

「それではオープンしてくだせぇ」

手を開く。相手の手は5、僕の手は3。

「よしっ!ざまあみろガキ!」

「……それでいい」

「あ?」

「終わっていた。第一ゲームで」

「……何言ってんだ!」

「結果はもう出てるぞ」

「頭おかしいのか?お前は5と王、あたしは1と3。まだ読み合いは回ってるだろ!」

「本当にそう思ってるのか?」

「……は、早く次のゲームに移動しろ」

「へ、へい。ペナルティはなしでいいんですよね?」

「早くしろって言ってんだろ!」

「へい!で、では第五ゲームでさぁ」


第五ゲーム。

「俺は王でいく」

宣言を高らかに目の前に握った拳を置く。

「……あ、頭おかしいだろ。おまえ!」

「早くしろよ。3を出せば引き分けだ」

「……」

口元を隠して彼女は考え出す。そんな彼女をじっと見つめる。

「……」

握った拳から汗が出てきていた。

これは正真正銘の賭け。彼女が冷静であれば通用することはない。

「ふぅー。よし、ああ、勝負だ。あたしは3で行くからな」

「……」

互いの拳がテーブルの上に置かれた。

「そ、それではオープンしてくだせぇ」

手の平を開く。握った拳の中でじんわりと湿った王冠が明るみに出る。

「くっ!」

「どうした?開けよ」

バルベルは握った拳を開かない。

「何で!何でだよ!くそっ!深読みしたのか?あたしが……」

「……。魔法銃だろ。たぶん小型の。それを自身の歯に撃ってもらう。口元を隠していたのはそのためだろ?位置によって僕の手が分かるって寸法だ。僕の手は囲んでるこいつらが見て、魔法銃を撃つ係に伝える。それが第二のイカサマだ」

「……」

「第一のイカサマはサイコロにばかり目線をいかせるためだ。第一のイカサマに気づいてそれを警戒したら、第二のイカサマはし放題になる。わざわざ頭を下げなきゃいけないんだから」

「……気づいてたなら、どうして?」

「どうして手を変えなかったか。それはお前がそのイカサマを信用しないと読んだから。ここぞという時でお前は勝負する癖がある。

第一ゲームで出した2の面は、イカサマを信用した上でかつ勝負をしようとしたから。挑発に乗らないなんて口では言うがブラフだったわけだ」

「……」

「第一試合の第二ゲームだってそうだった。お前が先に面を決めている。

イカサマを使わないで第二ゲームを勝負するなんて普通に考えたら絶対しない」

「……おい、じゃあ、お前はそれの一手に賭けて出したのか?」

「もちろん」

「負けたら死んでたんだぞ?それなのに、か?」

「……勝ち続けるには、相手の心理を読む必要がある。ここで仮に安定択を取っていたら、裏カジノに行って負けてしまうだろう。なら、僕は……死を代償にしても、賭けるべきだと判断した」

「……おかしい。どうかしてるぞ、お前」

「どうかしてないと、賭博なんてやらないだろ」

「……閉幕だ。指輪を持ってきてやるからラーメンでも食って待ってろ。おい」

「へ、へい」

自分の手に刺さっていた釘が抜ける。

「ほら、行けよ」

「……ああ」

ダラダラと血が出ている手を見ながら僕は出入口へと向かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ