魔族の賭け 2
魔族の賭け。
そもそもこの世界のギャンブルはもともと魔族が発祥だった。
魔族たちのなかで知能が高いことは誇れるステータスだった。
この知能が高いものを魔王にしようということで生まれたのが魔族の賭けだ。
そしてこの魔族の賭けには互いに呪いをかけるというものがあった。
この呪いは負けた方が死ぬ、またはそれに変わる代償を勝った方に渡すというもの。
恐ろしいルールだが、魔族の魔王を決めるのでこれくらいは普通とされていた。
そんな魔族の賭けを初めてやったのはリュウと知り合って間もなくだった。
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「さあ、始めようか」
フジワラがそう言う。
私は中指についた紫色のリングを少し見てからトランプを配り始めた。
第一回戦。
私の手札の一枚目はハートの7。
フジワラも一枚目を確認し終わる。
「レイズ2枚」
「コール」
お互い二枚のカードを取って確認する。
クローバーの4、クローバーの10。
微妙な手札……。
だが、大丈夫。このトランプにはイカサマが仕込んである。
勝てるわけではないが、私の方が有利にプレイできる。
「そういえば分かってるよな。魔族の賭けにおいてイカサマがあった場合は負けになるって」
フジワラは私にそう言う。
「分かってますよ」
私は出来るだけ余裕を装う。本当は不安で片足が震えている。
「嬢ちゃん、足が震えてるんじゃないかい?」
私の貧乏ゆすりの音を聞いてフジワラはそう言う。
「大丈夫ですよ」
私は片腕で貧乏揺すりの足を止める。それと同時に指先から小さな水の魔法を使い指を湿らせた。
「レイズしますか?」
「嬢ちゃんはどうするんだい?」
「そうですね、」
私は湿らせた指で伏せられた二枚のトランプをなぞる。
フジワラに怪しまれないように慎重に。
そして、一瞬だけマークが浮き上がり消えた。
このトランプにはそれぞれ裏にトランプの紋章と数字が分かる53のマークが水によって一瞬だけ浮かぶように出来ている。水の魔法に含まれる魔素の成分が発色を一瞬だけさせるという魔法のインクがこのマークが浮き出る理由だ。
さっきのマークはクローバーの7、そしてスペードの5。
ワンペアだ。
「勝負します」
「じゃあオープンといこうか」
カードを開く。
私はワンペア。そしてフジワラはブタ。
「私の勝ちですね」
「あらら、やっちゃったね」
フジワラはまた笑っている。なぜこいつはこんな余裕そうなんだ?
「では、六枚のチップが私のになりますね」
「これで嬢ちゃんは18、俺は12ってわけか」
第二回戦。
カードを配る。
まだイカサマはばれていない。
相手にバレなければ魔族の賭けの違反にはならない。
これは自分の経験で学んでる。
私はレイズしなくてもカードが分かる。
相手はレイズする必要がある。圧倒的に有利。
後はあいつの魔眼のタイミングだ。
他者の視点を見る魔眼。これのタイミングはどこかによる。
それに使えばイカサマとして私から言えばフジワラの負けになる。
大丈夫。勝てる。油断をせず慎重に勝つんだ。
「随分集中してるね。魔族の賭けはやっぱり緊張するかい?」
「命がかかるギャンブルに対してはそうなりますよ」
「だよな、でも昔うちのボスとやったんだろ?」
「そうですね」
「こっぴどく負けたのになんで生きてるんだい?」
「他の代償を払ったからですよ、分かってるでしょ?」
私はイラつきながら質問に答える。
「敬語がめちゃくちゃだぜ?」
フジワラは煽るようにそう言う。
私の集中をそぐのが狙いだろう。落ち着いて、落ち着くんだ。
私は自分のカードを確認する。ダイヤの9。
残りの手札を確認したいが……。
フジワラはこちらを見ている。
今回は使わないで行こう。チップ有利の間は勝負する必要はない。
「レイズ4」
「コール」
互いに手札をすべて確認する。
ハートの5、ダイヤの4、スペードの6、スペードの2。ブタか。
「私は交換しますが、フジワラ様は?」
「俺はいいかな」
フジワラはワンペアか?
交換するとしたら二枚交換でストレート狙い。
私はダイヤの9とスペードの2を交換をする。二枚は伏せたままだが、これで勝負といこう。
「レイズ2」
「えっ?」
「レイズ2だよ、聞こえなかったのかい?」
フジワラはカードがすべて見えている。
その状態でレイズをするということは……。
手札がかなりいいとしか思えない!
伏せられた二枚のカードのマークを確認する。
クローバーの7、クローバーの8。
来た!ストレート!!
私は顔にでそうな嬉しさをグッとこらえて平静を装う。
「コール、します」
「そうじゃないとな、じゃあオープンと行こうか!」
私は伏せられた二枚を公開し、自分の手札を机に叩きつける。
「ストレート!」
「こりゃあまいったねぇ」
フジワラはそう言うとカードを五枚投げるように机に置いた。
カードは……
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