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異世界武器商人  作者: みゅー
共和国編
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第18話

ミルコフからセイクリッド教会の説明を聞くことになり、そのついでとばかりに質問をすることにした。


「まず、セイクリッド教会ってのは戦争や紛争の平和的解決を目的として介入してくる組織だな。それ以外には、治療魔法の独占や薬草の独自栽培もしてる。しかも、この大陸唯一の教会ってのもあってその権威はかなりでかい。」

「なるほど、それでは今回の戦線にも介入するために部隊を投入したんですね。なら、この戦線もすぐに終戦になるのでは?」

「教会が介入したところで戦線が解決したためしは無いし、それにいろいろと首を突っ込むのを嫌がられて軍部では嫌われ者なのさ。」

「よっぽど嫌われているのでしょうね。しかし、治療魔法を独占しているのなら、むしろ今が稼ぎ時じゃないんですか?」

「治療魔法もお布施が高すぎるんだよ。だから、戦線の軍人なら治療魔法よりも薬草での治療のほうが断然人気だな。」


 ここまでの説明で、ある程度教会がどんな扱いを受けているのかが見えてきた。戦線では軍人にむげに扱われており、なおかつ戦線に首を突っ込むのを嫌われ厄介もの扱い。ここまでの扱いになっているのなら、自分の商売をするときには障害になることは無いだろうと思う。

 そして、少し疑問に思ったことが魔法を使用する人を見たことが無かったのでどのような扱いを受けているのか少し確認してみる。


「ミルコフさん、治療魔法以外の魔法を使う人はどのような扱いを受けるのですか?」

「何だ、ヴァッフェさんは魔法を見たことが無いのか?」

「ええ、田舎のほうに住んでいたので見た事もないのですよ。」

「それなら仕方が無いな。治療魔法以外の魔法使いは、ほとんどが軍属になるのが基本だからな。軍に所属していなければ見る機会も少ないだろうよ。」

「なるほど、なら今回の戦線では多少なりとも見る機会はありそうですね。」

「見えるほど近くにいたら、誤爆で被害を受ける可能性もあるから、絶対とは言えないがな。」


 こうして、教会のことや魔法の説明を受けていると日が頂点を差し、ちょうどいいから休憩をとることになった。いつものように周りを見渡しやすい丘陵地を見つけてそこに向かうことにした。たどり着くとみんながおのおの好きなように休憩をとり始める。俺も荷馬車から降りて、凝り固まった身体を伸ばしながら少し今後の事を考えてみる。

 教会の介入があると武器の販売に首を突っ込んできそうだと思うが、軍部に嫌われているのなら無理にかかわることも少ないだろう。しかし、軍部に顔を出していたら嫌でもかかわることになるだろう。その時にどうやって回避すればいいのか悩んでしまう。

 あれこれと悩みながら辺りを歩き回っていると、昼食の準備ができたと声をかけられ荷馬車まで戻ることにした。昼食を食べながら当たり障りのない質問をみんなにしてみると、やはり教会の介入は嫌がられているようで誰も肯定的な意見が出てこない。

 そうこうして、昼食を食べ終わるとまた荷馬車に乗って移動を開始した。道中はやはり教会の話でもちきりで、色々な話を聞くことができた。

 いわく古代の書物を独占していて、古代に普及した兵器や魔法の研究をしている。過去の儀式魔法の方法を再現できないか研究しているだの、違法な人体実験をしているだの噂が絶えないらしい。その中でも一番話題になるのは、治療魔法を独占しており少しでも治療魔法を使えると強制的に教会が連れ去っていくことだ。これは昔かららしいが色々な所で問題視されており、そのたびに教会と国が論争をしているらしい。

 ここまでの話で教会はろくでもないことをしていることがよくわかった。そんな教会に目をつけられそうな『スキル』を持っている俺はため息しか出てこない。

 そんな話をしていると、だんだんと日が傾き始めた。そろそろ次の街が見えてもいいころだが、心配になってミルコフに聞いてみることにした。


「ミルコフさん、今日も野宿になる可能性があるんですか?」

「それは大丈夫なはずだが、今の速度だと城門がしまるまでにたどり着けるかは難しいな。」

「どうするのですか?このままだとたどり着けないかもしれないんですよね。」

「仕方が無い。ちょっと速度を上げる。振動が激しくなるから、できるだけ何かにつかまっているように。」


 そう言うと荷馬車の速度が加速する。激しい揺れの中必死に物につかまりながら早く次の街に着くように祈るだけだった。

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