魔法と賭けのタイマン
「一対一バトルステージってなんなんだ?」
「ここでは、ディーラーかカジノのお客様がタイマンで勝負するの。
で、観客はどっちが勝つのか賭けたり、手助けをしたりするのよ」
「バトル内容はなんなんだ?」
「毎回ランダムね。でも一応魔法を使ったものにしているわ。
魔法ってこっちの定番みたいなもんだから」
「今日のバトル内容はなんだ?」
「今日は、魔力チキンレースね」
「魔力チキンレース?」
「水晶を使ったゲームで水晶を割った方が負けるってやつよ」
「えっ。それって僕最強じゃね?」
「いや、魔力を1でも注がないとルール違反で負けになるわ」
「ですよねー。ってかちゃんとしたルール教えてくれよ」
「ああ、そうね、魔力を調整して水晶に送り合うの。
魔力が1000を超えたら割れる水晶を使っているわ。
で、注いだ魔力は数値として確認できるようになってる。でも500を超えたら見えなくなるわ。
数字は向こうの世界と変わらないから安心して。ちなみに1度で注げる魔力の最大は300までね」
「なるほどな。水面張力を利用したあれみたいなゲームか」
「そうそれ。理解早いじゃん」
「でも、そんなゲーム内容で稼げるのか?」
「そうね、まあほとんど客同士の対決だし、客が対戦するにも賭けるのにも1000ゴールド必要だしね」
「なるほどな、でも、客同士が組んでたらやばくないか?」
「その場合はイカサマをするわ。そのためにディーラーがいるの」
「いや公平のために居ろよ」
「うるさいわね。とりあえず、私達はここの担当よ。まあ客同士の対決を見ながらカジノの雰囲気を掴んでもらう感じで今日は終了かな」
「勤務初日は楽だな」
「そうね」
僕らこの時知らなかった。この後とんでもない勝負をやらされることになることを……。
カジノの開店から10時間が過ぎた。
夜に近づき人はどんどん増えていく。
タイマンステージも今日最高の盛り上がりを見せていた。
「今日は魔力チキンレースか。勝てそうだな」
「おいおい、今日も負けにきたのか?」
客同士が煽りあいながらステージに上がる。
「この2人組んでそうね。掛け金が片方にすごく偏ってる」
「イカサマってどうするんだ?」
「オッズが低い方を勝たせて利益を得るわ。イカサマのやり方はスイッチだから」
「三色ルーレットといいスイッチ大好きだな」
「リュウに言いなさいよ、それは」
2人の魔力チキンレースが始まる。
数値の変動を確認するかぎり組んでいるというのは事実のようだ。
フリルが手元のディスプレイで魔力が900を超えたあたりでオッズが低い方が水晶に手を置いた瞬間にポケットにあるスイッチを押した。
「あ、あれ?」
「お前!裏切ったな?」
「いや違うって」
「裏切ったとはどうゆうことですか?八百長は禁止となっております。
罰金の代金を2人から頂きます」
「お、おい。ち、違うんだ」
「こんな細い女やれるだろ。行くぞ!」
一人の男がそう言って殴りかかる。もう一人もそれに続く。
「はあ、だるいな」
2人の客をフリルはなぎ倒す。
「お金払って頂けますか?」
「は、はい。喜んで」
なるほど。このゲームってこういう稼ぎ方もあるのか。
「はあ、困るわこういうの」
「それにしてもフリルって強いんだな」
「まあリュウに鍛えられたからね。カジノって力で負けたらおしまいだからさ」
「まあ、確かにそうだな。
それにしても、今ので、お客さん減っちゃったな」
ステージ前は数人の客しかいなくなっていた。
「しゃーなしね。今日はもうお客はこないかしら」
「お姉さん、これってディーラーとでも勝負できるのかい?」
ステージの上に一人の男が上がってくる。
男は髭を伸ばしておりとてもカジノに来るような恰好ではなかった。
まるで荒野のガンマンのような男はニヤニヤ笑いながらこちらに来る。
「えっ。はい、構いませんよ」
「じゃあ俺と勝負してくれよ」
「はい。かしこまりました。掛け金を先に頂いてもよろしいですか?」
「1000ゴールドだよな。ほら」
金貨の入った袋をフジワラは机に置く。
フリルはそれの中身を確認する。
「はい。確かに。ではお名前を聞いてもいいですか?」
「フジワラだ。始めようぜ」
「分かりました」
フリルは水晶の前に立つ。フジワラも水晶の前に立つ。
「では、魔力チキンレースを始めます。先行はコインで決めます。どちらがいいですか?」
「あんたが先行でいいぜ。始めよう」
「はい。分かりました」
このゲームは先行有利なんだが、知らないでこの勝負をする気なのか?
そう思いフジワラの方を見ると、彼は真剣な眼差しでこちらを見ていた。
何かやばい。そう感じた僕の予感はあたっていた。
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