元魔王の足音
「……あれ?僕いつの間に?」
目が覚めるとベットの上にいた。
隣を見るとフリルはまだ寝ていた。
「すっー……」
寝息を立てて寝ている。
ここにいたらなんか言われそうだな。着替えてさっさと外出るか。
寝間着をぬいでタキシードに着替える。
ズボンのポケットを見ると縫われていた。
あれ?フリルのは縫われてなかったのに……。
昨日も縫われてたっけ?
まあいいか。
廊下に出てリュウさんがいる部屋へと行く。
ドアを叩いて声をかける。
「リュウさんいますか?」
「はい」
ドアを開けて中に入る。
「早起きですね。どうしたんですか?」
「いや、夢だと思うんですけど……」
僕は昨日見たマオと名乗る少女の話をする。
「マオ……。フジワラは偽名か」
リュウさんはブツブツと呟く。
「あの、よく覚えてないんですけど……」
「えーと、そうですね。もしその話が本当なら、このカジノにフジワラは今日も来るでしょうね」
「そうですか、今日も勝負することになるんですかね」
「そうですね、その時は私が相手をします。来たら連絡をしてください」
「はい。分かりました」
会話が終わり部屋の外に出ようとする。
「ミナト君!ちょっと待てください」
「はい?なんですか?」
リュウさんはノートを机から取り出して僕に渡す。
「これ?なんですか?」
「僕がこちらの世界で得た情報です。今はまだ読まなくて大丈夫です。
とりあえず、君が持っていてください」
「なんで急に?」
「足音が聞こえるんです」
「何のですか?」
「危険の足音……ですかね」
「リュウさんって割と変なこと言うんですね」
「ふっ。まあ、気にしないでください。では、今日もフリルさんについて行ってください」
「あ、はい。分かりました」
部屋に戻る。扉を開ける。
「あっ」
「あっ……」
下着姿のフリルが目に入る。
「このゴミカスぅぅぅぅう!!!!」
彼女はこちらに水の魔法を打ってくる。
ザバンッ!
僕の服はびしょ濡れになってしまった。
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フリルの後ろを歩く。フリルは松葉づえをつきながら歩く。
「あの、悪かったから、喋ってくれないか?」
フリルはこちらに一切向かず前を歩く。
こいつ怒るとだるいタイプか……。
「とりあえず、今日フジワラが来たらリュウさんを呼ぶってことだけ伝えとく」
「……」
フリルが立ち止まる。
「リュウが勝負するの?」
「たぶん、そうだと思う」
「そう、……」
フリルはまた歩き出す。
僕は後ろをついて行った。
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カジノに人が増える夜の時間になる。
フリルはあれ以来口を聞いてくれない。
フジワラも今のところは訪れている様子はない。
「あの、そろそろ口を聞いてくれてもいいんじゃないですか?」
どう接していいか分からず敬語を使う。
「……、あんた、スロットコーナー見てきて。私は一対一バトルステージにいるから」
「あ、はい」
スロットコーナーに行く。
フリルの奴めっちゃ怒ってるな。
うーん、どうしよう……。
頭で考え事をしながらスロットコーナーを順に歩いていく。
客はすべての席に座っていた。
その中で見覚えのある黒髪を見つける。
あの黒髪……。
帽子を被ってスロットを打ち続ける少女がそこにはいた。
「あの、お客様?」
思わず話しかける。
「おっ。昨日の人間じゃないか、どうしたんだ?」
彼女は振り返ることもなく、声だけで僕と判断する。
「えっ」
昨日のは夢じゃなかったか。
「あの、マオ様でしたよね。あの大魔王ってどういう」
そう聞くとスロットが光りだす。
「おっ、今日はついてるみたいだね」
彼女は嬉しそうにスロットを打つ。
「良かったですね」
声をかける。
「そうだな、これからの作戦が上手くいきそうだよ」
彼女は振り返ってそう言った。
スロットは777を揃えて球を出していた。
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