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異世界武器商人  作者: みゅー
共和国編
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第3話

 ベッドに寝転びながら次の行動を考え始める。この世界に転移してきた理由が混乱を蒔くことだが、今はただの1市民なのだ。これからどういった行動をとるのが正しいのか、武器を卸すにも信頼が無ければならないし、そもそもそんな大量の武器を卸すことが出来るかどうかもわからない今するべき事は商業ギルドに加入して、細々と武器を卸すことしか出来ない。


「これからどうやって武器を卸していくか、市場調査でもしてみるか。」


独り言のような呟きをしてからベッドから起き上がると、先ほど貰った札と鍵、少量の銀貨を手にすると、部屋から出て階段を下りていく。すると先ほどの女獣人が暇そうに椅子に座っている。


「なんだい、外に出掛けるのかい?」

「ああ、商業ギルドに行くのと、市場調査を兼ねて出掛けてくる。」


そう言いながら鍵を渡す。すると受付は頷きながら、鍵を引き出しにしまうと手を振りながら見送りをしてくれた。

宿を出て大通りを歩きながら、道すがらどんな物が売られているのか確認しながら、商業ギルドの場所を聞いてみる。


「いらっしゃい。何でも見ていっておくれ。」

「それじゃあそこの果実を3つくれ。」

「リゴンかい?それなら3つで銅貨1枚でいいよ。」


硬貨を渡しながら、商業ギルドのことも聞いてみる。


「この近くに商業ギルドはあるかな?場所が分からなくて。」

「それならこの大通りを進んでいって噴水の近くに他のギルドと一緒にあるよ。目印はよく分かる場所にあるはずだよ。」

「分かった。ありがとう。」


話を聞いたかぎり、噴水が目印になることを聞き出すことが出来た。しばしば出店を冷やかしながら目的の噴水を目指し歩いていると、割とすぐに目的地に到着することが出来た。周りを見渡すと他のギルドもここを拠点にしていることがよく分かる。東西南北に伸びる大通りの中心らしい。

目的の商業ギルドを見つけると、少し緊張しながら扉を開くと、そこには商人の風貌をした何人もの人が受付で商談をしているのが見えた。

ここで、躊躇している暇はないと改めて思い。空いている受付に向かう。そこでは眼鏡をかけた女性がこちらを訝しめて見ている。


「いらっしゃいませ。商業ギルドにどのような御用でございましょう?」


少し威圧的な口調であるが、今の自分の格好を考えるに冷やかしに見えなくも無い。しかしここで戸惑っていても怪しまれるかもしれない。そう考えると素早く用件を済ませたほうがよいと思った。


「商業ギルドに入会したくてこちらに来ました。」

「新規入会ですね。それでは名前と入会金銀貨1枚をお納めください。」


入会にかかる費用は致し方ない。しかし、明らかにこちらを下に見る言葉使いにいささかの苛立ちを上げつつ名前の記入と銀貨を支払う。そうするといくつかの羊皮紙を渡された。


「こちら入会の誓約書と入会書、さらにギルド規範を書いたものになります。店舗を購入する際には、必ず商業ギルドに届出を出すこと。出店であれば街の役所に届出を出すことになります。他に聞きたいことはありますか?」

「いえ、説明ありがとうございます。」


事務手続きを終え、受付を後にする。これで公式な身分で出店を開くことができるようになった。しかし、出店程度では販売できる武器を厳選しなければならない。しかも店舗を持つことは望ましくない。こうなると武器商人のスキルを最大限活用する手立てが無い。ともかく、今は出店で新たな武器を購入できるように細々と販売するしかない。


「これで商売をする第一段階は達成だな。しかし本人確認がこの羊皮紙だけとなると、偽名も考えといたほうが今後の計画には必要だろうな。」


今後武器商人として生きていくにあたって、偽名は多く考えとかなければ自分の身の安全が確保できないことは自明の理だ。しかしギルド規範には偽名の使用を禁ずる旨が書かれており、発覚しだいギルド入会書の剥奪となる。しかも、重い罰則も追加で受ける可能性もあるため、どうしたらいいか頭を悩ませるものだ。

あれこれ悩んだところで今改善案が浮かぶわけでもないし、もう1度市場を見ながら明日の構想を練ることにした。


「しかし、大通りは出店の数も多いな。こんなところで武器は売れるのか?」


出店を見て回ったところ、ほぼ雑貨や果実の販売でこれから売ろうとしている武器は、店舗での販売しかしていない。これでは出店を出したところで売れるのか疑問だが、自分の食い扶持を稼がなければならないと覚悟を持って明日出店を出すことを決意し、宿に戻ることにした。



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