王の骸 3
「あたしの勝ちは確定したが、どうする?」
「どうするって?」
「もう一試合やってもいいんだ。こっちは」
「……」
「どうして?って顔だな。シンプルに言うなら、お前のことが大嫌いだから」
「は?」
「もっと苦しんで貰おうと思ってさ。なぁ、お前ら?」
「「ギャハハハハハハハ!!!」」
くそっ。最悪だ。目元が霞んできた気がする。
この状況で泣くのはまずい。
「おい、どうした?」
「くっ……」
「涙目じゃねぇか。クソガキ」
「……」
「後悔してるんなら辞めてもいいぜ。あたしは、女々しい奴には興味がないからな」
「……」
涙がテーブルに落ちる。どうにも、僕にはリュウさんみたいに強くなれそうにない。
負けからしか学べない、賢者には、なれそうもない。
でも……。
「に、逃げることはしない。僕は……、勝たなきゃいけない。絶対に」
「ハハッ、逃げればいいのによ。そしたら後ろから滅多打ちにしてやったのに」
「……」
卑怯なやつだってのは分かってるんだ。
最初から逃げる気はない。涙を流しても……。
「愚者でも、勝つ」
テーブルの雫をみる。キラリと何か光っていた。
「やっぱり、そういうことか……」
「あ?何言ってんだガキ。それより、次賭けるのは何にする?命とバングル、あとは……」
「神眼を持ってる仲間がいる。それでどうだ?」
「……あ?保証がないだろ。お前、魔力0なんだから魔族の賭けルールも使えないしな」
「保証なんて要らないさ。僕が勝つから」
「……決めた。最近手に入れた魔法拷問器具をお前に使うよ」
「なんだそれ」
「首から上以外は神経だけになる代物だ。別名はクラゲだってよ。脳みそがなくなるくらいの苦痛らしい」
「その話、まだ続くか?」
「随分余裕そうだな。状況も理解出来ない程、頭おかしくなったか?」
「さっさと始めろ。第一ゲームで終わるから」
「……それ言っていいのか?まあいい。おい、第二試合だ」
「へい。では第二試合スタートしやす」
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第二試合、一ゲーム目。
さてと、警戒はした方がいいな。こいつが言うには第一ゲームで終わらすらしいから、あたしが出すべきじゃないのは1と2になる。どうせ、王冠で終わらせようって根端なんだろうが、サイコロに差がある時点であたしに勝てるわけないんだから。それに……。
口元を隠して彼の奥にあるものを見た。
「鏡の反射、随分古典的だな」
「あ?」
「暗い部屋で鏡を使うなんて思考一番最初に頭から消える。明るくないと使えないんだから」
「……」
「俺の手を固定したのは椅子の位置を変えることが出来ないようにするため。俺の上には仲間を配置して勝負になったら鏡を設置するようにする」
「キモイ発想だな、上をあたしがチラチラ見てたら気づくだろ。頭悪いな、お前」
「反射が一回とは言ってない。反射させるのは出入口の冷蔵庫裏、そこに大きな鏡があるんだろ」
「……」
「口元を隠すのは反射がバレないため。違うか?」
「はぁ。涙で気づいたんだな、それ。そうだが、それで?だから、なんだ?」
「……」
「このイカサマは別に使う必要なんてない。お前は頭頂部で手元を隠せばいいしな」
「そうだな。最初からイカサマしてるみたいなルールしてるんだから」
「分かってるなら、早く選べよ!ガキ!」
ドンとサイコロを握ってテーブルに置く。
「……」
ゆっくりとミナトもテーブルに手を置いた。
「それではオープンしてくだせぇ」
合図に合わせて、手を開く。相手は2、あたしも2。
「おいおい、おい!第一ゲームで終わらせるんじゃねぇのか?王を出さなくて良かったのかよ。馬鹿が!」
「……ずっと勝ち続けるため。読みが合っているかの確認だ」
「は?」
「もう勝負は決まってる。第二試合なんだから、お前も指輪以外に何か賭けるんだよな?」
「あ?誰が第二試合受けてやってると思ってんだよ!」
「負けるのが怖いか?」
「……挑発が随分上手いな。乗らないぞ?お前程頭は悪くない。それより、忘れてないよな」
下僕共がミナトに近づき、爪を剝ぐ。
「ぐぬぅ!」
「さっきみたいに叫ばないのか?」
「はぁ、はぁ、続きだ」
「っち。始めろ」
「へい、それでは第二ゲームにいきやしょうか」
第二ゲーム目。
さて、勝率的が高い順で言えば5、ドクロと4、3、1。目線を鏡に移す。流石に頭で隠してるか。
そうなると、5はとっておかなきゃいけない。向こうが5を使うまでは温存で行く、これは1も同様。そうなると、4かドクロか3。よし。
互いにテーブルに手を置く。
「それではオープンしてくだせぇ」
開いた手、同じ数字の面が露になる。
「4と4で引き分け……」
「爪を剝げよ」
「……」
「姉御、やっちまいますよ」
「……」
「姉御?」
「……いい。続けるぞ、このまま」
「へ、へい?それじゃあ第三ゲームでさぁ」
まずいぞ。明らかに、まずい。こいつ、さっきの試合は芝居か?
あんな馬鹿げた手を打っていたのは……。やばい、猛烈にやばいじゃねぇか。
「……フッ」
「っ!」
アホ過ぎる。あたしは何を見てたんだ。このニヤケ顔は、猛烈にやばい。




