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セーブデータから

作者: 檜慈里 雅

 セーブデータからやり直す。魔王に(とど)めを刺したのが、ぼくの剣じゃなかったから。


 セーブデータからやり直す。あの最深部に見えていた宝箱を、開け損ねたまま引き返してしまったから。


 セーブデータからやり直す。争いがなくなった平和の世界で今、わたしは必要とされないから。


 セーブデータからやり直す。せめて誰かひとりの恋心くらい、射止めてみせたかったから。


 セーブデータからやり直す。油断したから負けたけど、俺の本当の実力はこの程度じゃないから。


 セーブデータからやり直す。自分の愚かな選択で、大切な人を死なせてしまったから。


 セーブデータからやり直す。この自由な世界が、最終時間を迎えてしまったから。


 セーブデータからやり直す。次こそは君を、もっともっと上手く育て上げてみせるから。


 セーブデータからやり直す。あの人の表情を曇らせてしまう、こんな未来なら僕は要らないから。


 セーブデータからやり直す。何が不満かはうまく言えなそうだけど、何となくそうしたいから。


 セーブデータからやり直す。今度こそ何か奇跡みたいなことが起きて、あなたをこの手に抱ける気がするから。


 セーブデータからやり直す。サイコロを振った結果、そうするほうの目が出たから。


 セーブデータからやり直す。1%に満たない確率を、何百回だって繰り返して引き当てるから。


 セーブデータからやり直す。そうすることに慣れすぎて、初めて世界に触れた時の感動はもう無いけれど。


 セーブデータからやり直す。ここから飛べば、どこかのセーブ地点からやり直せると思うんだ。


 セーブデータからやり直す。

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