魔族の賭け 3
フジワラのカードは……。
「フォーカード!?」
驚き声が出る。
フジワラの手札はスペードの11、ダイヤの11、ジョーカー、ダイヤの11、クローバーの13。
「大儲けだねぇ、これで俺は19枚。嬢ちゃんは交換分を抜いて10枚。
大分追い詰めたんじゃないかな?」
「ぐっ」
チップのリードを取られるのはまずい。
ここから先こちらから勝負をしかけるのは難しくなる。
だが、まだイカサマはばれてない!
このイカサマでどうにか勝つしかない。
第三回戦。
カード配る。一枚目はハートのA。さてどうするか。
フジワラの方を見る。フジワラもこちらを瞳で捉えていた。
「レイズ1枚」
「コール」
互いにもう一枚確認する。クローバーの2。
ストレートを匂わせるような手札。
「レイズ2枚」
「コール」
また手札を確認する。ハートの3、10。ストレートかと思ったけど、フラッシュ狙いにした方がいいかな。残りの一枚を確認するために貧乏ゆすりをもう一度する。
ガタガタと音がする。
「なんだい?うまくいかないからってマナーがなってないねぇ」
「す、すいません」
足を止める振りをして机の下に手を入れて指を魔法で湿らせた。
何事もないように指を残りの一枚につける。マークが一瞬浮かび上がる。
……ハートの8。狙える!残りの私の枚数はチップは6枚。カードの枚数的にハートは出やすいはず。
「嬢ちゃん、負けたら命を払うつもりなのかい?」
「……、それは、負けてから考えます」
「そうかい。だが、早めに考えていた方がいい。
嬢ちゃんはこの勝負に勝つことはない」
「どういう、意味ですか?」
「そのままさ……」
「……」
フジワラは不気味な笑みを浮かべている。イカサマがバレている?
いや、だとしたらイカサマを指摘すれば勝てるはず……。
手段に気づいてなければイカサマの指摘に意味はないから、気づいているなら何か行動をしていたことになる。
フジワラを見つめる。
「嬢ちゃん交換はするのかい?」
「……します、一枚」
クローバーの2を捨ててカードを引いていく。ハートのカードはさっきまでの試合で2枚、私が手札にもっているので4枚。山札には七枚あることになる。大丈夫引ける。
カードを一枚伏せた状態にする。それと同時に湿らせた指でカードをなぞった。
マークは……。クローバーの7。
クローバーの7……?
あれ?なんだ、この違和感……。
「嬢ちゃん?」
「……捨て札を確認しても?」
「おいおい、待ってくれ。そんなルールはなかっただろう?
捨て札の確認はルールになかったんだから無しだ」
「……」
何で?何でさっきの試合で気付かなかったの?
クローバーの7は既に3枚も出ている。おかしい。このトランプ自体がおかしい。
どう、なってるの?
「嬢ちゃん、オールインをするよ。
嬢ちゃんはどうする?」
「……イカサマだ」
「は?」
「クローバーの7、私の手元に既に三回も来ている!
このポーカーは使ったトランプを捨て札として使い回していない。
なのにどうして!?絶対おかしい!」
「はぁ、嬢ちゃん、イカサマを指摘するってのは論証があってこそだぜ?
仮に三回来ていたとしてどうやって俺がそれを行うんだ?
嬢ちゃんだけがカードを配ってる。俺は嬢ちゃんのカードには触れてない。
イカサマをしてるのは嬢ちゃんじゃないのかい?」
「イカサマはそっちだ!
私は、イカサマなんてしてない!」
「そうかい。なら聞きたいんだが、嬢ちゃんはどうやってクローバーの7が自分の手札に来たって分かったんだ?」
「えっ?」
あ……。水の魔法を使っていないのに手から汗が出てくる。
「元から手札にあったわけじゃないよな?なら今指摘するのがおかしいからな。
ということは伏せたカードがそれって訳だ。
ただ伏せたカードを確認するのは出来ないはずだよな?
当たり前だ、それがこのポーカーの面白いところなんだから」
「……」
まずい、まずい。言い訳が思いつかない。
頭が真っ白になってくる。汗が止まらない。
「このカードおかしいと思ってたんだぜ、最初から。
でも言わなかったさ、あんたとなら楽しめそうだと思ったからな。
だが、期待外れだったみたいだ。あんたのカード、発色してるぜ。手汗のせいで」
「えっ?そんな訳ない!」
あのインクは魔素以外に反応しないはず!
「あっ」
確認して、私は自身が騙されたことに気づいた。
中指のリングがきつくなるのを感じた。
どこから?どこから私は騙されていたんだ?
「嬢ちゃん、勝ったからネタばらししてやるよ。
俺の目な、取り外しが出来るんだぜ」
そう言ってフジワラは目の前で目を外して見せた。
「ま、魔眼?」
「ああ、綺麗だろう?」
そう言って私にフジワラは顔を近づける。
目玉の入っていないその深淵は黒く、汚い。
気づけば意識がなくなっていた。




