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異世界武器商人  作者: みゅー
共和国編
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第5話

 翌日、朝早くから出店の許可を貰うため役所へと足早に向かうと、そこにはすでに列が出来ており、最後尾に並ぶハメになった。しかし、許可書を貰うためには致し方がない。少し待っているとゆっくりとだが列が動き始めた。許可書の発行は驚くほどあっけなく発行してもらえた。出店を出す場所は、大通りの北側で他の出店の多くもそこに集中している。

あてがわれた場所に移動すると、ござを広げ、購入したダガーと短刀、巻藁を並べ、その隣に昨日製材所で貰った木材で作った簡単な値札を置く。後はこれに興味を示してくれる人を待つだけだ。まだ朝早くとあって人通りは少ない。しかし、短刀は珍しい形なのか興味を示して、何人かの人が足を止めるが、値段が少し高いのか見るだけにとどまっている。


「もう少し値段を下げるべきか?しかし、それをすると食い扶持が減ってしまう。」


値段を下げるべきか悩んでいると、冒険者然とした数人の集団が足を止めてこちらに近づいてくる。


「店主、このダガーと短剣?は何処で手に入れたものなんだ?」

「これは、私しか知らない秘密の入手路で手に入れたもので、どこかまでは教えられません。」

「ふむ、それは致し方ない。だが見事なものだな。これは値札の通りの値段なのか?」

「もちろん。値引き交渉は受け付けていませんが。」


そう言うと、集団の中の一人がダガーを手に取り巻藁に向かって振り下ろす。そうすると巻藁の半分まで切れ込みを入れることが出来た。それを見ていた周りの人たちも感嘆の声を漏らす。


「これはよく切れるダガーだな。これならこの値段もしょうがないものだな。」

「いかがでしょうか、ダガーなら銀貨3枚、短刀は銀貨5枚ですよ。」

「そうだな、短刀?のほうはこちらでは見たことの無い形だが、これもよく切れるのか?」

「こちらでは珍しい形かも知れませが、そちらもよく切れますよ。」

「なら、置いてある物全部買おう。」


これは驚きだ。周りの店よりも値段は高いはずなのだが、すべて買うとなると銀貨16枚はそれなりに高額だ。こちらとしては満足だが、購入を決めた男性の後ろにいた何人かはため息をこぼしている。こちらが唖然としていると銀貨を渡してきたので、それを受け取り商品を渡すと満足そうな足取りで帰っていった。


「これで、当分の食い扶持は稼ぐことが出来たな。しかし、買うのが豪快だったな。この分なら明日もここで販売することが出来るな。」


出店を開いてまだ数時間しかしていないが、すでに売れる商品が無くなってしまったので出店はここまでにして、ござの片付けを始める。このまま帰っても時間を持て余すだけなので、昨日の噂の真偽を確かめるために人が集まりそうな場所を目指すことにした。その場所とは、酒場だ。そこなら、色々な情報が集められると思ったのだ。

ふらふらと歩きながら酒場を探していると、大通りの一角にちょうどよい大きさの酒場を見つけることが出来た。人もそこそこ入っているので、情報収集するにはうってつけだ。店に入ってカウンター席に座ると、とりあえず飲み物を注文して周りの声に耳を傾けていると、大柄な男が隣の席に座ってこちらに向かって話しかけてくる。


「あんた、さっき市場で刃物売ってた人だろ?」

「そうだが、もし同じ様なものが欲しいなら、明日にしてくれないか?今日はもう店は閉めたからな。」

「そうじゃねえよ。ここでは話しにくいから、あっちのテーブルに移らないか?」

「ここじゃ話にくいことか。わかった、移動しよう。」


そう言うと、その男に奥まった場所にあるテーブルに案内される。そうすると、そこには先ほど自分の出店で刃物を買った男が座っていた。促されて席に座ると男は静かに語り始めた。


「さっきはいいものを買わせて貰って感謝する。」

「社交辞令はいい。本題を聞かせてくれ。」

「分かった。実は俺達は西の戦線に向かう途中の傭兵団でな。あんたがもしよければ、俺達と一緒に西の共和国までついて来てくれないか?」


男の提案は思いがけないことであったが、なぜそんな提案をしてきたのか疑問に思っていると相手から、更なる情報がもたらされる。


「もし提案を受け入れてくれるなら、西の軍部に口利きを出来なくもない。」

「それは本当のことなのか?真偽が不明で判断がつかない。」

「だろうな。しかし提案は本当のことだ。もしついてきてくれるなら、明日の朝の鐘が鳴るころに西門の入り口に来てくれ。」


男はそう言うと席を立って出て行った。残っていた飲み物を飲みきると提案を受けるかどうかを考えるために足早に宿に戻った。



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