危険との遭遇
「フリルさんを見てないですか?」
従業員に話しかける。
「フリルならさっきフジワラってやつとVIPルームに行くのを見たよ」
「VIPルーム……。場所って?」
「それなら……」
「おっと、探してるのはこの子かい?」
後ろから声をかけられる。
「えっ?」
振り向くとそこにはフジワラにお姫様抱っこされたフリルがいた。
「あ、えっと、どういう状況でしょうか?」
「リュウはどこに?」
こちらの質問に答えることなくフジワラはそう聞いた。
「……。僕の質問には答えないんですか?」
「おっと、ごめんな坊や。お前の相手はしてやれないんだよ」
「いや、そういうわけには」
言い返そうとした時だった。ドッとカジノ全体が湧き上がるような歓声が聞こえた。
「な、何が……」
「じゃ、ジャックポットだ!」
従業員がそう答える。
歓声が上がっている方向を見ると、先ほどマオとリュウが話していたスロットのエリアだった。
「ジャックポットってどういうシステム何ですか?」
「スロットで連続して777を揃えるんだ。それを10回。
初めてだぜ。このカジノで働かせられてから」
……手遅れだ。何か、手遅れな気がする。
「さて、向こうも上手く行ったみたいだな。
あんたも心配だろう?リュウの所に一緒に行こうじゃないか。ミナト君」
「……」
スロットの場所に着くと、リュウさんは真顔でいた。対してマオは笑顔であった。
「リュウさん!」
「……」
リュウさんに近づくが彼は何も話さない。
「魔王様、計画通りに」
「流石、優秀だね」
マオとフジワラは揃うと、フリルの体を床に叩き付けた。
「ゴホッ」
咳をしてフリルは目を覚ます。
「さて、リュウくん。選んでよ。
自分を守るか、彼女を守るか」
マオはそう言い放つ。
「リュウさん、どういう」
「……魔族の賭けでフリルさんが負けました。そして、マオが出したジャックポットでこちらの資金が尽きました」
「え?」
「更に、魔族の賭けには代償があります。それを、選ぶ権利はフリルさんにあります」
「……」
何を言っているんだこの人は……。
魔族の賭けって何だよ。ってか、資金が尽きたってどういう……。
「フリルさん、賭けの代償はまだ決めてないですね」
「……私のまが」
「ダメです。私の命にしてください」
「そんなの……出来るわけ」
二人は僕をよそに会話を始める。
「お涙頂戴は嫌いだよ。フジワラ、合意して」
「分かりました」
そう言うとフリルの手にフジワラは手を合わせた。二人の中指には黒い指輪がついている。
「私は!魔眼を」
「フリルさん、私のお願いです。あの時の約束を果たしてください」
「……あの時って」
「約束したでしょ」
「それは」
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「私は……」
試し打ちのあの場所で、私はリュウに言った。
「この世界で幸せになりたい」
「それが願いですか?」
「うん。何でも言うこと聞いてくれるんでしょ。
なら、私を幸せにして欲しい」
「幸せですか……。分かりました。
では一つだけ条件を」
「何?」
「私がお願いしたことだけは必ずしてください。命令ではなく、お願いです」
リュウは真面目な顔で私に言った。
「うん。分かった」
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「代償の支払いは終わったね」
マオは笑顔でそう言った。骨だけになったリュウを見てフリルは啞然としている。
「さて、じゃあ、このカジノは私のものだよ。たった今から」
「……」
「君たち二人はクビ。でもって、出禁ね」
マオの言葉が何を言っているのか理解出来ない。
目の前に起きていることも、自身の状態も、何もわからない。
何だろうか。頭が、動かない。
何も、何も……分からない。




