第30話
自分の天幕で休んでいると、食事の準備ができたと声をかけられたので、外に出ることにした。
そこにはいつものように焚き火を囲むように座って、飯を食べている団員が目に映った。いつものように二軍の人たちに混じるように座ると、食事の入った皿を渡される。ついでとばかりに酒のコップまで渡されたので、今回も宴会になるのかと思っていると、周りはすでに飲み始めていた。仕方が無いので、一杯だけ付き合うことにした。
一杯だけ飲むと周りからさらに追加の酒を渡されたが、丁重に断わりをいれて早々に自分の天幕に戻ることにした。
自分の天幕に戻ってくると、情報屋の真偽をどのように確かめるか考え始めたが、酒が入ったせいでうまく考えがまとまらなかった。こんな時は、すぐに寝るのが一番だと考え、毛布に包まり寝ることにした。
翌日、目が覚めるといつものように身支度をして、天幕の外に出た。時間的には早朝といってもいい時間だったが、すでに他の団員も起きていた。起きてきた団員に軽く挨拶をすると、朝食の時間までまだ時間があったので、散策しようかと思っていたら、すぐに朝食の準備が終わるから待っていてくれと言われた。なので、おとなしく自分の天幕の近くに座って待つことにした。
しばらくすると、朝食の準備が完了したから取りに来てくれと言われ、おとなしく取りに行くことにした。
食事を取りながら、今日の行動をどうするか考えてみた。1つ目は、昨日の話の通り情報屋を探しに行くこと。2つ目はおとなしく自分の天幕で待っていること。3つ目は、団員について行って訓練を見学すること。
大まかにこの3つとなるが、2つ目と3つ目は自分がやることが無いので、退屈しそうだから候補からはずすとして、1つ目の情報屋を探すのは明らかに人手不足なので、探すのなら他の団員の手伝いも必要だ。
そう考えると、やることが無い。しかし、何もしないで待っているのももったいないので、どうしようかと迷っていると、ミルコフが近づいてきた。
「ヴァッフェさん、今日の行動は何か決まったか?」
「ミルコフさん。今考えているところなのですが、なかなかいい案が出てこなくて、どうしようか迷っている最中ですよ。」
「それなら、俺達二軍の装備を見繕ってもらえないか?」
「ミルコフさん達のですか?それはまた急な注文ですね。」
「急なのは申し訳ないが、俺達の装備もそろそろ買い替えの時期になっているから、何か俺達にあった装備を持っていないか?」
「いくつか候補はありますが、金額もいい値段しますよ?」
「そうだろうな。しかし、資金のほうは団長からいくらか融通してもらったから、そんなに出せないが問題は無くなった。」
「なるほど。なら『ギフト』のことが知られてしまっている以上、納得してもらえるように話を詰めましょうか。」
「そうしてもらえると助かる。話し合いの場所はヴァッフェさんの天幕で大丈夫か?」
「ええ、そこで皆さんの要望を聞きながら、武器の選択をしていきましょう。」
こうして、今日の行動が決定した。しかし、ミルコフ達の武器を見繕うとは言っても、『スキル・武器商人』の武器は、銃が基本になっており、剣や槍といったものは数が少ないので、要望にあった武器を見つけられるか疑問が残る。
しかし、ここで要望の武器が揃うのであれば、市場に出しても売れる可能性が浮上する。そうなれば、市場で武器を販売しながら情報屋の情報を収集することも可能になる。そう考えれば、今回の誘いは願ったり叶ったりなのではないかと思う。
ここは一つ市場調査もかねて相談に乗るのもいいかもしれない。
そう考えると即行動に移したほうがいいだろう。そして、自分の天幕に急いで戻ると、『スキル・武器商人』を起動して、候補になりそうな武器を羊皮紙に書き出すことにした。
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