第0話
初めての投稿です
つたない文章ですが、コメントよろしくお願いします。
白煙と硝煙が支配する戦場を見渡せる小高い丘から、双眼鏡で戦場の行く末を見ながら、笑みを浮かべながら見ている一人の男がいた。
「この戦場で売れる武器は売り切りましたね」
そう呟きながら双眼鏡で戦場を観察している青年の後ろでは、武器を売って空っぽになった馬車が次の目的地に向かうための準備をしていた。
「ボス、準備はあらかた終わったぞ。」
「そうですか、ではそろそろ出発するとしますか」
背丈180cm、体にはいくつもの傷跡を残す偉丈夫が銃を担ぎながら、赤髪の男が青年の隣までやってくる。その男から準備の完了を知ると、ボスと呼ばれた青年は重い腰を上げながら答える。
「これからはまた移動の始まりですね。」
「本当にいいのか?この戦場にはまだまだ売れる戦場だろ?」
「この戦場は膠着します。だから今のうちに逃げるにこしたことはないのですよ。」
それだけ話すと、馬車に向かって歩き始める。
それに追従するように、頭を振りながら赤髪の男もついてくる。
馬車の近づくと準備を完了して、待機していた6人の男女がこちらを見ていた。ボスは周りを見渡すと静かにうなずき、腕を突き上げる出発の合図を出すと、全員が馬車に乗り込みを開始する。
ボスを含めた8人のそれぞれ乗り込みが完了すると、馬車は移動を開始し始める。それと同時に御者が目的地を聞いてくる。
「ボス、次の目的地はどこに向かうんですか?」
「次の目的地は、南の連合諸国に行きますよ。」
すると、ボスの向かいに座っていた虎の獣人が疑問の声を上げる。
「南なんて商売敵しかいないじゃないか、そんなところに行って本当に売れるのか?」
「疑問は重々承知だが、南でもキナ臭いことが起き始めている。そこに乗じて銃やその他の武器も卸す予定ですよ。」
ボスの言葉に周りは懐疑的に捕らえており、賛同の声は出てこない。皆声には出さないが落胆の色を隠せずにいる。そこでボスは更なる情報を出すことにした。
「今回南に行くのは、秘密裏に開催される闇オークションの参加もあります。」
「闇オークションに銃でも卸すんですか?」
「それに参加して、南と北に面を通して、更なる販路を築くための布石のためです。」
ボスの言葉に必ず面倒事になる未来を見据えたのか、部下の全員がそれぞれの銃の手入れを始めた。
そして、ボスの横で狙撃銃の手入れをしていた眼鏡をかけた青年が声をかけてくる。
「いつものように周りから狙われることは確実ですよね。」
「それは否定できませんね。われわれ武器商人が狙われるのはいつものことです。」
「そろそろ、聖教会も動き始めるのですか?」
この問いにはさすがのボスですら躊躇いの表情を見せ、周りを見渡すと深いため息を吐きながら頭を垂れる。そして最悪の結果を話し始める。
「すでに聖教会は、われわれの動きを察知して動き始めています。すでに東と西側の国々では、私達の動きを止めようと戦争に介入、調停の使者として動きを見せています。だからこそ、まだ介入されていない南と北に販路を広げる必要があります。今以上に襲撃がある可能性が高い。」
話し終えると周りの部下は一様に険しい表情を浮かべる。今後の行動によって、激しい戦闘が起こることを浮かべ皆気を引き締めはじめた。場合によっては死人が出るであろう事は全員が即座に理解した。
そんな中御者から警鐘の声が出された。
「ボス!後方から土煙!敵接近!」
その声に後方に座っていたメイド服の女性が即座に双眼鏡で敵の確認をする。そのほかの者は狙撃銃を取り出し、照準器で狙いを定め始める。
「敵、聖騎士10騎、全騎をハルバード装備。距離800、全速力でこちらに向かってきます!」
「ここにも聖騎士が張っていたか、それなら先制攻撃としますか。」
その返答に全員が歓喜の声を上げて、狙撃銃での先制攻撃を開始した。先制攻撃に聖騎士は慌てふためき始める。部下の狙撃は精確で、またたくまに聖騎士を打ち抜いていく。接敵することも出来ずに半数を失うと、味方の不利を理解したのか混乱する中撤退していった。
「ボス、追撃は必要か?」
「追撃は不要です。それより思ったより聖騎士の包囲網が早いので、急いでこの戦地から撤退します。」
ボスの言葉に皆納得したのか、次の襲撃を警戒して装備の点検を始める。御者には素早く戦地からの離脱をするために速度を上げるように指示をだす。
遠くではまだ銃の破裂音と迫撃砲の爆発音が聞こえる。
そんな中、ボスはこの世界に転移してきた日を思い返し始めた。